日記
イアン・バンクス『ゲームプレイヤー3章-4』
4.
ああ、ゲームの勝利はグルゲーだろう‥という空気の中。
グルゲーは、夜の庭を散歩する。
すると、いつもの派手衣装とは打って変わり、喪服みたいな服装の皇帝がやってきたので、ふたりはベンチに腰掛け会話をした。
以下、グルゲーと皇帝の会話。
(最初の世間話は割愛します)
皇帝:お前の故郷カルチャーは、マインド(人工知能)が支配する、感情のないシステムだ。栄光も、誇りも、崇拝も知らない、ただ武力を持っているだけの無気力な機械だ!
お前は国を代表しているつもりか? 民を代表しているつもりか? 違う。お前は自分自身以外の誰も代表していない。ただゲームをプレイするためにここへ来た!
それに、カルチャーの母船がアザド帝国の他の宇宙船をすべて無力化し、すでにアザド帝国が手遅れな状態(カルチャーのコントロール下)にあることくらい俺は気づいているさ!
グルゲー:ゲームはすでに終わっている。勝敗は最初から決まっていたんだ。なぜそんな無意味なゲームを最後まで命がけでやったのですか?
皇帝:カルチャーという「機械」に対して、アザド帝国という『人間(生命)』の意地と誇りを見せるためだ。そして、グルゲーという一人の男を真の絶望に引きずり下ろすためだけに、最後まで対局を続けたのだ。(ニコサールはグルゲーの顔を見つめ、残酷に笑う)お前のようなタイプには絶対に理解できないだろう。お前はただ利用されるだけだ。
皇帝に殴られたグルゲーは、口から血が出る。
皇帝:闘争こそ繁栄のもと。戦っておのれの価値を証明せよ。ゲームがわれわれに教えたのはそれだ。闘争こそ繁栄のもと。戦っておのれの価値を証明せよ。(中略)自分はその全てをやり、そのすべてをいいつくした。いまここでできるどんな説明よりも巧みに。おまえはまだ勝っていないぞ、グルゲー。
グルゲー:(ひとり残されるグルゲー)
(グルゲーは、自分のゲームの才能で、皇帝に勝ち、カルチャーの任務を果たしたと思っていたのだろう。しかし実際のところ、カルチャー(マインド)というシステムは、最初から圧倒的な武力と計算でアザド帝国を詰んでいて、グルゲーのゲームはその「お飾り」に過ぎなかったのだろう。皇帝は、そのカルチャーの残酷な意図をすべて見抜いた上で、「俺はゲームには負けたが、誇りまではカルチャーのクソ機械に売り渡さない。お前(グルゲー)も、ただの便利な駒として操られていただけの哀れな人形だ」という真実を突きつけたのだろう。)
翌日、ゲーム最終決戦日。
会場は異様な熱気に包まれていた。
ここでドローンのフレールが、ある異常に気づく。皇帝の側に立つ大佐が、光リモコンのマイクをつけ、皇帝と密かに通信してゲームの「カンニング」を行っていたのだ。
それだけではない。
皇帝は、ゲームの駒を配置しながら、「ゲームの盤面での出来事」を、現実の会場の「物理的な攻撃(爆破やレーザー銃)」と連動させていたのだ。まさにリアルバトル(笑)
ゲームが進むにつれ、会場のあちこちで本物の爆発が起き火災が発生し、皇帝はゲーム盤を通じて、会場全体を地獄絵図に変えていく。
当然の如く、会場は完全にパニックに陥る。
皇帝が「最後の火のカード」を切ると、緑色の火のオーラが広がり、皇帝の側近たちが観客に向けて「銃を乱射」した。
華やかな衣装を着たアザド帝国の貴族たちが次々と撃たれ、床は死体で埋め尽くされた。
そんな地獄の中で、皇帝は狂ったように笑いながらグルゲーに言う
「ゲームを現実に変えたのだ、グルゲー」
皇帝にとって、アザド帝国のゲームとは「闘争と虐殺そのもの」であり、完全な負けを悟った皇帝は、会場にいる自国民もろともすべてを道連れにする破壊を始めたのだった。(おもしろい)
しかし、ゲームの盤面そのものは、グルゲーが完璧なチェックメイト(勝利)を完成させているという皮肉。
その皮肉な空気‥ゲームで完全に敗北したことを知る皇帝は、ついに狂い、本物の両刃の剣を抜いてグルゲーを直接殺そうと襲いかかってきた。(おもしろい)
グルゲー:皇帝の腹部に蹴りを入れる。
二人は血まみれになって床を転がり回る。
皇帝:剣を振り回し、グルゲーの喉元をかすめる。もう一回突き刺そうとする。
その瞬間‥!
ドローンのフレールの神技により皇帝の剣を弾き飛ばした。
次の瞬間‥!
天井の「電子遮蔽装置」が崩落し、会場は炎と煙に包まれた。グルゲーがふと前を見ると、皇帝は仰向けに倒れていて、その額の真ん中には、煙の立つ丸い黒い穴(弾痕、または崩落の直撃による即死の傷)が空いていた。
皇帝は、ゲームでグルゲーに完璧に敗北し、さらに力ずくでグルゲーを殺そうとしたものの、最期は自らが引き起こした地獄の崩壊に巻き込まれる形で、惨めに死亡したのだった。
はい、ここまでが第3章-4です。
