日記
イアン・バンクス『ゲームプレイヤー3章-5』
5.
グルゲーが目を覚ますと、そこは灰が降り積もる、石造りのバルコニーだった。
城砦の多くの塔が崩壊し、あちこちから煙が立ち上っている。
かつて華やかだったゲーム会場は完全に焼け落ち、ねじれた梁や崩れた石材が積み重なる地獄絵図と化していた。
グルゲーは、皇帝が指にはめていた「アザドの盤面の模型」がついた指輪を灰の中から拾い上げ、ポケットに収める。
そこに新しいドローンがふわふわと飛んできた。
それは、先ほどグルゲーを庇って砕け散ったドローン(フレール)の記憶を引き継いでいる「新しい(スペア)ドローン」で、名前は「スプラント=フレール=イムサホー=ウー」。
ドローンのフレールは、陽気にグルゲーに挨拶します。
以下は、グルゲーとドローン(フレール)の会話です。
グルゲー:なぜ皇帝はあんな狂った命令(自国民の虐殺や会場の爆破)を出したんだ?
ドローンのフレール:皇帝は、自分がゲームで(カルチャーという機械文明)に負けることを事前に悟っていました。
アザド帝国において、ゲームの敗北は「皇帝の失脚」を意味します。
それに耐えられない皇帝は、「暗殺の危機が迫っている」という嘘の口実を作り、近衛兵を自分の支配下に置き、あらかじめ城砦全体を爆破して「ゲームごとすべてを白紙に戻す(道連れにする)」計画を立てていたのです。
あなたは利用されたんですよ、ジェルノー・グルゲー。実は、試合が始まる前の晩、カルチャーの代表であるマインド(人工知能)は皇帝と裏で「ある密約」を交わしていました。
もし皇帝が勝てば、カルチャーは帝国に一切手出しをしない。しかし、カルチャー側(グルゲー)が勝てば、帝国を撃破し、新しい秩序を敷く」という密約です。
皇帝はプライドのために、この密約乗り、そして負けたからこそ、あのような凶行に走ったのですよ。
グルゲー:マインド(人工知能)たちはぼくが勝つと知っていたのか?
ドローンのフレール:正解!カルチャーのマインド(人工知能)たちは、最初からグルゲーの能力ならアザド帝国のゲームなど100%必勝できると計算し尽くしていました。
つまり、カルチャーはアザド帝国を内部から崩壊させるために、一番都合のいい「無敵の天才の駒」としてグルゲーをスカウトし、完璧なシナリオ通りに帝国を破滅へと導いたのですよ。いやー、緻密な計画‥マインドには尊敬ですね‥。
すべての真相を知ったグルゲーは、ため息をつきながらも、これ以上この血臭い帝国に留まる意味はないと悟る。
ドローンのフレールに促され、上空に待機している母船の回収モジュールへと乗り込み、故郷であるカルチャーへ帰還する。
はい、ここまでが第3章-5の話ですな。
次の投稿で終わります。
