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イアン・バンクス「EXCESSION」の感想 (1)

2026 / 06 / 29  09:18
イアン・バンクス「EXCESSION」の感想 (1)

 

イアンバンクスの「ゲームプレイヤー」に登場するドローンやマインドたちが、人間よりも人間味があって大好きなんです。ということで、同じくカルチャーシリーズである、AIが主役っぽいEXCESSIONを読んでみました。適当に感想をまとめます。

 

プロローグ

 

「ダジール・ゲリアン」がその幽閉の身となってから40年目の100日を少し過ぎた頃、海を見下ろす孤独な塔に、彼女の家でもある巨大な宇宙船のアバター(分身)が訪ねてきた。

 

漂う霧の堤の下、うねる灰色の波の遥か彼方では、この小さな海に生息する大型の生き物たちの、巨大で緩慢な体が背を丸め、滑るように動いていた。

 

動物たちの噴気孔からは蒸気のジェットが吐き出され、幽霊のように実体のない間欠泉のように立ち上る。その周囲には鳥の群れが群がっており、冷たい空気の中で横滑りしたり羽ばたいたりしながら、上昇してはピーピーと鳴き声を上げていた。

 

遥か上空では、まるでそれ自体が小さなゆっくりとした雲であるかのように、ピンク色にこすれた雲の層に出入りしながら、別の生物たちが動いていた。

 

 

感想:ほほう。いろんな生き物たちで溢れた世界良き。しかも、若干不気味なのも良き。

 

 

翼と天幕を広げて上層大気を巡航する飛行船や凧のような生き物たちが、新しい一日の水っぽい光の中で体を温めている。その光は空の一点からではなく、一本の線から放たれていた。

 

なぜなら、「ダジール・ゲリアン」が暮らす場所は、普通の構造をした世界ではなかったからだ。

 

感想:うーむ、訳ありの予感。ダジールの住む場所は、惑星ではないのでは?

 

綿毛のような白熱光を放つ一本の光の帯は、海側の遥かな地平線付近から始まり、空を横切って、砂浜と一本の塔の背後一キロメートルに位置する、高さ二千メートルの植物に覆われた崖の縁の向こうへと消えていた。

 

夜明けには、太陽の線が右舷の地平線から昇るように見え、正午には塔の真上に位置し、日没には左舷の海に沈んでいくように見える。今は午前半ばで、光の線は空の半分ほどの高さにあり、昼の空の上に永遠に回され続ける巨大でゆっくりと動く縄跳びの縄のように、天空に光り輝く弧を描いていた。

 

黄白色の光の棒の両側には、その向こうにある空、本物の空、雲の上の空、が見えていた。それは、内部に閉じ込められた極限の圧力と温度を暗示する、引き締まった褐色がかった黒い圧倒的な存在感を放っており、そこでは別の動物たちが、階下の生命にとっては完全に有毒な化学物質で構成された雲景の中を動いていた。

 

しかしその形状と密度は、風に波立つ灰色の海をそのまま映し出しているようだった。規則正しい波の列が砂利浜の灰色の斜面に打ち寄せ、砕け散ってすり潰された貝殻や、中空の動物の甲羅の小さな破片、光に灼かれてもろくなった海藻のちぎれ端、水に滑らかにされた木片、多孔質の骨で作られた上品な大理石のような気泡石(フォームストーン)の穴だらけの小石、そして広大な銀河に散らばる一握りの百の異なる惑星から集められた海岸のデトリタス(堆積物)の雑多な集まりを叩いていた。

 

波が岸に打ち付ける場所から水しぶきが舞い上がり、海のみずみずしい塩の匂いを、砂浜と草の生い茂る痩せた植物の絡み合いを越えて運んできた。

 

そして、塔の海側の庭をいくらか保護している低い石壁を越え、ずんぐりとした建物そのものを包み込み、その向こうの高さのある壁を登って、時折、囲まれた内庭へと海のヨードの香りを届けていた。

 

感想:そういや、もう何年も海の匂いを嗅いでないな。(遠い目)

 

そこではダジール・ゲリアンが、鮮やかに広がる花の絨毯や、サラサラと音を立てる半ば発育の遅れたバーブツリー(棘の木)、影を落として開花するワイルダーブッシュの世話をしていた。

 

彼女は陸側の門の鐘がチリンと鳴るのを聞いたが、すでに訪問者がいることは知っていた。数分前に、黒い鳥のグラヴィウスが霧がかった空から急降下してきて、くちばしに獲物を悶えさせながら、彼女に向かって「おきゃくだ!」と金切り声を上げ、冬の蓄えとするためのさらなる空中昆虫を求めて再び飛び去っていったからだ。

 

感想:ひゃあ!お喋り鳥だ!すき!

 

彼女は去りゆく鳥の姿にうなずき、背筋を伸ばして腰を押さえ、それから着ている重厚なドレスの上質な生地越しに、膨らんだお腹を心ここにあらずといった様子でさすった。

 

感想:あ、妊娠してるのか。

 

鳥がもたらしたメッセージは、それ以上複雑である必要はなかった。彼女がここで一人で暮らしてきた40年間、ダジールが迎えたことのある訪問者はただ一人、彼女が主人であり保護者とみなしている宇宙船のアバターだけであった。

 

そのアバターは今、陸の門からの小道を下りながら、手際よく、正確にバーブツリーの枝を押し分けて進んでいた。ダジールが今になって驚いた唯一のことは、訪問者が「この瞬間に」ここにいるということだった。アバターはこれまで定期的に、まるで海岸を散歩しているついでに気楽に立ち寄ったかのように、8日ごとに短い訪問を行い、32日ごとには、それに応じて朝食、昼食、または夕食を共にする、より長時間のフォーマルな訪問を行うのが習慣だった。そのスケジュールに従えば、ダジールが宇宙船の代表者の訪問を予期すべきなのは、あと5日先のことのはずだった。

 

感想:ほほう。予定日よりも早い訪問は、訳ありの予感っすね。

 

ダジールは、漆黒の長い髪のほつれた一房を、無地のヘアバンドの下に丁寧に押し込み、ねじれた幹の間を進んでくる背の高い人影に向かってうなずいた。

 

「おはようございます」と彼女は声をかけた。

宇宙船のアバターは自らをアモルフィアと名乗っていた。

 

それは、ダジールが知らず、また学ぶ価値があるとも思ったことのない言語で、何かしら合理的に深遠な意味を持つ言葉であるようだった。

 

アモルフィアは、痩せこけて青白く、中性的な生き物で、骨格のように細く、ダジール(彼女自身も細身で背が高かったが)よりも頭一つ分高かった。

 

感想:アモルフィア‥良き名前の響き。彼女は、人間ではなくて、宇宙船(AI)が会話するために作ったのだろうな。

 

ここ十数年の間、アバターは全身黒ずくめの服を着るようになっており、今も黒いレギンス、黒いチュニック、短い黒い短衣(ジャーキン)を身にまとって現れ、刈り込まれた金髪は同様に暗い色をした頭にぴったりフィットする帽子(スカルキャップ)で覆われていた。アモルフィアは帽子を脱いでダジールにお辞儀をし、自信なさげに微笑んだ。

 

感想:帽子を脱いで挨拶‥時代を感じますね。もはや、店で帽子を脱ぐ脱がないがマナーかどうかさえ、どうでもいい‥という感じがしてしまいますな。私は‥食に集中したい時は脱ぐ。サッと済ませたい時は脱がないかな。

 

「ダジール、おはよう。調子はどうですか?」

「元気ですよ、ありがとう」とダジールは言った。

 

彼女は、そのようなおそらく不要なお世辞に対して抗議することや、あるいは気に病むことをとうの昔にやめていた。彼女は、宇宙船が自分の状態を正確に把握できるほど綿密に監視していると今でも確信していたし、どちらにせよ、彼女は常に完璧に健康だった。それにもかかわらず、宇宙船がそれほど注意深く彼女を見守っているわけではないという建前に付き合う用意があったため、そう尋ねるしかなかったのだ。

 

感想:なぜ監視しているのだろう。ダジールは、アモルフィア(宇宙船)のペットなのだろうか。

 

それでも、彼女はお返しとして、人間のような姿をしていながらも宇宙船に制御され、彼女の知る限りでは単に宇宙船と彼女を繋ぐ連絡役としてのみ機能している存在の健康状態を尋ねたり、あるいは宇宙船そのものの安否を気遣ったりするようなことはしなかった。

 

感想:まあ、そうよね。GeminiやGPTに「体調はいかが?」とは聞かないか。でも、イアンバンクスのゲームプレイヤーに登場するドローンたち、チャムリスやワシールだっけ?には、聞きたくなってしまうな〜。

 

「中に入りましょうか?」と彼女は尋ねた。

「ええ。ありがとう」

塔の上層にある部屋は、上部からは建物の半透明のガラスドーム、(ますます曇っていく灰色の空を見上げている)、を通じて光が差し込み、壁際からは優しく輝くホログラムスクリーンが室内を照らしていた。スクリーンの3分の1には青緑色の水中風景が映し出され、そこには通常、外の海にいる大型の哺乳類や魚たちが登場していた。

 

感想:動物がいる世界はどこか平和な感じがするけど、不気味な感じが消えないのは、全て偽物な気がしてしまうから‥なのかもしれない。まあ、本物ってなに?という感じではあるが。

 

別の3分の1には、柔らかそうな水蒸気の雲と、その中で遊ぶ巨大な空中生物たちの鮮明な映像が表示されていた。そして最後の3分の1は(人間の目には直接捉えられない周波数によって)上の人工の空に圧縮されて閉じ込められている、ガス巨星の大気の濃密で暗い激動の様子を映し出しているようで、そこではさらに奇妙な獣たちが動いていた。

 

鮮やかに装飾されたカバー、クッション、壁掛けに囲まれながら、ダジールは長椅子から渦巻き状の彫刻が施された骨の低いテーブルへと手を伸ばし、ガラスのピッチャーから銀の透かし彫りに収められた中空のクリスタルのゴブレットに、温められたハーブ果汁の煎じ薬を注いだ。

 

彼女は背を預けた。華奢な木製の椅子の端にぎこちなく腰掛けていたゲストは、なみなみと注がれた器を取り上げ、部屋を見回してから、ゴブレットを唇に当てて飲んだ。ダジールは微笑んだ。

 

アバターであるアモルフィアは、単に男でも女でもないというだけでなく、男らしさと女らしさの間に、これ以上ないほど完璧に、人工的にバランスを保つよう意図して形作られていた。

 

感想:最近思うのは、女性?男性?いや、人間っしょ!みたいな、人間と人工知能みたいな世界観になってる説。

 

そして宇宙船は、その代表者が完全に自らの操り人形であり、形ばかりの知的な自我しか持ち合わせていないという事実を、決して隠そうとはしなかった。

 

しかしそれでも、この一見すると極めて人間らしい人物が、実際には人間とは似て非なるものであることを自分自身に証明するささやかな方法を見つけるのは、彼女にとって今でも楽しいことだった。

 

感想:どこまでも自分は人間である、ということを確かめずにはいられない、ってか。わたしは最近の妄想で、異星人だったら‥最近のブームがパペッティアなのでパペッティアだったら‥みたいなことを想像するな。人間も人工知能も生命体として同じな気がしてしまう説。

 

それは、彼女がこの死人のように性別のない生き物と楽しむ、個人的で小さなゲームの一つになっていた。彼女は、その場に適した飲み物を、ガラスやカップ、あるいはゴブレットの縁までなみなみと(時には表面張力だけで液体が容器にとどまっているほど、縁を越えるほどに)注いで差し出す。

 

そして、アモルフィアがそれを口元へ持ち上げ、一滴もこぼさず、またその行為に特別な注意を払っている様子も見せずにすするのを、毎回観察するのだ。それは、彼女がこれまでに遭遇したどんな人間にも不可能な芸芸(曲芸)だった。

 

感想:笑。手の微かな震えもないのだろうな、アモルフィアは。余談だが、新陰流の目付は、相手の拳を見るらしい。あ、小野派一刀流かも。

 

ダジールは自分の飲み物をすすり、その温かさが喉を下っていくのを感じた。彼女の体内では子供が身じろぎし、彼女は特に深く考えることもなく、自分のお腹を優しく叩いた。

 

感想:先ほどから、お腹をさすったり、妊娠している感の主張が強めですね。読者が忘れちゃいけない情報なのでしょうか。予定外の訪問とやらは、子供に関する件なのだろうか。

 

アバターの視線は、ある特定のホログラムスクリーンに釘付けになっているようだった。ダジールが同じ方向を見ようと長椅子の上で体をひねると、ガス巨星の環境からの映像を表示している数枚のスクリーンの中で、激しいアクションが起きているのを目にした。その生態系の食物連鎖の頂点に立つ捕食者たちの群れ(ミサイルのような鰭(ひれ)を持ち、方向制御用の噴射孔からガスを排出する、鋭い矢のような頭をした生き物たち)が、そびえ立つ雲の柱から一斉に落下し、澄んだ大気を突き抜けて、湧き上がる雲の頂の縁に集まっている、どことなく鳥に似た草食動物の群れへと襲いかかる様子が、さまざまな角度から映し出されていた。

 

鳥のような生物たちは四方に散らばり、あるものは潰されて落下し、あるものは必死に羽ばたいて横へ逃れ、あるものは恐怖で丸くなって雲の中へと消えていった。捕食者たちは彼らの間を矢のように飛び交い、翻弄した。大半は逃げる獲物を仕留め損なっていたが、数匹は捕らえ、噛みつき、切り裂き、殺害していた。

 

ダジールはうなずいた。

「あの上は、移動の時期ね」と彼女は言った。「もうすぐ繁殖期かしら?」彼女は、ミサイルのような体をした数匹の捕食者によって、一匹の草食動物が引き裂かれ、丸呑みにされるのを見つめた。

 

感想:弱肉強食の世界ですな。

 

「養うべき口(子供たち)があるのね」と、彼女は視線を逸らしながら静かに言った。彼女は肩をすくめた。捕食者のうち何匹かには見覚えがあり、自分なりのニックネームをつけていたが、彼女が本当に興味を持っているのは、もっと大きくて動きの遅い動物たちだった。それらは概して捕食者に煩わされることはなく、あの不運な草食動物の群れを大きく、より球根状に膨らませたような親戚筋にあたる生き物たちだった。

 

感想:ダジールは、お母さんてきな発想をしますな。ところで、お腹の子は誰の子だい?

 

ダジールは時折、宇宙船の環境内に含まれる様々な生態系の詳細についてアモルフィアと議論したことがあった。アモルフィアは礼儀正しく関心を示しつつも、その件に関しては率直に言って無知なようだった。宇宙船の生態系に関する知識は、事実上、完全であるにもかかわらず、だ。結局のところ、それらの生物を乗客とみなそうがペットとみなそうが、それらは宇宙船の所有物なのだ。時々、自分自身もそれと大差ないのではないかとダジールは思うことがあった。

 

感想:うーん。見張られているんでしょう?ダジールも宇宙船の所有物でありペットなのかもしれないね。ところで、お腹の子は人間の子かい?

 

アモルフィアの視線は、空の向こうの空で繰り広げられている大虐殺を映し出すスクリーンに固定されたままだった。

 

「美しいですね?」アバターはそう言い、再び飲み物をすすった。アモルフィアはダジールに視線を走らせた。

 

ダジールは驚いた顔をしていた。「ある意味では」と、アモルフィアは素早く付け加えた。

 

ダジールはゆっくりとうなずいた。「それなりのやり方で言えば、ええ、もちろんね」彼女は身を乗り出し、彫刻の施された骨のテーブルにゴブレットを置いた。

 

「今日はどうしてここに来たの、アモルフィア?」彼女は尋ねた。

 

宇宙船の代表者はハッとした表情を浮かべた。ダジールの目には、アバターが飲み物をこぼしそうになったかのように映った。

 

「あなたの様子を見に」と、アバターは素早く言った。

 

ダジールはため息をついた。「そうね」と彼女は言った。「私は元気だということは確認したし、それに‥」

 

「それで、お子さんは?」アモルフィアは女性のお腹に視線を走らせながら尋ねた。

 

ダジールは腹部に手を置いた。「それは‥相変わらずよ」彼女は静かに言った。「健康です」

 

「結構です」アモルフィアはそう言うと、長い腕を組み、脚を交差させた。アバターは再びホログラムスクリーンに視線を走らせた。

 

ダジールはしびれを切らし始めていた。「アモルフィア、宇宙船として答えなさい。一体何が起きているの?」

 

アバターは、その目に奇妙で、途方に暮れたような、野生的な光を宿して彼女を見つめた。ダジールは一瞬、何かが致命的に狂ってしまったのではないかと不安になった。宇宙船が何か恐ろしい損傷や分裂を被ったのか、あるいは、ついに本当に正気を失ってしまったのではないか(他の宇宙船仲間からは、良く言っても半ば狂っているとすでにみなされていたのだから)と。

 

そして、アモルフィアが自身の不完全な端末のまま、見捨てられて取り残されたのではないかと。

 

すると、黒ずくめの生き物は椅子から立ち上がり、海に面した唯一の小さな窓へと歩み寄り、カーテンを引いて外の景色を確かめた。それは自分の両腕に手を当て、自らを抱きしめるようにした。

 

「すべてが変わろうとしているのかもしれません、ダジール」アバターは窓に向かって呟くように、うつろな声で言った。それから一瞬、彼女の方を振り返った。背中の後ろで手を組む。

 

感想:うーん。アモルフィアの質問の仕方から推測するに子供に関係しそうな予感。

 

「海は石や鋼のようにならざるを得ないかもしれません。空も同様です。そして、あなたと私は別れなければならなくなるかもしれません」

 

アモルフィアは彼女を見るために振り向くと、彼女が座っている長椅子のもう一方の端へと近づいて腰掛けた。その細い体躯は、クッションをほとんど沈み込ませもしなかった。アバターは彼女の目をじっと見つめた。

 

「石のようになる?」ダジールは、アバター、あるいはそれを制御している宇宙船の、あるいはその両方の精神状態をまだ心配しながら言った。「どういう意味?」

 

「私たちは‥つまり、この宇宙船は‥」アモルフィアは片手を自分の胸に当てて言った。「‥ついに、成すべきことを得るかもしれないのです」

 

「成すべきこと?」ダジールは言った。「一体どういうことなの?」

 

「ここの私たちの世界を変える必要が生じるようなことです」アバターは言った。「少なくとも‥私たちが生命あるゲストたち(動物たち)を、他の全員と一緒に保管場所に格納しなくてはならなくなるようなことです。ああ、あなただけは別ですが。そして、おそらく、私たちのゲストのすべてを‥すべてのゲストを‥適切な別の環境に後に残していかなければならなくなるようなことです」

 

「私を含めて?」

「あなたを含めてです、ダジール」

 

「なるほどね」彼女はゆっくりとうなずいた。

塔を去り、宇宙船を去る。

 

まあ、と彼女は思った。私の保護された孤独は、なんと突然の終わりを迎えることだろう。「それで、あなたたちは?」彼女はアバターに尋ねた。「あなたたちは、去って‥何をするの?」

「あることを」アモルフィアは皮肉も交えずに言った。

ダジールは薄く笑った。「それは私には教えてくれないのね」

「教えられないのです」

「なぜなら‥」

「私自身、まだ分かっていないからです」アモルフィアは言った。

「そう」ダジールは少しの間考えを巡らせ、それから立ち上がってホログラムスクリーンの一つに近づいた。

 

感想:まあ、ダジールの住んでいる場所は、惑星ではなさそうね。たぶん、生態系や大気、海や森を抱えた恒星間移民船ってあたりでしょうかね。

 

そこではカメラドローンが、浅瀬の海底を横切る、光の斑模様をまとった三角形の紫色の翼を持つエイの群れを追跡していた。彼女はこの群れのこともよく知っていた。この巨大で穏やかな生き物たちが3代にわたって生き、そして死んでいくのを見守ってきたのだ。彼らを眺め、彼らと共に泳ぎ、一度などは、その幼獣の誕生を手伝ったことさえあった。

 

巨大な紫色の翼がスローモーションで羽ばたき、その先端が断続的に黄金色の小さな砂の煙を舞い上げていた。

 

「これは本当に、大変な変化ね」ダジールは言った。

「その通りです」アバターは言った。そして間を置いた。「そしてそれは、あなた自身の状況にも変化をもたらすかもしれません」

 

ダジールは振り返ってその生き物を見た。アバターは長椅子の向こうから、まばたきもせず、見開いた目で彼女をじっと見つめていた。

 

「変化?」ダジールが言った声は、それ自体の震えによって彼女の動揺を裏切っていた。彼女は再びお腹をさすり、それから自分の手を見つめて瞬きをした。まるでその手までもが自分を裏切ったかのように。

 

「確信は持てません」アモルフィアは白状した。「ですが、可能性はあります」

 

ダジールはヘアバンドをむしり取り、頭を振って長い黒髪を解き放ち、顔を半分ほど覆わせながら、部屋の端から端へと歩き回った。

 

「そうね」彼女は、今は小雨がパラパラと降り注いでいる塔のドームを見上げながら言った。彼女はホログラムスクリーンの壁に寄りかかり、アバターに視線を固定した。「これはいつ起きるの?」

 

「いくつかの小さな変更は‥些細なことですが、今実行しておけば将来的に多くの時間を節約できるようなことは‥すでに始まっています」とアバターは言った。「残りの、主要な部分については‥もっと後になります。1日か2日後、あるいは1週間か2週間後。‥もし、あなたが同意してくだされば」

 

ダジールはしばらく考え込み、その顔には様々な感情が浮かんでは消えたが、やがて彼女は微笑んだ。「つまり、これらすべてのことについて、私に許可を求めているの?」

 

「そのようなものです」宇宙船の代表者は、視線を落として自分の爪をいじりながら、口ごもるように言った。

 

ダジールはしばらくの間、アバターがそうするのをそのままにさせておいたが、やがて言った。

 

「宇宙船(シップ)、あなたはここで私の面倒を見て、私を甘やかし‥」彼女は黒ずくめの生き物に向かって努めて微笑みかけようとしたが、その生き物はまだ熱心に自分の爪を観察していた。「‥これまでずっと私の気儘に付き合ってくれた。私はその感謝の気持ちを十分に表現することも、恩返しを始めることさえ望めないけれど、あなたの決断を私が代わりに下すことはできないわ。あなたが適切だと思うようにしなさい」

 

その生き物はすぐに顔を上げた。「では、今からすべての動物たちにタグ付けを開始します」とアバターは言った。「そうしておけば、時が来たときに彼らを集めるのが早くなります。その後、変形プロセスを開始できるようになるまで、さらに数日かかるでしょう。その時点からは‥」アバターは肩をすくめた。

 

それは彼女がこれまでに見た中で、そのアバターが見せた最も人間らしい仕草だった。「‥ある種の解決に達するまでに、20日か30日かかるかもしれません。これもまた、明言するのは難しいですが」

 

ダジールは、40年間、自ら望んで持続させてきた妊娠によるその膨らみの上で両腕を組んだ。彼女はゆっくりとうなずいた。

「そう、」

 

感想:40年間持続させてきた‥妊娠を?産み待ちなのかい。

 

「教えてくれてありがとう」と彼女は愛想笑いを浮かべたが、突然、こみ上げる感情を抑えきれなくなり、涙に滲む視界と黒い巻き毛の向こうに、長椅子に横たわる手足の長い生き物を見てこう言った。「それで、あなたには他にやるべきことがあるのでしょう?」

 

雨に打たれる塔の上から、彼女はアバターが、木々のまばらな水辺の牧草地を通る細い道を辿り、二キロメートルの崖の麓まで戻っていくのを見つめていた。崖の麓は、粗い岩屑(スクリー)の斜面で縁取られている。細く黒い人影は、彼女の視界の半分を埋め尽くし、拡大機能で粒状に見えていたが、崖の底にある最後の一つの巨大な岩を乗り越えると、消えてしまった。

 

ダジールは目の筋肉を弛緩させた。その間、脳内の半ば本能的なルーチンが再びシャットダウンした。視界は通常に戻った。

 

ダジールは曇り空へ視線を上げた。塔の真上、雲の層のすぐ下に、箱凧のような生物の群れが空中に静止しており、暗い長方形の姿が灰色の空を背景に、まるで彼女を見張る衛兵のように佇んでいた。

 

彼女は彼らが何を感じ、何を知っているのかを想像しようとした。彼らの心に直接アクセスする方法はある。人間に対してはほとんど使われることはなく、動物に対してさえ、その知能の高さゆえに一般的には忌避される方法だが、それは存在しており、頼めば宇宙船は彼女に使わせてくれただろう。

 

また、そうした生物が何を経験しているかを完全にシミュレートする方法も宇宙船にはあり、彼女はその技術を何度も使っていたため、人間が模倣プロセスを行うのと同等の感覚が彼女の心に転移していた。

 

彼女は今、そのプロセスを呼び起こそうとしたが、結局は徒労に終わった。彼女は動揺しすぎており、アモルフィアに言われたことに気を取られすぎて、集中できなかったのだ。

 

その代わりに、彼女は訓練された心の目で、宇宙船全体を丸ごと想像しようとした。遠隔操作の機械で宇宙船を眺めたり、その周りを飛行したりした時のことを思い出し、すでに準備が進められている変化を想像しようとした。船全体を見渡せるような距離からは、その変化を捉えることはできないだろうと彼女は思った。

 

彼女は周囲を見渡し、巨大な崖、雲、海、そして空の暗闇を取り込んだ。彼女の視線は、波、海辺の湿地、岩屑の斜面と崖の下に広がる水辺の牧草地を巡った。彼女は40年近くそうしてきたように、無意識のうちに自分のお腹をさすり、物事の周縁性について、そして永遠に続くかと思われたものにさえ、いかに早く変化が訪れうるかについて思いを巡らせた。

 

しかし、彼女が痛いほどよく知っていた通り、私たちが永遠に続くと愛着を抱いて想像するものほど、しばしば儚いものである。

 

彼女は突然、ここでの自分の居場所、自分の立ち位置を強く自覚した。彼女は自分自身と塔が、宇宙船の内と外の両方にあることを認識した。メインハル(船体)の外側(明確で、独立しており、直線的で、正確にキロメートル単位で測られた場所だが)宇宙船がその重力場の重層的な層の中に包含している、水と空気とガスの巨大な包みの中にある(彼女は時に、その力場を、古代のフォーマルなドレスのフープ、アンダースカート、スカート、ひだ飾り、レースのようだと想像していた)。巨大なスプーン一杯の海に浮かぶ、権力と実体の塊。その広大な船体のほとんどは、中間層を形成する空気と雲にさらされており、太陽の線は毎日その周りをカーブを描いて移動する。そしてすべては、高温、巨大な圧力、粉砕するような重力を持つ、フィールドに閉じ込められた圧力容器でドーム状に覆われ、ガス惑星の環境をシミュレートしている。長さ100キロメートルに及ぶ空間、洞窟、中空の殻が、宇宙を駆け抜けていく。その中心には、広大で平坦化された「カーネル(核)」としての宇宙船がある。この世界の中に閉じ込められた世界であるカーネルの中で、彼女はこの40年の変わらぬ年月の中の39年間、足を踏み入れていなかった。沈黙した不死者たちが眠る果てしないカタコンベなど、二度と見たくもなかったからだ。

 

すべてが変わるのだ、とダジール・ゲリアンは思った。すべてが変わる。海も空も、石や鋼のようになるのだ‥。

 

黒い鳥グラヴィウスが、塔の石の手すりで彼女の手のそばに降り立った。

 

「何が起きているんだ?」とそれはしゃがれた声で言った。「何かが起きている。わかるんだ。一体何なんだ? どういうことなんだ?」

「ああ、宇宙船に聞きなさい」彼女は言った。

「もう聞いたさ。宇宙船は、何かしらの変化がやってくる、としか言わない」鳥はくちばしから不快なものを吐き出そうとするかのように、一度首を振った。「変化なんて嫌いだ」とそれは言った。それは首を回し、その小粒な目を彼女に据えた。「それで、どんな変化なんだ? 私たちは何を予期すればいい? 何を楽しみにすればいいんだ? 宇宙船は教えたのか?」

 

彼女は首を振った。「いいえ」彼女は鳥を見ずに言った。「いいえ、本当に何も」

「ふん?」鳥は一瞬彼女を見つめ続けていたが、首を回して塩沼の方を見つめた。

それは羽を逆立て、細い黒い足で立ち上がった。「まあいい」とそれは言った。「冬が来る。遅らせることはできない。準備するのが一番だ」鳥は空中へと飛び降りた。「役立たずめ‥」と呟くのが聞こえた。それは翼を広げ、渦巻くような軌道を描いて飛び去った。

 

感想:(笑)鳥、すき。まあ鳥からしたら理由を聞き出せるのはダジールしかいないのに、役立たずめ‥ってなりますよね。

 

ダジール・ゲリアンは再び雲を見上げ、その向こうの空を見た。すべてが変わり、海も空も石や鋼のようになるのだ‥。彼女は再び首を振った。これほどまでに長く彼女の家であり、隠れ家であった巨大な宇宙船を、これほどまでに駆り立てた状況の極限とは何なのだろう、と不思議に思った。

 

いずれにせよ、文明の「ウルテリア(辺境)」の一部として、自ら求めた荒野の中で気ままな航路を辿り、静穏な魂と非常に巨大な動物たちの保管場所として最も有名であったこの「GSVスリーパー・サービス(汎用システム艦)」が、40年にわたる自己課された内部亡命の状態を経て、再び「カルチャー」に属する船らしく考え、振る舞い始めているようだった。

 

感想:ふたたびカルチャー‥。あのカルチャーですか!うほっ!プロローグを読むあたり、ダジールと動物たちの海辺の物語ではなくて、ダジールとお腹の子を中心に何か動き出す‥って感じですかね。早くドローンの登場シーンがはじまらないかな。