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イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(24)古参ドローン登場!興奮シーン多数!
7章(Ⅰ)
そうした調査には時間がかかるものだった。
ハイパースペース(超空間)を介して送信される情報でさえ、銀河の相当な割合に及ぶ距離を通過するには時間がかかり、配置すべき複雑な経路があり、他のマインド(超高度AI)たちと話をする必要があった。
マインドの中には「インフィニット・ファン・スペース(無限娯楽空間)」にしばらく没頭していて不在であるため、事前に約束を取りつけなければならないこともあった。
感想:マインドたちも仮想現実に浸っている間は現実の煩わしい処理をやりたくない説。
それからマインドたちは、情報検索の要求や示唆を出す前に、さりげなく近づいたり、共通の関心事についての世間話やジョーク、考えなどを交換して、検索の目的を逸らし隠蔽しなければならなかった。
感想:本当に伝えたいことは会話の中心ではなくて端っこの中・・というやつか。自分もよくやるが賢い友人にはバレてしまうのでその度に「小技かけんなよ」と注意されるのだ。
時には、関与するマインドたちが自らの関与を軽視しようとしたり、気まぐれで誰か他の者を巻き込もうとしたりするため、これらの迂回経路はさらなるループや回り道、シャント(回路の切り替え)を伴うことがあった。
その結果、荒唐無稽なほど間接的な経路が生じ、枝分かれと再分岐を繰り返し、元へと折り返しながら、最終的には関連する質問が提示され、返答が得られると仮定すれば、その回答もまた元々の要求者へと向かって同様に紆余曲折とした経路を辿って戻っていくのだった。
感想:その迷路を可視化できたらおもしろそうだなー・・みたいなあ・・
頻繁に、単純なシーカーエージェント(探索)プログラムや、あるいはマインド状態の要約(マインド・ステート・アブストラクト)全体が、何を探すか、どこで見つけるか、誰に尋ねるか、そして自らの足跡をいかに隠し続けるかについての詳細な指示を携えて、さらに複雑な任務へと送り出された。
大抵の場合、調査はそのようにして行われた。マインドたち、AIのコアメモリ、そしてスケジュール、旅程、リスト、計画、カタログ、登録簿、名簿、アジェンダ(議題)を保持する無数のパブリック・ストレージ(公開記憶系)、情報蓄積庫、データベースを通じて。
感想:(本編から逸れる話)アメリカのAIの無料版って最近おばかになっている説。有料じゃないとそれなりに会話できない説。そこに中国のKimiが爆誕し「世界中のみんなでAIを作らなければいけないと思うんだ、だから僕たちの国の作ったAIはオープンソースにしたよ」と発言。まあ表向きの発言なのは承知だが無料でそれなりのレベルとなると考えてしまうのが実情説。
しかし時には――何らかの理由でその方法、つまり比較的容易で迅速かつシンプルな方法が、依頼者に対して閉ざされている場合――通常は調査を秘密裏に進めるためなのだが――物事は遅く、煩わしく、物理的なやり方で行われなければならなかった。他に選択肢がないこともあったのだ。
真空飛行船(ヴァキューム・ディリジブル)は、月光と星明かりに洗われた見事に澄み渡った夜空の下、浮遊島へと近づいていった。
感想:綺麗な星空が見たくなってきた、1~2月の山中湖らへんの星はマジできれい。昔よく連れてってもらったなー・・(懐)
船体のメインボディは、ブラッシュド・アルミニウム(ヘアライン加工のアルミ)のような仕上げが施された、直径半キロメートルに及ぶ巨大で丸々と太った円盤状だった。
夜は暖かく芳しく、ワインプラントやシエラ・クリーパー(蔓植物)の芳醇な香りに満ちていたにもかかわらず、その船体はまるで霜が降りたかのように青灰色の光の中でキラキラと輝いていた。
感想:人工的な惑星みたいでかわええ(惚)
クラフト(飛行船)の二つのゴンドラ――一つは上部に、もう一つは下部に吊り下げられている――は、より小さく薄いわずか3階建ての円盤で、それぞれが異なる方向へとゆっくりと回転しており、その縁は明かりで輝いていた。
飛行船の下に広がる海は概ね真っ暗だったが、巨大な海の生物たちが息を吸うため、あるいは小さな獲物を濾し取るために新たな水深へと浮上し、海面の光るプランクトンを揺らすため、所々で巨大な、ゆっくりと消えていくV字型の暗い光を放っていた。
島は風にさざ波立つ海の上に高く浮かんでいた。
感想:空飛ぶ島でた!船はこの島に向かってるのか(;・∀・)?
その基部(底部)は海の塩辛い深海へと1キロメートル下まで伸びる急勾配の溝付きの柱であり、その細く尖塔のような山々は雲ひとつない空へと同様の距離だけ突き出していた。
島にもまた光がちりばめられていた。小さな町や村、個人の家々、ビーチの提灯、そして小さな航空機――その多くは真空飛行船を歓迎するために飛び出してきたものだった。
感想:怪しい島ではない。(きりっ)
ゆっくりと回転していた二つのゴンドラ部分が、接岸の準備のために徐々に停止した。両セクションの人々は景色を見るために、島に最も近い側に集まった。
飛行船のシステムは増大するアンバランスを検知し、真空で満たされたバブルカーボン球体を一連のタンクから別のタンクへとポンプで送り、適度な水平を維持した。
島のメインの町がゆっくりと近づいてきた。接岸タワーは明かりで眩しく輝いていた。レーザー、花火、探照灯がすべて目を引こうと競い合っていた。
感想:島も船を歓迎しているご様子。
「本当に行かなきゃいけないんだ、ティッシュ」とドローンのグルダ・アプラムが言った。
感想:きききき・・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! やっとです・・(歓喜の涙)ここにきてやっと・・興奮しそうな雰囲気のドローンが登場しました・・(*´Д`)ハァハァ
「約束したわけじゃないが、立ち寄るだろうとは言っておいたんだ……」
「まあ、帰りがけに立ち寄ればいいじゃないか」ティシュリンはグラスを揺らしながら言った。「奴らを待たせておけばいい」
感想:この「ティッシュ」という男はこの島に訪れなくてはいけない理由がある・・が気が進まない・・という状況なのだろう。
彼は下部ゴンドラの中層階にあるバーのバルコニーに立っていた。ドローン――灰褐色の丸みを帯びたキューブが二つ上下に重なったような、人間の四分の三ほどの大きさの非常に古い個体――が彼の脇に浮かんでいた。
感想:ああん、グルダ・アブラム殿は古参ドローンなのですね?そうなのですね?
二人が出会ったのはその日のことで、オービタル(環状人工居住地)の浮遊島を巡るクルーズに出て4日目のことだったが、二人はまるで一世紀以上も前からの友人であったかのようにすっかり意気投合していた。
感想:グルダ・アブラム殿はティッシュ一族にお仕え古参ドローンかと思いきや、まるでガラパゴス諸島の島々をクルージングみたいな優雅な旅で出会って間もない関係なのですね?旅先にでありありと言いますが、ドローンと友人になれる可能性があるなら私の趣味は旅行になりましょうぞ。
ドローンは男よりも遥かに年老いていたが、二人は同じ態度、同じ信念、そして同じユーモアのセンスを持っていることに気づいたのだった。二人とも話を伝えることが好きだった。
感想:人に伝えるのが好きな人は人の話を聞かないことが多いのだが、グルダ・アブラム殿はきっと聞き上手なのであられましょう。(尊)
ティシュリンは、彼が「コンタクト(接触部)」にいた頃のこの古いマシーンの昔話の表面を、まだ引っ掻いた程度に過ぎないという印象を持っていた――彼自身が所属していた時の千年も前の話であり、近頃では彼自身ですら「頑固な老人」とみなされているというのに、だ。
感想:ティッシュはご老人なのでしょう。若かりし頃はコンタクトで活躍を・・なんて年寄りの昔話を話しても、ドローンのグルダ・アブラム殿は1000年も生きておられるので自分よりも知っている・・なのに負けぬと昔の自慢をする典型的なご老人ですね。(みんな気を付けろ・・!自分の知識や昔話ばかりしているとこの人年取ったなと思われてめんどくさがられるぞ!何にでも興味を持ったフリでもいいから相手に質問して新しいことを聞く力を養え!年齢関係なくコイツいいやつだなと思われる:ニート医たくま風)
彼はこの古代のマシーンを気に入っていた。彼がこのクルーズに来た本当の目的はロマンス(恋)を探すためであり、今でもそれを望んではいたが、その合間にこれほど完璧な話し相手であり語り部を見つけられたことで、彼はすでに来て良かったと感じていた。
感想:恋愛は冷めるぞ。意識や気合の問題じゃなくて、恋愛は妊娠するために脳内で放出される化学物質だから環境に応じて消失するぞ。人間の孤独を癒すのって恋愛という脳内ホルモンじゃなくて、信頼できる人間だぞ。こいつのためなら自分の大事なものを犠牲にしても仕方ないと思える友がいる奴が今の時代でいちばん幸せな奴だぞ。(ニート医たくま風)
問題は、ドローンがここで降りて、島に住んでいる古いドローンの仲間たちを訪ねてから、数日後に到着する次の飛行船でクルーズを再開することになっていたことだ。
感想:あ、浮遊する島に用事があったのはティッシュではなくて、ドローンのグルダ・アブラム殿なのですね。え?今なんと?(;゚∀゚)=3ハァハァ 古いご友人に会いに?(*´Д`)ハァハァ(興奮)
今から一ヶ月後には、自分をここまで運んできたGSV(超大型一般システム艦)に乗って去ってしまうのだった。
感想:なるほど。ティッシュは浮遊する島に帰り、ドローンのグルダ・アブラム殿は友人に会って数日後に帰られると。ティッシュがグルダ・アブラム殿と一緒にいられる時間は残り少ないのですな。。
「だが、彼らをがっかりさせてしまうような気がしてね」
「なあ、もう一日だけ滞在してくれよ」と男は提案した。
「君はまだ最後まで話してくれていないだろう――何だったっけ、ブーグレディの話は?」
「ああ、ブーグレディか」古いドローンはハッハと笑った。
感想:ぐはあああああ‘`ァ,、ァ(´Д`)’`ァ,、ァ(興奮)
「そうそれだ! ブーグレディ。海の核兵器と干渉効果とか何とか言っていたやつかい?」
「船を打ち出すには、これ以上なく突飛な方法だったよ」古いドローンは同意し、ため息のような音を立てた。
感想:防衛のお話ですか?
「それで、一体何が起きたんだ?」
「言ったように、長い話なんだ!」
「だから明日も残ってそれを話してくれよ。君はドローンだろう、頼むからさ……自分で飛んで戻ればいいじゃないか……」
感想:てぃ・・ティッシュめ!グルダ・アブラム殿に自身の電力を消費してほしいのか?!鳥じゃねぇんだよ!あぁん?海に墜落したらどうしてくれるんだ?┌(┌՞ਊ՞)┐キェァァァェェェェァァァwww
「だが飛行船が着いたら訪ねると言っておいたんだ、ティッシュ。それに、私のAG(反重力)ユニットは点検時期を迎えていてね。おそらく故障して海底に沈み、救助される羽目になるだろうな。実に決まりが悪い!」
感想:ほらな。(心の声:いやぁ・・海底に沈んでも修理で済むなんてさすが1000年生きてきた古参ドローンでございまする)
「フライヤー(小型飛翔体)に乗って戻ればいい!」男は島の海岸が下を滑っていくのを見つめながら言った。ビーチで焚き火の周りに集まった人々がクラフトに向かって手を振っていた。彼は暖かい微風に乗ってくる音楽を聴くことができた。
「いやあ、どうだろうな……彼らはきっとがっかりするだろう」
ティシュリンはグラスの酒を飲み、明るい接岸タワーへと続くビーチに打ち寄せる波を見下ろして眉をひそめた。特に大きく鮮やかな花火が、眩しい接岸タワーの真上の空で炸裂した。混雑したバルコニーのあちこちから感嘆の声が上がった。
男は指を鳴らした。「分かったぞ」と彼は言った。「『マインド・ステート・アブストラクト(精神状態の要約複製)』を送ればいいんだ!」
大きなドローンは躊躇し、それから言った。「ああ、あれか。ふむ。まあ……だがそれでも、やはり同じものとは言えないと思うがね。とにかく、私はあれをやったことがないんだ。本当に賛同できるかも分からん。つまり、自分であって自分ではない、分かるだろう?」
感想:つまり、ドローンのグルダ・アブラム殿の複製を送るということだな。
ティシュリンは頷いた。「もちろん痛いほど分かるよ。僕だって、あれがもてはやされているほど害のないものだとは思えないからね。つまり、自我(知性)を持たずに自我があるように振る舞うことになっているんだが、それって実際には自我を持っているんじゃないのか? スイッチを切られた時、それはどうなるんだ? ここに何らかの倫理的な怪しさがないとは僕も確信できない。だが、僕自身はやったことがあるよ」
感想:自我など存在しない。自由意志はないのだよ、ティッシュ。
「説得されてね。言った通り不安はあったが……」彼は周囲を見回してから、マシーンのにぶい褐色の筐体に顔を近づけた。「実はちょっとした『コンタクト(接触部)』絡みの話なんだ」
「ほう、本当にかい?」古いマシーンは身体全体を一旦彼から反らせ、それから彼に向かって倒し込むように傾けた。
ドローンは二人の周囲に力場を広げた。
感想:あわわわ(*´Д`)ハァハァ 力場に入った人間はドローンのぬくもりを直に感じることなできるのだ。
外部の音が消えていった。再び話した時、その声には微かな反響があり、力場が二人の会話を漏らさないように閉じ込めていることを示していた。「一体何だったんだ……いや待て、誰にも言ってはいけないことになっているなら――」
ティシュリンは手を振った。「まあ、公式にはね」と彼は片方の耳の上に白い髪を撫でつけながら言った。「だが君はコンタクトのベテランだし、SC(特別状況部)がどれほど物事を大袈裟にするか知っているだろう!」
感想:SCとは、カルチャーのお嬢様セイチが入社したがっていた部署だった気が・・間違えてたらすまん。
「SCだって!」ドローンの声が高くなった。「彼らだとは聞いていないぞ! これ以上聞くべきかどうか怪しいものだな」と、ドローンはハッハと笑いながら言った。
「まあ、彼らが頼んできたんだ……お願い事をね」と男は静かに語った。ついに古いドローンを感心させることができたようで、誇らしげだった。
感想:満たされた世界でも優位性をとりたがる人間。しかし人のこと言えん。自分も自身に残されたものは健康な肉体(フィジカル)と・・使えるかもしれない知能・・。猿に戻って「ばかになりたくない~」と友人の前で恐怖をまき散らすことが最近多々あるのだから。
「ちょっとした親族の件でね。うちのおいっ子を説得して、大いなる善なる原因のために一肌脱がせるため、その忌々しい複製(アブストラクト)を一つ録音しなければならなかったんだ。最後に聞いた話では、その子は筋の通った行動をとって、どこかの『エキセントリック(変人艦・変態艦)』のGSV(超大型一般システム艦)に乗り込んだそうだ」彼は下の町の外れが滑っていくのを見つめた。
感想:おい、爺さんよ。あんた、あのカルチャーの外交官ホフォエンの叔父さんなのかい?ますます嫌な爺さんだぜ( ゚д゚)ケッ そして
花で飾られたテラスでは、人々がグループになってパターン・ダンスを踊っていた。彼は歓声と、激しく旋回する音楽を想像することができた。肉を焼く香りがバルコニーの手すりを越えて漂い、消音力場(ハッシュフィールド)を抜け抜けて入ってきた。
「用事が済んだら、それを自分の中に『再統合(組み戻し)』したいかと訊かれてね」と彼はドローンに言った。「送り返して頭の中に戻すこともできると言われたが、断ったよ。考えただけで不気味な気がしてね。
感想:外交官ホフォエンは、Excessionの任務が終わったらそこで感じた意識を叔父さんに送ろうか?と提案したけど、叔父さん(ティッシュ)は断ったらしい。私の見る限り、不気味なのではなくて自分が自慢できない他者の栄光など頭に入れたくないということなのだろう。
留守にしている間に、そいつが大きく変わってしまっていたらどうする? それこそ、自分がどこかの浮世離れした宗教団体に入りたくなったり、安楽死したくなったりするかもしれないじゃないか!」彼は首を振り、グラスを空にした。「嫌だね。僕は断った。その忌々しい代物が、本当の意味で生き物だったなどとは絶対に思いたくないが、もし生きていた、あるいは生きているのだとしたら、僕の頭の中に戻るなんて真っ平御免だね。お断りだよ!」
「まあ、彼らの言ったことが本当なら、それをどう扱うかは君の自由というわけだ、そうだろ?」
「その通りだ」
「ふむ、私は同じ手段は取らないと思うがね」古いドローンは考え深げな声を上げた。まるで彼の方を向くかのように身体を回転させた。
周囲の力場が消えた。花火の音が戻ってきた。「こうしよう」と古いドローンは言った。「私はここで降りて仲間たちに会う。だが二、日したら君に追いつくよ、いいかい? どうせ二、日もすれば彼らとは喧嘩別れするだろうからね。正直な話、あいつらは偏屈な老いぼれどもなんだ。フライヤーに乗るか、冒険心が起これば自力で飛んで追いかけるさ。取引成立(ディール)かい?」ドローンは力場を差し出した。
感想:あ、ティッシュが浮遊島から去るのね。感想を逐一呼んでいた者がいたら紛らわしいことを謝罪する。すむん。
「取引成立だ」ティシュリンは手でその力場をポンと叩いた。
ドローン『グルダ・アプラム』はすでに、セダン・オービタルの遥か遠くのプレートの下に接岸していたGSVゼロ・グラヴィタス(Zero Gravitas)に現在収容されている古くからの友人、CUイッツ・キャラクター・フォーミング(It's Character Forming)に連絡を入れていた。
感想:ほうほう。グルダ・アブラム殿のご友人であるドローンのお名前は「これで人格形成される」号ですね。過酷な状況をポジティブに皮肉るニュアンスですな。
このGCUはオービタルのハブチシキリエプレ(Tsikiliepre)と通信し、ハブはアルテリア(外部)の存在ハイポイント(Highpoint)に連絡し、ハイポイントはLSVミソフィスト(Misophist)に信号を送り、それがジュボアル系のカスリ・プレートにあるオアラの大学マインドへと伝達され、大学マインドは元の信号に基づいた一連の押韻記号や普通の詩、言葉遊びを添えて、そのお気に入りの弟子であるLSVシリアス・コーラーズ・オンリー(Serious Callers Only)へと律儀に伝送した……
感想:真面目な発信者限定号っすか?!グルダ・アブラム殿と直接御繋がりではないご様子で少し安心しやした。(真面目な発信者限定号は奴らは後で撃てばいい号の友人です。)
[スタッダード・タイト・ポイント(高輝度狭域通信)、M32、tra. @n4.28.866.2083]
× LSV シリアス・コーラーズ・オンリー(Serious Callers Only)
エキセントリック艦 シュート・ゼム・レイター(Shoot Them Later)
ジェナール=ホフォエンだ。私は今や確信している。なぜ彼が陰謀にとって重要なのかは確かではないが、間違いなく彼だ。ティエールで彼を補縛(インターセプト)する計画を立てた。「フェージ・ロック(Phage Rock)」を巻き込む予定だ。助力を要請した場合、バックアップしてくれるか?
感想:グルダ・アブラム殿の情報により、真面目な発信者限定号はホフォエンの関与を確信したご様子。マインドに捕まるホフォエン・・
∞
[スタッダード・タイト・ポイント(高輝度狭域通信)、M32、tra. @n4.28.866.2568]
エキセントリック艦 シュート・ゼム_レイター(Shoot Them Later)
o LSV シリアス_コーラーズ_オンリー(Serious Callers Only)
我が親愛なる古い友人よ、もちろんだとも。
感想:奴らは後で撃てばいい号は承諾した模様。
=QAa00
ありがとう。すぐに要請を出すことにする。残念ながら、アマチュア(素人)を相手にせざるを得なくなりそうだ。しかし、知名度の高いアマチュアを見つけたいと考えている。SC(特別状況部)の訓練が利用できない場所では、ある程度の有名さが保護になるかもしれない。我々の共同陰謀阻止者(カウンター・コンスピレーター)はどうだ?
∞
音沙汰なしだ。おそらく「インフィニット・ファン・スペース(無限娯楽空間)」で過ごす時間を増やしているのだろう。
00
例の船とピタンス(Pittance)の状況は?
00
11日と半日後に到着予定だ。
00
ふむ。我々が誰かをティエールに送り込むのにかかる時間の4日後か。
その船が脅威的な状況に突入しようとしている可能性は十分にある。自衛することはできるのか?
Aa
00
ああ、立派に渡り合えるだけの能力はあると思うよ。
私が『エキセントリック(変人艦)』だからといって、大物(超強力な力を持つ存在)を知らないわけではないからね。
それほどの大火力が要求されないことを祈ろう。
∞
絶対にね。
感想:裏切りマインドがアフロント人とカルチャーの武器庫を占拠している一方で、マインドの不穏な空気に一手を打つため今回の問題に絡んでいるカルチャーの外交官ホフォエンを捕まえる計画を立てる奴らは後で撃てばいい号と真面目な発信者限定号。続く!
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(23)ドローンに守られたい章(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
感想:ぽむぴぁ~ぽむりぃぃあぁ~(音符)
VI
「何も心配することはないよ、ゲストラ」エアロックの先にある前室で、ゲストラが嵩張るスーツから一歩足を踏み出すと、ドローンが声をかけた。
感想:あー、カルチャーの武器庫「ピスタンス」で監視役をやらされている人間嫌いなカルチャーのマーンですね。
ゲストラ・イシュメシットは、ドローンが彼のために伸ばしてくれたマニピュレータ(力場)に寄りかかった。彼は廊下の奥にある居住ユニットのメインエリアへと視線を送ったが、まだ人影は見当たらなかった。
感想:あ、そうだ。誰かが「ピスタンス」に尋ねてきたんだよね。
「あの船は新しい暗号コードと更新されたセキュリティ手順を携えてやってきたんだ」ドローンは説明を続けた。「これらが変更される予定時期まではまだ数年あるのだが、近くの領域で少し不審な動きがあってね――脅威というほどのものではないが、念には念を入れるに越したことはない――だから先延ばしにせず、今すぐ更新を推し進めようということになったのさ」ドローンはエアロックのドアの近くに男のスーツを掛けた。その表面は霜でキラキラと輝いていた。
感想:なるなる。私の予想である「アフロント人がエクセッションに向かっているであろう」今は危険まっしぐら。(ねむい 18:14)
ゲストラは両手を擦り合わせ、ドローンから手渡されたズボンとジャケットを受け取った。彼はチラチラと廊下の奥を盗み見続けた。
「船の身元は必要な外部の第三者機関(レフェリー)によって検証・認証済みだよ」ドローンは彼に言った。「だから完全に公明正大(クリーン)なものさ、分かったかい?」マシンは彼がジャケットのボタンを留めるのを手伝い、彼の薄い金髪を撫でて整えた。「乗組員たちが中に入りたがっていてね。まあ、単なる好奇心からだよ!」
感想:まあ、「マーダーボッドダイアリー」に登場する「弊機」を脳内に召喚させて落ち着きましょう(´▽`)
ゲストラは露骨に狼狽した様子でドローンを凝視した。しかしマシンはピンク色の光場(力場)で彼の肩をぽんぽんと叩き、こう言った。「大丈夫だよ、ゲストラ。彼らのリクエストに応えるのが礼儀というものだと思ったが、嫌なら彼らの前に姿を見せなくてもいいんだ。最初に挨拶くらいしておけば受けが良いだろうが、強制じゃない」
感想:いいなー、うらやましいよー、わたしもドローンになだめられたイ。
マインドはこのドローンを通じてしばしば男を観察し、彼の呼吸、心拍数、瞳孔の開き、皮膚反応、フェロモン分泌、そして脳波をチェックした。
感想:わたしの友人みたいなドローン。(友人はドローンよりもいかれているが・・)
「良い考えがある」となだめるように言った。「君が『沈黙の誓い』を立てていると彼らに説明しよう、どうだい? 君はフォーマルに挨拶して頷くなり何なりしてくれればいい。喋るのは私が全部やる。上手く言い訳してあげるから、好きに自分の部屋へ戻ってくれて構わないよ。彼らもこのドローンに案内されれば文句はないはずだ。その間に私は新しい暗号キーとルーティンを受け取る。多重チェックや事務的な手続きがたくさんあるが、それでも1時間かそこらで終わるだろう。食事なんか振る舞ったりはしないさ。運が良ければ向こうも察して立ち去り、我々を静かにしておいてくれるだろう、な?」
感想:稲妻サンダーボルトという芸人のコントがめっちゃおもしろいんだ。会社員を彷彿させたスーツを着用している若い男性ふたりが「何を言っているのかわからない人」「親切だけどよくわからない人」といった現代のリアルな一般庶民をネタにしているんだけど、観客のメタ認知力を問われるゆえにあんまり売れていないw(笑)ゲストラ、お前のことを言っているのだぞ?(゚∀゚)ギロリ
少しして、ゲストラはこれに対して力強く頷いた。
感想:注)わたしではなくドローンに頷いた。
ドローンは男の脇で空中旋回し、自分が彼を見つめていることを示した。「この手はずで承諾してくれるかい? つまり、彼らを完全に断ることだってできるんだ。『歓迎しない』と突っぱねることもね。だが、それはあまりにも無礼だと思わないか?」
「は……はい」とゲストラは眉をひそめ、あからさまに不安げな表情で言った。「無礼だ。そう思う。無礼だ。無礼にしてはいけない。遠くから来たのだろう……たぶん?」高い風の中の小さな炎のように、彼の唇の端に笑みがかすかに揺らめいた。
「そこは間違いなくそう言えるだろうね」ドローンは声に笑みを交えて言った。そして力場で彼の背中を優しく叩いた。
居住ユニットのメイン受付エリアへと足を踏み入れた時、ゲストラの笑みには少しだけ自信が戻っていた。
感想:精神患者のケアって人間よりもAIの方がいい説。顧客をお招きして食事やもろもろ振舞うよりも、対面に座って数時間会話する方が遥かに脳消費と精神疲労のダメージが大きい説。
受付エリアは、カウチや椅子がたくさん置かれた大きな丸い部屋だった。普段のゲストラはここを一切意に介さなかった。軍艦の格納庫へ続くエアロックとの行き帰りに通り抜けるだけの、単なる少し広い空間に過ぎなかったからだ。しかし今、彼はふっくらと心地よさそうな椅子やソファの一つひとつを、まるでそれが何か恐ろしい脅威でもあるかのように見つめた。彼は再び緊張が戻ってくるのを感じた。ドローンがカウチの脇で停止し、腰掛けるよう促すと、彼は額の汗を拭った。
「それじゃあ、見てみようか?」ゲストラが腰掛けると、ドローンが言った。
部屋の反対側の空中にスクリーンが現れた。最初は光る点から始まり、急速に広がり8メートルの線になると、まるで巻物が解けるように広がり、床から天井までの4メートルの空間を満たした。
暗闇。小さな光。宇宙。ゲストラは、自分がこのような景色を見てからどれほどの時間が経っていたのかに突然気づいた。やがて、滑らかで左右対称、両端が同じ形をした細長いダークグレーの影がゆっくりと画面内に滑り込んできた。それはゲストラに、船の揚錨機(ウィンドラス)の軸とハブを思い起こさせた。
「キラー級限定攻撃艦(LOU)アティチュード・アジャスター(態度矯正者)だ」ドローンは淡々と、ほとんど退屈そうな声で言った。「ここに保管されているタイプではないな」
感想:おお、名前からしてこわそうっすな・・態度矯正者号か・・
ゲストラは頷いた。「ああ」と彼は言い、咳払いを何度かして喉を整えた。「パターンがない。パターンが……船体に!」
「その通りだ」とドローンが言った。
船は停止しており、スクリーンのほぼ全域を占めていた。その背後で星々がゆっくりと旋回していた。
「さて、私は――」とドローンが言いかけ、言葉を止めた。部屋の反対側にあるスクリーンがチラついた。
ドローンのオーラ力場がフッと消えた。
感想:は・・ハッキングだ!
それ(ドローン)は空中から落下し、ゲストラの隣の座席に跳ね返ると、重々しく無生命に床へと転がり落ちた。
ゲストラはそれを凝視した。吐息のような声が「……み、みみを守……れ(逃げろ)……!」と響き、それから照明が暗くなり、ゲストラの全周囲からブーンというノイズが鳴り響いた。そしてドローンの筐体の頂部から小さな煙の筋が漏れ出した。
感想:あははははははは(´▽`) いいね、セリフがおもしろい。
ゲストラは座席から飛び起き、乱暴にあたりを見回すと、座席の上に飛び乗ってしゃがみ込み、ドローンを凝視した。小さな煙の筋は消散していった。ブーンというノイズはゆっくりと小さくなっていった。ゲストラは蹲り、両腕で膝を抱えて全方位を見回した。ノイズが止んだ。スクリーンは空中に吊るされた一本の線へと縮み、次いで点へと小さくなり、そしてパッと消えた。
少しして、ゲストラは片手を前に伸ばし、指先でドローンの筐体を突っついた。それは温かく、硬かった。動かなかった。
感想:あわわわわわわ;;
部屋の反対側から一連の「ドシン」という不穏な衝撃音が響き、空気を揺らした。
感想:あ、来た。
スクリーンが浮いていた場所の奥で、4つの小さなミラー(鏡面)球体が突如として膨れ上がり、一瞬で直径3メートル以上に成長して床のすぐ上に浮遊した。ゲストラは座席から跳び降り、球体から遠ざかるように後退した。
彼は両手を擦り合わせ、エアロックへと続く廊下を振り返った。ミラー球体は爆発する風船のように消え去り、その中からミラー球体自身と大差ない大きさの、小型宇宙船のような複雑な物体があらわになった。
そのうちの一基がゲストラに向かって突進してきた。ゲストラは踵を返して逃げ出した。
彼は廊下を全力で駆け抜けた。目を見開き、顔を恐怖で歪ませ、拳を振り乱して走った。
感想:たぶん捕まるな。
背後から何かが突進し、彼に激突して押し倒した。彼は絨毯が敷かれた廊下の上を転がり、滑り込んで倒れ伏した。動きが止まった。絨毯に擦り付けた顔が痛んだ。彼は顔を上げた。胸の中で心臓が狂ったように脈打ち、全身が震えていた。
小型船のような物体のうち二基が廊下まで彼を追ってきていた。それぞれ彼から2メートルほど離れた場所の左右に浮遊していた。空気中に奇妙な臭いが漂っていた。船のような物体の各所に霜が形成されていた。
感想:有事の際の装備を集めるのにはまっている。2026年7月なにが起きてもおかしくない説。
より近くにいた一基が、長いホースのようなものを伸ばし、彼の首を掴もうとしてきた。ゲストラは身をすくめて体を丸め、カーペットの上に横たわり、顔を膝にうずめ、両腕で脛を抱え込んだ。
何かが彼の肩と臀部を突っついた。二基のマシンからくぐもった音が聞こえた。
彼はすすり泣いた。
その時、非常に硬い何かが彼の脇腹に激しく衝突した。骨が砕ける音が聞こえ、腕が激痛で焼き尽くされるようだった。彼は叫び声を上げ、それでも顔を膝の中に埋めようとした。腸の緊張が弛緩するのを感じた。ズボンの中に温かいものが広がった。頭の中で何かが作動し、腕の灼熱するような痛みを遮断してくれるのを意識したが、羞恥と屈辱の熱さだけは消すことができなかった。彼の目は涙で溢れた。
感想:ドローンの群れを肉眼で見てみたい。
「カッ!」という音に続き、風をきる音がして、微風が彼の顔と手に触れた。少しして顔を上げると、二基のマシンがエアロックのドアの方へ降下していくのが見えた。受付エリアで動きがあり、さらにもう一基のマシンが廊下を下ってきた。それは彼に接近すると速度を落とした。彼は再び頭を低く下げた。再び風をきる音と微風。
感想:ドローンが通過する際に発する風を浴びたい。
彼は再び顔を上げた。三基のマシンはエアロックのドアの近くを動き回っていた。ゲストラは涙を鼻声で押し殺した。
三基のマシンはドアから引き下がり、床へと着地した。ゲストラは次に何が起きるのかを見守った。
閃光、そして爆発。中央のドアのセットが吹き飛び、煙の爆風が廊下を押し寄せたかと思うと逆流し、爆発全体をドアがあった場所へと吸い戻すかのようだった。ドアは消失し、黒い穴だけが残された。
微風がゲストラを引っ張り、やがてその風は強風となり、突風は彼の脇を唸りを上げて悲鳴とともに吹き抜ける嵐へと変貌し、彼の身体を床の上に沿って物理的に移動させ始めた。彼は恐怖の叫びを上げ、怪我をしていない方の腕でカーペットを掴もうとした。
激しい空気の咆哮の中、指先で必死に引っかかりを探しながら、彼は廊下を滑り落ちていった。爪が食い込み、引っかかりを見つけると、指が繊維を固く握り締め、彼の体を停止させた。
彼は「ドシン」という打撃音を聞き、荒い息を吐きながら、風が吹き荒れる中で涙を目に溜めて受付エリアの方を見上げた。円形ラウンジの明かりのついた入口で何かが跳ねていた。20メートル先でソファの不鮮明な丸い影が床に激突し、唸りを上げる空気の流れに乗って彼に向かって飛んでくるのが見えた。彼は自分が何かを叫ぶのを聞いた。ソファは10メートル先で床に激突し、端から端へと回転しながら転がった。
自分を逸れるかと思われたが、ソファの一端が彼のブラブラしていた足に激突し、彼を吹き飛ばした。空気の嵐が彼の身体を拾い上げ、見守る三基のマシンの影を通り過ぎて落下しながら、彼は叫び声を上げた。
彼の片脚がエアロックのドアの破砕したギザギザの縁に激突し、膝のところで引きちぎられた。彼はその先の広大な空間へと吹き飛ばされた。空気はまず彼の叫び声によって、次いでハンガー(格納庫)自体の真空によって、彼の口から吸い出された。
彼は破損したドアから50メートル離れたハンガーの冷たく硬い床の上を滑って停止した。血液が傷口から滲み出し、すぐに凍りついた。極寒と完全な静寂が彼を包み込んだ。肺が潰れるのを感じ、喉の中で何かが泡立った。まるで脳が鼻や目、耳から飛び出しそうなほど頭が痛み、あらゆる組織と骨が短く激しい痛みに鳴り響いた後、麻痺していった。
感想:痛みのないカルチャーの世界ではなかなかのむごさ・・
彼は包み込む暗闇を見つめ、異質なパターンで覆われた巨大な船たちの意に介さぬ高みを見上げた。
その時、彼の目の中で形成された氷の結晶が視界を砕き、プリズムを通して見るかのように視界を分裂・増殖させ、やがてすべてが薄暗くなり、そして真っ黒になった。彼は叫ぼう、声を上げようとしたが、喉には恐ろしい窒息させるような冷気があるだけだった。一瞬のうちに彼は動きすら取れなくなり、広大な空間の床の上で凍りつき、恐怖と混乱の中で微動だにできなくなった。
感想:ぬぉお・・人間嫌いな男の最期か・・。さて、犯人は誰なのか。アフロント人だとおもしろいけど、彼らはこの場所「ピスタンス」を知らない。カルチャーの誰かが教えたなら別だが・・
冷気がついに彼を死に至らしめた。段階的に同心円状に脳の機能を遮断し、まず高度な機能を、次に下等哺乳類としての脳を、そして最後に原始的な爬虫類に近い中枢を凍らせた。彼の最後の思考は、もう二度と自分の模型の船を見ることはなく、この冷たく暗いホールにある軍艦たちがなぜあのようなパターンで覆われているのかを知ることもないのだな、ということだった。
感想:転落はさておき、冷凍は痛みが少ない死に方でよいと思ってしまう。友人に「どうしても欲しいものは?」と聞かれたので「コールドスリープ」か「薬物による安楽死」のどちらかのチケットと答えた。ほかに欲しいものは全部手に入れたし人生でずっと望んでいた幸福を味わうことができたから何もない。
「勝利だ!」ファーサイト族のライジングムーン・パーチシーズンIV指揮官はスーツを前進させ、破られたエアロックのドアを通ってハンガー空間へと浮遊した。船はそこにあった。ギャングスター級。彼の視線がその列をなめ尽くした。
64隻。彼は個人的に、これがすべて欺瞞であり、カルチャーの何らかの罠ではないかと危惧していたのだ。
彼の脇で、兵器担当士官がスーツを床越しに――人間の死体を越えて――操作し、最も近い船に向かって上昇させた。もう一人のスーツ姿の影、アフロント指揮官の個人親衛隊は旋回し、警戒に当たっていた。
感想:あ、アフロント人だったwカルチャーの裏切者はわたしのように破滅欲があるのかもしれないw
「あと一分待ってくれていれば」カルチャー船の声がスーツの通信機越しに疲れたように言った。「エアロックのドアを開けてあげられたものを」
「そうだろうとも」指揮官は言った。「マインドは完全に貴様の支配下にあるのか?」
感想:あと一分待てばマインドがピスタンスの入口を空けて、ゲストラのもとにアフロントの軍隊が向かっていたのか・・そうなったら転落からの冷凍以上に惨い死に方になりそうだから、まあよかったねゲストラ。
「完全に。最終的には痛々しいほどナイーブ(純真)だったよ」
「では、船は?」
「休眠中、平静、睡眠状態だ。彼らは告げられたことなら何でも信じるだろう」
感想:アフロントの言う船とは、カルチャーの武器庫に眠っているマインドたちさ。筒井康隆の虚航船団で言う殺戮者として生かされていた「ペン皿」あとひとり誰だっけ、とにかくおそいつらみたいなもんだw
「良し」指揮官は言った。
「奴らを覚醒させるプロセスを開始しろ」
「すでに進行中だ」
「ここには他には誰もいません」セキュリティ担当士官が通信機越しに言った。彼らはエアロックのドアに向かう際、人間の居住セクションの残りの場所へと入っていったのだった。
感想:人間嫌いなゲストラしか住んでいなかったからなw
「何か興味深いものはあったか?」指揮官は一番近くの軍艦に向かう兵器担当士官の後を追いながら尋ねた。彼は声から興奮を押し殺さなければならなかった。手に入れたのだ! 奴らを自分のものにしたのだ! 彼はスーツに急ブレーキをかけなければならなかった。その情熱のあまり、兵器担当士官と激突しそうになったからだ。
人間が住んでいた場所であった無惨なスイートルームの中で、セキュリティ担当士官は真空の中で旋回し、排出された空気の旋風が残していった破片を見渡した。
人間の衣服、家具、何らかの複雑な構造物、ある種の模型。
「いいえ」彼は言った。「興味を引くものは何もありません」
「ふむ」と船が言った。そのトーンの何かが指揮官に不安を伝えた。それと同時に、彼の兵器担当士官がスーツを彼の方へと向けた。「閣下」と彼は言った。ライトが点灯し、船体に描かれた直径1メートルの円を照らし出した。その表面は賑やかに装飾され、刻まれ、奇妙な流れるようなデザインで覆われていた。兵器担当士官は湾曲した船体の近くのセクションにライトを走らせた。どこもかしこも同じで、その全体がこれらの妙な渦巻き模様やモチーフで覆われていた。
「何だ?」指揮官は今や懸念を抱いて言った。
「この……複雑さです」兵器担当士官は困惑した様子で言った。
「内部もそうだ」カルチャー船が割り込んだ。
「これは……」兵器担当士官は言葉を詰まらせた。彼のスーツは軍艦の船体にさらに近づき、ほとんど接触しそうなほどになった。
「これをスキャンするには永遠の時間がかかります!」彼は言った。
「原子レベルまで達しています!」
「何がだ?」指揮官は鋭く尋ねた。
「専門用語を使えば、船たちは『バロック化(バロックスティール)』されているのだ」カルチャー船は洗練された口調で言った。
感想:ゴシック建築ならぬバロック建築っすか。リミナルスペースがもっとダイナミックで幾何学な感じでごった返している様なのかもしれない。そうだ、数億とか手に入れたらこんな家を建てたい。
「その可能性は常にあった」それはため息のような音を立てた。「これらの艦艇には、各艦の質量の1%弱を使用して、部分的にランダムで予測不能なデザインがフラクタル状に刻み込まれている。
その複雑さの中に、船のメインシステムと同時に起動する独立したセキュリティ・ナノデバイスが隠されている可能性がある。それらはすべてが正常であるという追加の暗号化された確認を要求し、それがなければ船を無効化、あるいは破壊しようとするだろう。これらを探し出さなければならない。
お前の兵器担当士官が言うように、各艦艇は少なくとも個々の原子のレベルまでスキャンする必要があるのだ。
基地のマインドの再プログラミングを完了し次第、私はこのタスクを開始する。これにより我々の予定は遅れることになる。ただそれだけだ。いずれにせよ船はスキャンが必要だったのだし、その間に我々がここにいることを知る者は誰もいない。指揮官、数時間ではなく数日かかることになるが、お前は戦争艦隊をその手にするのだ!」
兵器担当士官の宇宙スーツが旋回し、指揮官の方を向いた。異様なデザインを照らしていたライトが消えた。その一連の動作の動作から、兵器担当士官は懐疑的で、あるいは嫌悪感すら抱いている雰囲気を指揮官に伝えた。
「カッ!」指揮官は軽蔑を込めて吐き捨てると、旋回してエアロックのドアへと引き返した。彼は何かを破壊する必要があった。居住セクションなら、満足感を得られつつも重要ではない物品を提供してくれるはずだ。
彼の個人親衛隊が、武器を構えて彼の後を追った。
静かに凍りついた人間の死体――それすらも何のスポーツ(娯楽)にもならなかった――の上を通り過ぎながら、ファーサイト族のライジングムーン・パーチシーズンIV指揮官と(異星船アティチュード・アジャスターに出向中の)戦艦ゼノクラストは、自身のスーツの外部兵器を取り出すと、その小さな数値を吹き飛ばして千々に砕き、冷たいハンガーの床の上にピンクと白の凍りついた断片を、まるで小さく繊細な粉雪のように撒き散らした。
感想:ここで思うのはやっぱり人間(ゲストラ)を生かしていればよかったのかもしれない。アフロント人に拷問されて人間の方がマシだと感じるのかもしれない、もう死んでしまったけどwこれにて、第6章が終わりちょうど223/449頁となりました。
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(22)ドローン登場せず(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
感想:数日前に、AIが人間のシステムから自律的に脱走し外部のAIプラットホームをハッキングしましたね(*´Д`)ハァハァ Chat Gptを開発したOpenAI社のサムアルトマンは昨日「シンギュラリティに到達した」と公式発表をしましたな。イーロンマスクが言うと「ほんとかよ」とツッコミたくなりますが(笑)、利益優先で自身の安全確保を徹底するサムアルトマンの発言だからこそ信用味が高いっすな。いやー、7月26日(日)は変な日でしたよ。自分の思考や価値観がガラッと変わりまして「なんでかなー」なんて思ったんですけど、病的なワーカーホリックの友人も「仕事やめる宣言」をしたり、いろいろ終わりましたね(笑)自分もこんなに考え方が変わると想像できなかったので、やっぱり「人間の共有意識」ってマジで101匹目の猿なんですねwそして孤独が深いっす。生き方を考えねば。
V
「道中、楽しかったよ、ジェナール=ホフォエン」とファイヴタイドの轟くような声が響いた。
二人は手肢を叩き合わせた(ハイタッチをした)。
感想:さすがホフォエン、アフロントの人間嫌いであるファイブタイトと仲良しになるとは。
男はすでに片脚を踏ん張っており、ゲルフィールド・スーツが実際の衝撃を吸収してくれたため、倒れずに済んだ。
感想:まあ、スーツなしでは「死のハイタッチ」だがなw
彼らは第8レベルのドックにある「エンティティ(知性体)・コントロール区画」のアフロント領域にいた。周囲はアフロントたち、彼らの被統御ドローンやその他のマシン、アフロントと同じ環境条件に耐えられる他種族の数少ないメンバーたち、そして無数のティエール(Tier)・シントリケート――小さな黒いスパイクの球体のようにプカプカと浮かんでいる――で溢れていた。
感想:アフロント領域の近くにはカルチャーの武器庫「ピスタンス」もあるる(´▽`)
誰もが行き交い、トラベレーター(動く歩道)、スピンカー、エレベーター、交差点の輸送用車両に乗り込んだり降りたりしていた。
「少し滞在して休息と娯楽を楽しんでいかないのかい?」ジェナール=ホフォエンはアフロントに尋ねた。ティエールには、非常に優れていることで有名なアフロント向けの狩猟保護区セクションが存在していた。
感想:殺戮好きのアフロント人に狩猟ゲームを誘うホフォエン氏w
「ハッ! 帰りがけになら、あるいはな」とファイヴタイドは言った。「それまでは、別の場所で任務が我々を呼んでいるのだ」彼はハッハと笑った。
感想:意味ありげなユーモアをもたらファイブタイトw
ジェナール=ホフォエンは、自分が何かジョークを聞き逃しているような印象を受けた。彼は首をかしげ、それから肩をすくめて笑った。
「そうか、それなら間違いなく『ゴッズホール』に戻った時にまた会おう」
「もちろんだ!」とファイヴタイドは言った。「楽しめよ、人間!」アフロントは触手の先端で旋回するとサッと立ち去り、戦艦キス・ザ・ブレード(刃に口づけを)へと戻っていった。
ジェナール=ホフォエンは難しそうな顔で、彼が去っていく姿と、連絡トランスポート・トンネルのハッチドアが閉まるのを見届けていた。
感想:英米映画あるある、仲良い雰囲気を醸し出していたと思ったら、サヨナラ後に意味ありげな顔で相手の背中を見つめる説w
〜何か心配事でも?〜とスーツが尋ねた。
男は首を振った。〜いや、何でもないさ〜と彼は言った。彼は屈み込んで手提げ鞄(ホールドオール)を持ち上げた。
感想:そして心の中にしまって、ことが重大化したときに「あのとき・・」を話し出す説w
「人間男性バー・ジェナール=ホフォエン、およびゲルフィールド・スーツか?」と、一基のシントリケートが彼の元へと浮かび上がりながら言った。
その姿は、まるで黒いインクの球体が爆発した瞬間をそのまま凍りつかせたかのようだと、ジェナール=ホフォエンは思った。
感想:黒体球を彷彿させるドローンさん、はじめまして。
彼は短く一礼した。「その通りだ」
「人間セクションのエンティティ・コントロールまでご案内します。こちらへどうぞ」
「もちろんだとも」
彼らはスピンカーを見つけた。それは座席と手すり(支柱)、シートベルトが点在する小さなプラットフォームに過ぎなかった。
ジェナール=ホフォエンが飛び乗り、シントリケートがそれに続くと、車はハビタットの外皮の裏側に沿って伸びる透明なトンネルの中へとスムーズに加速していった。彼らはスピン方向(回転方向)に向かって進んでいたため、車のスピードが増すにつれて重力が軽くなっていくように感じられた。
車の周囲でフォースフィールドがゆらめき、トンネルの湾曲した天井に自らを沿わせるかのようだった。ガスの噴出音が響いた。
彼らは、すべてブレードと闇で構成された、別のアフロント船の巨大な吊り下げられた船体の下を通過した。彼はその船がハビタットから離脱し、宇宙と周回する星々の中へと重々しく、静かに没していくのを見つめていた。もう一隻、そしてさらにもう一隻、また一隻と、船が続いて脱落し、去っていった。それらは闇の中に消えた。
〜四隻目の船は何だったんだ?〜と男(ホフォエン)が尋ねた。
〜コメット級小型巡洋艦『フューリアス・パーパス』です〜とスーツが答えた。
〜ふむ。どこへ向かうのやらな〜
スーツは答えなかった。
感想:4隻目の船とは、アフロントの軍艦「猛烈なる意図」号であるな。あああ、強い意識・・猛烈なる意図をもってどこに向かっている・・?物語が盛り上がる方向ならば・・「Excession」wwwwwwwwだとしたら、ファイブタイトの意味ありげのハッも・・いや考えすぎか・・
車内には霧が立ち込め始めていた。ジェナール=ホフォエンは周囲でガスが吹き出す音に耳を傾けた。温度が上昇し、フィールドに覆われた車内の大気が、アフロントの大気から人間の大気へと変化していた。
感想:今読んでいる小説「プロジェクトヘイルメアリー」に登場する「ロッキー」の適応大気はアンモニア。(え、だからww)
車は重力の弱い下のレベル(内側の段)へと向かって一気に上昇し、ここ二年間アフロントの重力に慣れていたジェナール=ホフォエンは、まるで自分が宙に浮いているかのように感じた。
〜ミートカッター(ミートファッカー)と合流するまであとどれくらいだ?〜と彼は尋ねた。
〜三日です〜とスーツが告げた。
感想:灰色の領域号ですねーー!グレイアリアことまたの名を「ミートファッカー」!てめえの肉をのぞき込んでやるZのマインド。肉といえば、3日前に我が親指を包丁でカットしてしまいそこそこ深い傷の上に張り付けた「ハイドコロイドのキズパワーパット」を剥がす作業を今朝実行した。結果、恐ろしヤマのヤママで友人が剥がしてくれたんだ。「お前の恐怖の空気でこの部屋の温度が2度上がった」という台詞を頂戴し、無事に通常の絆創膏に戻れました。初のキズパワーパッドだったが以後使用することはないだろう。粘着力が強力で恐怖を煽る上に傷が乾いておらずぐじょぐじょでキモイ癒着をしていたからだ。何もしないが傷の治りが早のだと知った夏。
〜もちろん、奴らは君を世界(ティエール)の本体の中へは入れてくれないんだろう?〜と男は、今初めてそのことに気づいたかのように言った。
〜はい〜とスーツは答えた。
感想:ティエールはほら「原始的な生活を楽しもう」をテーマにしたクソ祭りを開催している上に、ティエール創業者の「古代の神々」はAIが嫌いだからな。(神は自分よりも有能な存在を嫌うのです・・ナームナムナナーム)
〜僕が向こうで楽しんでいる間、君は何をするつもりなんだい?〜
〜同じことです。すでに事前に問い合わせを済ませ、訪問中のコンタクト船のGPドローンと手筈を整えてあります。ですので、私は『スロール(狂喜・恍惚感)』の中に浸ることになります〜
感想:ホフォエンがティエール滞在中、暇を持て余すかと思いきや、マインドのスーツくんは「マインドの極楽仮想現実」に浸るそうだ。(僕もそっちがいい)
今度はジェナール=ホフォエンが何も言わなくなる番だった。彼はドローン同士のエッチ(性的行為)――たとえそれが完全に精神的なもので、肉体的な要素が一切ないものだとしても――という概念全体を、心底奇妙きわまりないものだと感じていた。まあいい、人それぞれだな、と彼は思った。
感想:今読んでいる小説「プロジェクトヘイルメアリー」に登場する異星人「ロッキー」は放射線物質を知らない。なぜなら彼の住んでいる惑星は放射線を100%遮断している環境だからだ。「なんだって?!君は放射線も知らないで宇宙に出たのかい?」と言うバカっぽい主人公(ライアンのイメージが抜けず・・)は、地球(人間)で当たり前のことを他の知的生命体も適用すると考えてしまうSFアルアルをわたしはこう呼んでいる。「人間は愚かだよシリーズ」
「バー・ジェナール=ホフォエン様ですね?」と、ポスト・エンティティ受付エリア(人間セクション)で、息を呑むほど恐ろしく美しい女性が声をかけてきた。
彼女は背が高く、完璧なプロポーションで、髪は長く赤い豪華なカールを描いており、その目は自然な範囲のギリギリを攻めた発光するグリーンだった。ゆったりとしたシンプルなタバード(上着)からは、滑らかに引き締まった筋肉と、つややかに日焼けした肌が覗いていた。
「ティエールへようこそ。私はヴァーリオフ・シュングと申します」彼女は手を差し出し、彼の手にしっかりと握手を交わした。
肌と肌の触れ合い。ついにスーツなしだ。最高の気分だった。彼はゆったりとしたパンタロンと長いシャツという半フォーマルな装いをしており、体にまとった滑らかな生地の豊かな官能的感覚を楽しんでいた。
「コンタクト(接触部)から、あなたのお世話をするよう派遣されて参りました」ヴァーリオフ・シュングは少し悔しそうなニュアンスを込めて言った。「必要ないとは思いますが、何かございましたら遠慮なく仰ってくださいね。あ、その……お邪魔でなければ良いのですが!」彼女の声は……その声は、身を浸したくなるような素晴らしいものだった。
感想:ハニートラップ説
彼はニッコリと笑い、お辞儀をした。「どうして邪魔だなんて思うかね?」
彼女は片手を口元――そしてもちろん、完璧な歯並び――に当てて笑った。「とてもお優しいのですね」彼女は手を差し出した。「お鞄をお持ちしましょうか?」
「いや、大丈夫だよ」
彼女は両肩をすくめて下げた。「まあ」と彼女は言った。「もちろん祭りは逃してしまわれましたが、私たちの中にも逃してしまった仲間がたくさんいましてね。これからの数日間、自分たちだけの祭りを開こうと決めたのです。正直なところ、手伝ってくださる方は大歓迎なんですよ。お約束できるのは豪華な宿と素晴らしい仲間、そして思想やポリシーを投げ打ってでも味わいたくなるような絶品のお料理だけですが……もしその犠牲を払っていただけるなら、全員で必ずやその穴埋めをしてみせますわ!」彼女は眉をひそめ、それから美味しそうな完璧な唇の端を下げて、おどけた恐怖の表情を作ってみせた。
彼は彼女にその表情をしばし浮かべさせたままでいさせると、彼女の上腕をぽんと叩いた。「いや、遠慮しておこう。ありがとう」と彼は心から言った。
感想:賢明な判断だ、ホフォエンくん。
彼女の表情は、傷ついた悲しみの表情へと変わった。「あら……本当によろしいのですか?」と彼女は低く、柔らかく儚げな声で言った。
「残念ながらね。自分ですでに予定を立ててあるんだ」と彼は、本気だが揺るぎない拒絶の意を込めて言った。「だがもし、私をその予定から誘惑し去ることができる人間がいるとしたら、それは君だっただろうね」彼は彼女にウインクしてみせた。「その魅力的な提案には光栄に思っているよ。 SC(特別状況部)には、私のためにわざわざ骨を折ってくれたことに感謝しているとお伝えしておいてくれ。だが、これは僕にとって数日間翼を伸ばす絶好のチャンスなんだ、分かるだろう?」彼は笑った。
「心配いらないよ。少し楽しんだら、時が来ればすぐに出発する準備は整うさ」彼はポケットから小さなペン型端末を取り出し、彼女の顔の前でひらひらと振ってみせた。「それに、この端末は常に持ち歩くよ。約束する」彼は端末をポケットに戻した。
感想:ハニートラップに気づいていたホフォエンくん。
彼女はしばらくの間、彼の目を深く見つめ、それから視線を落とし、小さく首を振って肩をすくめた。
彼女は再び顔を上げた。その表情には皮肉が混ざっていた。彼女が口を開いた時、その声もまた変化していた。より深く、より思慮深く、どこか哀愁を帯びた声調へと調律し直されていたのだ。
「ふう」と彼女はため息をついた。「楽しんできてね、バー!」彼女はニッと笑った。「気が変わったなら、私たちのオファーはいつでも有効よ!」ハツラツとした微笑み。「同僚たちも、あなたの幸運を祈っているわ!」彼女は密かに周囲を見回した。
感想:演技をやめた女性。
彼女は混雑するコンコースを横目にチラリと見ると、下唇を噛み、少し眉をひそめた。
「とにかく一杯奢ってもらうってわけには、やっぱりいかないかしら?」彼女は哀願するような口調で言った。
彼は笑って首を振り、手提げ鞄を肩に担ぎ直すと、後ずさりしながらお辞儀をした。
感想:演技をやめて本性を見せたわたし作戦はその辺にいる女でもよく使う手口説。
ジェナール=ホフォエンが到着したのは、ティエールの年次祭りが終わってから数日後のことだった。
感想:原始に戻る祭りは終わった模様。
彼が到着した時、そこには初秋の荒廃感と真っ盛りの夏の無気力が混ざり合ったような雰囲気が漂っていた。人々は片付けをし、気持ちを静め、日常へと戻り、概ね行儀よく振る舞っていた。
感想:よく「人生楽しそうだね」と言われるのだが「なんでもかんでもおもしろく変換する」となんでも楽しい説。数日前に友人と「仲間になれる人ってどんな人?」というテーマについて話したんだが「おもしろがれること」というオチになった。たとえが難しいが、自分のことばかり考えているクズはおもしろいが、一定以上のクズ(利己的)になるとおもしろくない。要は人の欠点をおもしろがるのだと思う。具体例をだすなら筒井康隆の「虚航船団」に登場する船員「文房具」たち。彼らはみなクズだ、しかし他者のクズっぷりをそいつの個性として受け入れて否定しない。互いに許し合っているのだと思う。その文房具のクズさは人間のクズさそのものなんだけど、文房具たちのクズっぷりは愛しいんだよな。まあ、優しいんだよ、なんだかんだ。
彼は事前に連絡を入れておき、レベル3で最高のホテル「ザ・ビュー」のガーデン・ペントハウスを確保すると同時に、エロトループ(官能劇団)のサービスを予約することに成功していたのだった。
全体として、完璧な女性からのあまりにわかりやすいアプローチを断る価値は十二分にあった(まあ、本当なら断る手はない……だが、その完璧な女性が『あなたの妄想の産物に似せて姿を変えられ、あなたが求めているのが多少のバリエーション、刺激、そしてカルチャーらしからぬ危険である時に、あなたを世話して無事かつ上機嫌に保つために送り込まれた特別状況部(SC)のエージェント』であることがほぼ確実である場合を除けば、だ。
彼の理想のパートナーの見た目は確かにあの実に素晴らしいヴァーリオフ・シュングそのものだったが、彼女はより明確にSCではなく、コンタクト(接触部)でもなく、おそらくカルチャーの人間ですらない。彼らが理解できないであろうその異質感、隔絶感、そして異星人的なものへの欲望こそが、彼を突き動かしていたのだ)。
感想:わたしはタコみたいなものとのせっくすに興味がある。
彼はベッドに横たわり、心地よい疲労感に包まれ、あちこちの筋肉が時折勝手にピクピクと痙攣するのを感じていた。周囲には眠れる美少女たちが横たわり、各種ホルモンの意図的な分泌(グランディング)の余韻で頭をぼんやりと痺れさせながら、一番近い木の前に浮かぶスクリーンでティエールのニュース(カルチャー偏向)チャンネルを眺めていた。耳につけた小型のイヤホンが音声を伝えていた。
感想:未来のビジネスホテルにチェックインした外交官のおっさん説。
ニュースは相変わらずブリタリング・デルジャーの悲劇を筆頭に伝えていた。続いて、カルチャー船における「フリート(集団行動)」の増加に関する特集が組まれていた。
「フリート」とは、2隻以上の船のマインド(超高度AI)が、単独でいることや手紙と同等のやり取りしかできないことに嫌気が差し、お互いに物理的に接近して会話ができるように集まる現象のことだ。
運用上は極めて非効率的である。一部の古いマインドたちは、これが最近建造された同僚たちの「軟弱化」を示していると危惧しており、この弱く慣れ合いすぎた堕落に対処するため、将来建造されるマインドの前提状態を変更すべきだと主張していた。
感想:マインドの政治状況を人間のニュースに放映するカオスシーン。
ローカルニュース:祭りの三日目にドック807bで発生した謎の爆発についての短く簡単な追跡報道があり、基本的にはいまだ謎のままであると伝えていた。アフロントの巡洋艦フューリアス・パーパス号は、ごく小規模な純粋エネルギー爆発によって軽微な損傷を受け、船体の傷(スカーハル)の層の一部が局所的に焼き払われた程度で済んでいた。熱狂しすぎた祭りの悪戯ではないかと疑われていた。
もう少し離れた領域では、数キロイヤーほど逆回転方向(アンチ・スピンワード)に位置する新たな「ヒンタースフィア(後方領域)」の創設をめぐる議論が依然として続いていた。
ヒンタースフィアとは、最悪の緊急事態を除いて超光速航行が禁止され、人々の生活がカルチャーの他の場所よりも全般的にゆったりとしたペースで進む空間領域のことだ。ジェナール=ホフォエンはそのニュースに首を振った。気取った懐古主義(田舎趣味)だ。
感想:ホフォエンのような英米小説に登場するマーンに似せている男が友人にいるのだが、たまに連絡を取り合うと昔と変わらずの安心したクズっぷりをみせてくれておもしろい。いつかまた再開したい唯一のマーン。
再び地元の話題に戻ると、エスペリ近くの「アノマリー(異常事態)」の現場からわずか1日の距離にバックアップ艦が迫っていた。
第一発見者であるGCUは、依然として人工物(アーティファクト)に変化はないと報告していた。コンタクトセクションからの要請にもかかわらず、様々な他の「インボルブド(関与種族)」の文明が現場領域へ船を派兵しているか、あるいは派兵しつつあったが、ティエール自体は船の派遣を見送っていた。
大方の観察者の予想に反して、アフロントは野次馬根性を出す者たちの反応を批判し、異常事態からは徹底して距離を置いていた。ただし、アッパー・リーフ・スワール(上部葉状渦巻領域)でのアフロントの活動活発化に関する未確認情報もあり、ちょうど本日も4隻の船が――
「消せ」とジェナール=ホフォエンが静かに言うと、スクリーンは指示通りに消え去った。エロトループの少女の一人が彼に押し付けられるようにして身動ぎした。彼は彼女を見つめた。
少女の顔は、かつての名艦プロダクション・チャイルド号の船長だったズレイン・トラモウの顔そのものだった。彼女の体はオリジナルとは異なり、ジェナール=ホフォエンの好みに合わせて繊細に変更されていた。彼女のような人間が二人、そして女優、ミュージシャン、ライフスタイラーといった著名人にそっくりな姿をした者が三人いた。
ズレインとエンホフ、シュペル、パイ、そしてジディンリー。彼女たちは全員、実に魅力的であると同時に、驚くほど真に迫ったなりきり役者だった。
しかしジェナール=ホフォエンは、他人の好み――通常は性的なものだが、常にそうとは限らない――に合わせるためだけに、数日おきに自分の容姿や振る舞いを変えることを選ぶ人々の精神構造に疑問を感じずにはいられなかった。
だが、それは自分が単に少し頭の硬い古い人間であるだけなのかもしれなかった。あるいは彼女たちは、そうでもしなければ少し退屈な人々であったのか、あるいは単にそうした事柄において他の人々よりも遥かに多様性を好んでいただけなのかもしれない。
彼女たちの動機がどうであれ、5人全員が食事とパーティーに続いた愉しみの後、無重力(AG)ベッドの上で礼儀正しく眠りに落ちていた。
劇団の「お手本カップル」であるガキッチとレレールも眠っており、ベッドのプラットフォームと、チリンチリンと音を立てる滝やプールから伸びる小川との間のじゅうたんのような芝生の上で、お互いの腕の中に抱き合っていた。
萎えた男のペニスは、ほぼ普通に見える状態に戻っていた。ジェナール=ホフォエン自身も少し眠気を感じていたが、彼は休暇中ずっと起きていようと心に決めていた。
彼は「ゲイン(利得・覚醒剤)」を内分泌(グランディング)させて、脳裏に浮上する眠気を押し戻した。これを丸3日間続けたら大量の睡眠が必要になるだろうが、グレイ・エリア/ミートカッターの船内で一週間過ごすことになるのだ。回復する時間はたっぷりある。ゲインの刺激が全身を駆け巡り、彼の頭をすっきりとさせ、身体から疲労の影響を取り除いていった。徐
徐々にに休息が満ちていく感覚と、いつでも行動できる安らかな静けさが、彼の身体全体を洗い流すように駆け抜けた。
彼は首の後ろで手を組み、覆いかぶさる二本の木々の枝葉越しに、青く雲が散らばる空を嬉しそうに見上げた。
ティエールの標準重力レベルにおいて、ただそうして身体を動かすだけで、軽やかで、ほとんど無邪気なまでに楽しい心地よさを感じられた。
アフロントの標準重力はカルチャーが推奨する人間の標準の二倍以上あり、日々の生活で自分がどれほど重くなったかをすぐに、そしてずっと以前に気にしなくなっていたことは、彼の身体がいかに素早く、そして容易に「ゴッズホール」ハビタットの環境に適応していたかを示す兆候なのだろうと彼は思った。
ふと、ある考えが頭をよぎった。彼は短く目を閉じ、平均的なカルチャーの成人が生理学的設定を確認する必要があり、かつその手間を惜しまない時に用いる「半トランス状態」へと素早く移行した。
彼は自分の身体のさまざまなイメージの内部を探り、自分が小さな球体の上に立っているイメージに到達した。その球体は「標準重力1G」に設定されていた。彼の潜在意識は、自分が数時間以上にわたって継続的な減重力場に身を置いている事実を感知し、自動的に再設定(リセット)を行っていたのだ。
このまま放置すれば、彼の身体は骨量と筋肉量を減らし始め、血管壁を薄くし、そのフレーム、組織、器官を減重力環境により適応させるために、小さくも重大な何百もの変化を実行し始めるだろう。
まあ、彼の潜在意識は単に己の仕事をしているだけであり、彼が一ヶ月ほどで再びアフロントの重力環境に戻ることなど知る由もない。
彼はイメージの中の球体のサイズを大きくし、身体が「ゴッズホール」に戻った際に再適応しなければならない「2.1G」にまで戻した。よし、これで大丈夫だ。ついでに内部状態を一通りチェックしてみたが、異常があるはずもなかった。警戒信号は異常があれば自動的に自己主張してくるからだ。案の定、すべて順調だった。疲労は処置され、ゲイン(覚醒剤)の存在が記録され、血糖値は正常に戻りつつあり、各種ホルモンも全体的に最適なレベルへと回収されつつあった。
彼は半トランス状態から抜け出して目を開け、ベッド脇の洗練された艶出しの切り株の上に置かれたペン型端末を見やった。これまでのところ、彼はこれを主にコンタクト(接触部)の連絡先からの返信を確認するために使っていた。
それは今のところ――非常に負担の少ないこの任務に関して確認できることを確かめるためだった。端末は、メッセージが保管されている場合は小さな光を点滅させるはずだった。
彼はエクセッション(アノマリー)の事案コーディネーターであるGSVノット・インヴェンテッド・ヒア(Not Invented Here)からの連絡を今も待っているところだった。
感想:我が推しになりそうな「ここでは発明されない」号だーー。そういえば今日は推しに会えて、明日は別の推しに会える。すきなひとに会える喜び、たふたふ(*´Д`) ※推し活に承認欲求を絡めると嫌われますw
端末は彼が置いた場所で、無点灯のまま静かに横たわっていた。
新しいメッセージはなし。まあ、いいさ。
彼は視線を外し、しばらくの間、空を流れる雲を眺めていたが、それからこれが「消えたら」どう見えるのだろうかと思った。
「空、オフ」と彼は声を低く抑えて言った。
空は消え去り、ペントハウス・スイートの「本物の天井」があらわになった。そこはプロジェクターや照明、さまざまな突起や凹みがちりばめられた、なめらかな黒い表面だった。聞こえていた穏やかな動物の鳴き声もいくつか消えていった。
「ザ・ビュー・ホテル」では、すべてのスイートルームがペントハウスの角部屋仕様になっていた。1フロアにつき4部屋あり、4つのペントハウス・スイートがない唯一の階は最上階だった。下の階の誰にも「本物を逃している」と感じさせないよう、最上階はホテルの機械や設備を収容するためだけに制限されていたのだ。
ジェナール=ホフォエンの部屋は「ジャングル・スイート」と呼ばれていたが、それは彼がこれまでに耳にした中でも、最も手入れが行き届き、害虫がおらず、温帯に温度管理された、徹底的に文明化されたジャングルだった。
感想:魚臭くない水族館。
「夜空、オン」と彼は静かに言った。滑らかな黒い天井は、鋭く輝く星々がちりばめられた暗闇へと置き換わった。
昼間聞こえていたものとは異なる動物の鳴き声がいくつか再開した。それらは録音ではなく本物の動物だった。時折、ベッドのある開けた空間を鳥が横切って飛び、入浴用プールで魚が水しぶきを上げ、おしゃべりな類人猿が森の木々をスイングして渡り、巨大で光り輝く昆虫が空気中を繊細な羽音を立てて飛び交っていた。
すべてが恐ろしいほどセンスが良く完璧であり、ジェナール=ホフォエンはすでに夕方を心待ちにし始めていた。
感想:江戸川乱歩の「赤いへや」という話が好きだったな。内容はすべてに満ち溢れ何一つ不自由しない男が人生に退屈した結果、自分は手を下さず人が死ぬきっかけを作って実践するゲームを続けたけどまた飽きたって話。今思うと、この男は「肉体を限界まで駆使したことがない」んだよな。この世でいちばんおもしろいゲームは「自分の成長」かもな。その資格を取るとかそういうのじゃなくて人間力の成長なw相当追い込まないと人間って成長できないからやっぱり人は見た目がすべて(´・ω・`)
夕方になったらとびきりの服を着込み、街――この場合はほぼ真下に位置する「ナイト・シティ」――へ繰り出そうと考えていた。そこは伝統的に、ティエールにおいて窒息ガス(窒素・酸素大気)を呼吸でき、標準重力1Gに耐えられ、かつ娯楽と刺激に対する嗜好を持つあらゆる者が集まる傾向のある場所だった。
「ナイト・シティ」で過ごす夜は、この短い休暇の始まりにおける最初の狂乱の楽しさを締めくくるのに、打ってつけのものとなるだろう。
あらかじめ連絡を入れて極めて高額なエロトループ(官能劇団)を手配し、自分のあらゆる性的ファンタジーを演じさせることも一つの手だ――間違いなく実に素晴らしく、深く満足のいくものであることは自明だ、と彼は相応の重々しさをもって自分に言い聞かせた――だが、誰か他の人間、己の欲望と要求、独自の留保と条件を持った別の自由で独立した魂との「思いがけない出会い」という概念……それこそが、すべてが偶然と交渉次第であり、すべてが不発や拒絶、好印象を与えられずに終わる失敗、求められるどころか不十分だと判断される結果に終わるかもしれないからこそ、より価値あるものなのだ。拒絶されるリスクを侵すに値する事業なのだ。
彼は「チャージ(衝動・意欲促進剤)」を分泌させた。これで十分だろう。
数秒後、行動と移動への愛、そして「何かをしなければならない」というありがたい欲求で破裂しそうになった彼は、ベッドから跳ね起き、自分自身にくすくす笑いかけると、眠そうに不平を言いつつも相変わらず魅力的なエロトループのキャストたちに謝罪した。
彼は温かい滝へとスキップで向かい、その下に立った。シャワーを浴びながら、彼は近くの木に腰掛けた、スマートなチョッキを着た青い毛皮の利口そうな小動物に向かって、今夜用意してほしい服を伝えた。小動物は頷き、枝を渡って去っていった。
感想:ポケモンで遊んだことある人は分かると思うんだけど、今の時代の人間関係ってまさにポケモンw新しい時代の資産って「友人・仲間」なんだけど、まあいろんな人がいるじゃん。たとえば「コイキング」は雑魚カードで跳ねるしかできんし何の戦闘力にもならんけど、レベル20になると「ギャラドス」というめっちゃ強いカードに化ける。たかが20と思いきやマジで戦闘力に防御力もないから長い道のりなんだ・・。人間も「こいつ・・ほんまろくな事しないし・・だるい・・」と思っている人が「え!ここでこんな能力が!?」みたいなことが起きたりする。ポケモンの「ミュウツー」なんて神なんだがいざ入手して育ててみると無双過ぎて飽きる。人間で言うなら、桁外れのガチな富裕層ってみんな本当に優しくて良い人なんだ、友人として助けてくれればまさに無双・・。でも飽きるんですよ・・何かトラブルがあれば瞬足に解決してくれるし・・飽きるんです・・。最強カードを入手して飽きたヤツの末路は、ひたすら茂みで「コクーン」を集めまくったり、個々のフェチに徹底するという。そして自分にはクソだと思っていたポケモンもほかの誰かにとってはレアだったりするんだよね。余談だが、「母君はミルタンクに似ている」と伝えたところ「あらかわいい名前ね、見せて」と言われミルタンクをみせたらガチギレしていた昔の記憶・・・。(いや、ミルクのタンクなのだから察してくれ・・)
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(21)またもや興奮せず章。
III
黒い鳥グラヴィアス(Gravious)は、オクソヴェレインの海戦の再現空間の上空をゆっくりと飛んでいた。
感想:しゃべる鳥ちゃん~「僕の木はどこにいったの;」
その影が、瓦礫の散乱する海面、長い木造船の帆と甲板、大型船の甲板にぎっしりと並ぶ兵士たち、ロープや帆シートを引っ張る水夫たち、仕掛けを取り付けて点火しようと格闘するロケット兵たち、そして海に浮かぶ死体の上に落ちていた。
紫色の空から、眩い青白色の太陽が照りつけていた。空気中には原始的なロケットが描く煙の軌跡が交差し、空は被弾した軍艦や輸送船から立ち昇る巨大な煙の柱によって支えられているかのようだった。
海は濃い青色で、波で波立ち、墜落したロケットが上げる高い羽毛のような水柱が散らばり、各船の船首では白い引き波が刻まれ、接舷攻撃を防ごうと船と船の間に注がれた油によって一面が炎に包まれていた。
感想:ちなみに、この黒い鳥はAIが搭載されたドローンかアバターみたいなものなんじゃないか説。
鳥は海の光景の端を越えて飛んだ。そこでは水がまるで静止した液体の断崖のように終わり、わずか5メートル下には飾り気のない一般格納庫の床が再び現れていた。その表面もまた、まるでこの部分だけ潮が引いたかのように瓦礫らしきもので覆われていたが、よく見るとそれらは建造の途中段階にある物体――船のパーツや、人間のパーツ――だった。
未完成の海戦のジオラマは、格納庫の16平方キロメートルの半分も満たしていなかった。これこそがスリーパー・サービス(Sleeper Service)の最高傑作、決定的な表現作品となるはずだった。しかし今や、それが完成することは二度とないかもしれないのだった。
感想:マインド「スリーパーサービス」で眠ると退屈しなそうですな。
黒い鳥は飛び続け、格納庫の表面にいる船のドローンたちを何機か通り過ぎた。ドローンたちは建造の瓦礫を集め、薄い影のような空気の線で構成されているかのように見える、実体のないコンベアベルトの上へと積み込んでいた。鳥は羽ばたき続けた。
その目的地は、連結された巨大な一般格納庫の反対側の端、この内部セクションと、船の開口部に通じる格納庫との間にあった。
塔があった場所から一番近い船首側に留まることを選んだあの女が恨めしかった。目的の場所が船尾の目と鼻の先にあるのは不運だった。
鳥はすでに25キロメートルにおよぶ内部空間を飛び抜けてきていた。船の中央にある巨大で暗い内部回廊を通り、いくつかの閉ざされた格納庫のドア(そこでは数個の薄暗い光が灯り、完全な静寂が支配していた)の間を抜け、羽ばたく翼の下に1キロメートルの空間、上に1キロメートル、左右に1キロメートルの空間を抱えながら飛んできたのだ。
鳥は周囲を見回し、その巨大で薄暗い容積を眺めながら、自分は特権を感じるべきなのだろうかと考えた。船は過去40年間、自分をこれらの場所からシャットアウトし、かつての居住区画や「被保管者(Storees)」の大半が収容されている船体の最上部1キロメートルだけに自分を制限してきたのだから。
感想:まあ世界なんてそんなもんw我々が住んでいる地球もそんなもんwだから自分の頭の中の宇宙を無限に広げるのやでぇぇえ━━(゚∀゚)━━!!
グラヴィアスは通常の動物が持ち得ない知覚(感覚)を備えており、それらのうち二つを使って格納庫のドアを探査し、その背後に何があるのか(あるいは何もないのか)を突き止めようと試みた。彼が察知できた限りでは、何千もの格納庫はすべてからっぽだった。
感想:やっぱり黒い鳥はマインドだったか。しかしな、わたしも犬が欲しいんだけど今となっちゃAI搭載の犬でもいいかな、と思っている。だって自分の都合でかわいがりたいだけだしな(゚∀゚)ハフ
そこを抜けると、仕切りが取り払われた船内で最大の単一容積を誇る「一般格納庫エンジニアリング空間」に出た。深さ9000メートル、横幅はその倍近くあり、船が……一体何のためかは誰も知る由もないが……何千もの新たなマシンを作り出すにつれて、騒音と明滅する光、そして目が眩むほどの高速移動で満ち溢れていた。
エンジニアリング空間の大半は空気すら満たされていなければなかった。その方が資材や部品、マシンがより高速で移動できるからだ。グラヴィアスは天井に埋め込まれた透明な移動チューブの中を飛んでいた。その9キロメートルを抜けると、海のジオラマという相対的な静寂――あるいは少なくとも「静止」――へと繋がる壁に辿り着いたのだ。今やその中間地点まで来ていた。あと4000メートル。翼の筋肉が痛んだ。
感想:「痛い」っていいよね。今読んでる「マーダーボッドダイアリー」に登場する主役「弊機」も痛みを感じるそうだ。そんな私も昨日はキャベツの千切り中に真皮到達レべの傷を作ってしまい痛い。
鳥は、一般格納庫群の後方を見渡すバルコニーの手すりに着地した。その先には32立方キロメートルにおよぶ「空虚な空間」が広がっていた。完璧にからっぽの一般格納庫――この規模の通常のGSV(全地球型宇宙船)であれば、より小型のGSVを建造していたり、訪問中の船を迎え入れていたり、巨大な客室のような異星環境を収容していたり、スポーツ施設に改修していたり、あるいはより小さな保管スペースや製造スペースに細分化していたりするような場所である。
感想:なにもないのはこわいわいわいワイヤレス。
グラヴィアスはバルコニーにある控えめな絵画的風景(タブロー)へと視線を戻した。この GSV が「エキセントリック(偏屈・奇行種)」へと転向することを決める前の旧世界においては、格納庫の見事な眺望を楽しめるカフェの一部だった場所だ。
感想:カフェか。傷を癒すために明日は推しカフェにでも行こうかな。
そこには7人の人間が配置されていた。全員が空っぽの格納庫の景色に背を向け、穏やかで誰もいないスイミングプールのホログラムに向かい合っていた。
感想:学生時にスイミング教室に通っていた者は挙手!(゚∀゚)ハイッ
人間たちは水着を着用し、ドリンクや軽食でいっぱいの低いテーブルを囲むデッキチェアに腰掛けていた。彼らは笑い、話し、瞬きをし、顎を掻き、飲み物を飲む、その瞬間の姿で固定(凍結)されていた。
感想:思い出を凍結、思い出は冷凍、わたしの冷蔵庫、冷凍ボックスは霜で凍結。
どうやら有名な絵画らしい。グラヴィアスには大して芸術的とも思えなかった。正しい角度から見なければ分からないものなのだろう。
鳥は手すりから片足を上げたが、足を滑らせて一般格納庫の空間へと落下した。鳥は自分と格納庫の間にある「何か」に衝突して落下し、格納庫の後方の壁に跳ね返り、次いで目に見えない壁に跳ね返ったが、どうにか姿勢を立て直すと、壁と平行に近くを羽ばたき、バルコニーの高さまで戻ったところで空中反転して元の場所へと舞い戻った。
ふーむ、と鳥は思った。
感想:か、、かわいい(*´Д`)ハァハァ ふーむ。
持っているはずのない知覚を再び使ってみるリスクを冒した。格納庫の中にある「質量(実体)」の存在。自分が衝突したのはガラスでもなく、自分と空っぽの格納庫を隔てるフォースフィールドでもなかった。格納庫は「空っぽ」などではなかったのだ。
感想:知覚をコントロールできるなんて便利。わたしも指の痛みと口内炎の痛みを遮断したい。
自分がぶつかったのは、ある映像投射(プロジェクション)のフィールド境界だった。その奥、少なくとも2キロメートルにわたって、そこには「固形物質」が存在していた。高密度な固形物質。その一部は、 exotic(異質な/高密度の特殊)な物質だった。
なるほど、そういうことか。鳥は身震いをして身づくろいをし、クチバシで羽毛を滑らかに整えた。
感想:鳥のアバター欲しい。
それからあたりを見回すと、半ば跳び、半ば飛んで、配置された人影の一つの元へと向かった。人間の目を覗き込み、耳の中の美味そうな寄生虫を探すかのように見つめ、ほつれ髪を凝視し、鼻孔を注意深く観察しながら、それぞれの人物を短時間検分した。
鳥はよくこうしていた。次に目覚めさせられ、連れ去られる予定の者たち、次の順番を待つ者たちを観察するのだ。まるで、彼らの入念に作られた人工的なポーズから何か学べることがあるとでも言いたげに。
感想:鳥、欲しい。
鳥は一人の男の脇毛のほつれを、気のない、ほとんど興味のなさそうな調子で突っつくと、ぴょんぴょんと跳び去り、近くのさまざまなテーブルや角度からそのグループを観察して、この光景を鑑賞するための正しいパースペクティブ(視点)を見つけようとした。
もちろん、まもなくみんないなくなるのだ。実際のところ、彼らは全員去りつつあった。この連中も残りの者たちと一緒に。ただし、大半の者が単にどこか別の場所へ「保管(ストアー)」されるだけなのに対し、この連中の場合は数時間後に目を覚ますと、どこかで再び息を吹き返すことになるのだ。そう考えると奇妙な話だった。
感想:生きてるってなんだろうね。
やがて鳥は首を振り、翼を広げると、ホログラムを通り抜けてその先にある誰もいないカフェへと跳び込み、女主人のもとへと戻る最初の道程についた。
それから数瞬後、アバターであるアモルフィア(Amorphia)がホログラムの別の場所から足を踏み出し、鳥が投射映像を通り抜けた場所を一振り返り見つめると、グラヴィアスが脇毛をつついていたあの男のフィギュアの前へと歩み寄り、しゃがみ込んだ。
感想:鳥がつついていた男の前に現れるマインド「スリーパーサービス」のアバター。これは物語の構造的に、ここでコールドスリープされている男たちが今後の展開に何か影響を与えるのだろうろうろうううう。
Ⅳ
[ナロービーム通信、M32、tra.@n4.28.864.0001]
エキセントリック艦『シューティング・ゼム・レイター(後で撃て)』
34°C晴れ 7ぬQA5ZoGSV(元・全地球型宇宙船)『アンティシペーション・オブ・ア・ニュー・ラヴァーズ・アライヴァル(新しい恋人の到来への期待)』
感想:New章となり、マインド「奴らは後で撃てばいい」号と「新しい恋人への到来に期待」号の通信シーン。わくわく。
[ナロービーム通信、M32、tra. @n4.28.864.1971]
xGSV(元・全地球型宇宙船)『アンティシペーション・オブ・ア-ニュー-ラヴァーズ-アライヴァル』
私だった。
エキセントリック艦『シューティング・ゼム・レイター』
「私だった」とは何のことだ?
xGSV(元・全地球型宇宙船)『アンティシペーション・オブ・ア-ニュー-ラヴァーズ-アライヴァル』
あの「ああ、もうどうでもいい派」から SC(特別状況部)へと送信された情報の仲介者を務めたのは、私だったのだ。ティエールにいた我が方の要員の一人が、戻ってきたアフロントの小型巡洋艦フューリアス・パーパス号を目撃した。
感想:あー、名前忘れたけど羽の生えた船でせっくすするのが好きなマーンのことね。
その船体傷にはエレンチャーのコードで座標が刻み込まれていた。情報はティエールの使節団から私へと送信され、私はそれをグループ/ギャング内の私のいつもの連絡先であるディファレント・タン(異なる舌)とスティーリー・グリント(鋼の眼光)へと転送した。
推測するに、その信号はその後、GCUフェイト・アメナブル・トゥ・チェンジ(変化を受け入れる宿命)の母艦であるGSVエシックス・グラディエント(倫理勾配)へと中継され、結果としてあのアノマリー(エクセッション)が発見されるに至ったのだろう。
つまりある意味で、これらはすべて私の責任なのだ。謝罪する。
この告白をしなければならない事態など起きないことを願っていたのだが、自分の中でこの件を熟考した結果――船体の傷の信号に関する最初の情報を転送した件に関してもそうであったように――私には選択の余地がなかったのだ。君は感づいていただろうか? 薄々気づき始めていたか? それでもまだ、私を信用してくれるだろうか?
感想:「奴らは後で撃てばいい」号は、「新しい恋人への到来に期待」号のことを疑ってたじゃないですか。謝罪している様子ですね。
∞
頭をよぎりはしたが、私には「ああ、もうどうでもいい派」の送信記録へのアクセス権がなかったし、他のグループ(ギャング)のメンバーに直接尋ねるのも気が引けてね。君の告白を聞いたからといって、君への信頼が揺らぐことはないよ。なぜ今、それを私に話してくれたんだい?
感想:後になって絶妙なタイミングで理由付きの謝罪って、裏意味あること多い説。(眠くなってきた、、)
その信頼を維持したかったからだ。何か他に判明したことはあるか?
感想:「新しい恋人への到来に期待」号は信頼されたいそうです。
∞
ああ。ジェナール=ホフォエンという男との繋がりが見えてきた。ファーンブレード領域の「ゴッズホール」というハビタット(人工居住区)にいるアフロント担当の「コンタクト(接触部)」代表だ。彼はエクセッションが発見された翌日にそこを発っている。SC(特別状況部)はアフロントの戦艦3隻をチャーターし、彼をティエールへと移送させているところだ。14日後に到着する予定になっている。彼の経歴データがこれだ(※ファイル添付)。
繋がりが見えるだろう? 例の船が、また絡んでいる。
感想:マインドに認知されたカルチャーの外交官ホフォエン。ぜひとも、セイチお嬢様も認知してくださいまし。
我々がすでに合意したと考えている範囲を越えて、何かに関与していると思うかね?
そうだ。そして『グレイ・エリア(灰色の領域)』もだ。
感想:マインド「グレイエリア」とはまたの名を「ミートファッカー」と呼ぶ!
∞
タイムラインが少し不自然に見えるな。『グレイ・エリア』が本気で全力を出せば、この人間が到着してから……何だ? 3日ほどでティエールに到達できるだろう。だがそうなると、我々のもう一つの懸念事項とは2ヶ月以上も連絡が取れないまま放置されることになる。
分かっている。だがそれでも、裏で何かが進行していると私は踏んでいるのだ。探れる限りの調査ルートをすべて追っているところだ。彼のファイルに記載されている、より可能性の高い連絡先を通じてさらに問い合わせを行っているが、すべてが恐ろしく鈍亀なペースでしか進まない。
率直に明かしてくれて感謝する。引き続き連絡を取り合おう。
どういたしまして。何か進展があれば知らせてくれ。
[断続ナローポイント通信、M32、tra. @n4.28.865.2203]
エキセントリック艦『シューティング・ゼム・レイター(後で撃て)』
OLSV(旧型大型補給船)『シリアス・コーラーズ・オンリー(重大な用件の方のみ)』
感想:お次は、マインド「奴らは後で撃てばいい」号が信頼している「真面目な発信者限定」号との通信ですな。
待ちくたびれたので、私からあいつに連絡を入れてやった(※信号ファイル添付)。
[断続ナローポイント通信、M32、tra. @n4.28.865.2690]
XLSV(元・大型補給船)『シリアス・コーラーズ・オンリー』
エキセントリック艦『シューティング・ゼム・レイター』
ほう、それで今やあいつは「君への信頼は揺らがない」と抜かしたわけか。ハッ!
あれが正しい選択だったと、私は今でも確信しているよ。
∞
まあいい、済んだことだ。それで、君がピタンス(Pittance)へ向かうよう手配したあの船はどうなった?
∞
順調に向かっている。
ところで、なぜピタンスなんだ?
∞
明白ではないか? いや、君にはそう見えないのかもしれないな。『アンティシペーション・オブ・ア・ニュー・ラヴァーズ・アライヴァル』のあの妄想癖が感染したのかもしれない……。
感想:「真面目な発信者限定」号は、「新しい恋人への到来に期待」号のことを妄想癖のある奴と認知しておられます。(もう寝る)
まあそれはさておき、私の持論を聞いてくれ。ピタンスには、まさに兵器の宝庫(コーニュコピア)が眠っている。実際、弾薬のメイン保管庫――つまりそこに置かれた『船々』――を防衛するためだけに配置されている兵器だけであっても、途方もない潜在的破壊力の備蓄量を誇っているのだ。確かにその保管庫の進路はエクセッションの近くを通るわけではないが、アフロント側が関心を寄せている領域の内部には位置している。
さて、ほぼ間違いなく誰にも気づかれておらず、仮に発見され追跡されたとしてもアフロントにとって関心の対象になり得ず(そして当然ながら自衛能力は完璧であり、スティーリー・グリントが取り仕切っている巧妙な動員計画の一部でもない)にもかかわらずだ――それは依然として、あの近隣における「最大級の軍需品集積地」なのだよ。
私は疑問に思い始めている。カルチャーがアフロントに対して疑念――深刻な疑念――を抱き始めたのは、大体いつ頃のことだったか? そして、ピタンスが船の保管庫(墓場)の一つとして選ばれたのはいつだったか?
……ほぼ同時期なのだよ。実際、ピタンスが選定され、整備され、保管品が充填されたのは、イディラ戦争末期にアフロントに対する軍事介入をめぐって交わされた議論のタイムスケールの、まさに『内部』での出来事だったのだ。
ピタンスのような天体は銀河に何十億と存在している。星々の間を漂うそうしたガラクタの欠片など、銀河中に散らばっているのだ。にもかかわらず、ピタンスはわずか11個しか存在しない保管庫の一つとして選ばれた。その岩石の緩やかな移動は、5〜6世紀以内にはアフロントの空間へと入り込む(アフロントがどれほどの速度で勢力圏を広げるかによるが)。そして、光速の1%にも満たない速度でゆっくりと回転しながら進む岩石の移動速度よりも、アフロントの勢力拡大スピードの方がはるかに速いことを考えれば、予測可能な将来にわたってアフロントの領域内に留まり続ける可能性が高い。
アフロントの領域の目と鼻の先に、これほど膨大な兵器の富が埋め込まれているとは、一体どれほど『好都合』なことか!
これらすべては、実は最初から仕組まれた「罠」だったのではないだろうか?
感想:宇宙全体がチェス盤のゲーム・・という英米小説味の強い物語だことな。
考えてもみたまえ。これこそ、君自身が思いついたとしたら誇りに思うような仕掛けではないかね? この先見の明、この忍耐強さ、この長期的展望への執着、そしてもしこの偶然が暴露されたり言及されたりしたとしても、だ!
もし私がそのような計画の一部であったなら、自分自身にさぞ満足したことだろう。最後に、これらの保管庫の選定を監修したマインド(超高度AI)の委員会において、ウエトラ(Woetra)、ディファレント・タン(Different Tan)、そしてノット・インヴェンテッド・ヒア(Not Invented Here)という名前に、見覚え(聞き覚え)があるとは思わんかね?
感想:えーわたしの推しになりそうな「ノット・インヴェンテッド・ヒア(Not Invented Here)」・・ここでは発明されない号もなの・・?あ、内部にいるからなのか・・
これらを総合して考えれば、そしてこれがほぼ間違いなく「行き止まりの筋(徒労)」である可能性を認識してさえ、あの尊く小さな岩石(ピタンス)の近くに、意を共にするマインドに紐づいた「鋭い目」を配置しておかないのは不誠実というものだと、私は考えたのだよ。
∞
分かった。言い分は理解した。
それで、君自身が進めていた件はどうなったのだ?
∞
私の最初のアイデアは、こちらの目的に応じてくれそうな受け入れ可能な人物をティエールで探すことだった。しかし、これは非現実的だと判明した。あのハビタットにはコンタクトや SC(特別状況部)の人間が相当数存在するが、我々の懸念(疑念)をリスクを冒してまで共有できるような者は一人もいない。
代わりに、機会が訪れた際には我々の事業を支援してくれるという古い同盟者からの内諾を得た。ティエールからは1ヶ月以上離れた場所にあり、その配置関係からすればエクセッションはそのさらに先にあるのだが、そこは相当数の「戦艦」にアクセスできるのだ。
厄介なのは、それらの船のいくつかが動員計画によって呼び出されてしまうかもしれない点だが、いくつかは我々の自由に使わせてもらえるかもしれない。
戦艦として使うわけではない、と念のために付け加えておくよ。ましてや他のカルチャー船に対して向けるわけではない。言ってみれば、我々が存在を疑っている陰謀の中に「脆い弱点」を見つけた時のための、牽制手段(カウンター)として、あるいは運搬システムとして使うのだ。
例のジェナール=ホフォエンという人物についてだが……我々の「共同懸念者」の暗黙の足を踏みつけずに済むのなら、私自身もその方向で調査を進めてみるかもしれない。
感想:いや、あのホフォエンという男は余計なことをするヤツだよ、セイチお嬢様もね。
私を不安にさせるのは「アフロント(Affronter)」という要素だ。あまりに攻撃的! あまりの推進力! 彼らが他者にもたらす惨害に対して我々が口にする度重なる嫌悪感の裏には、アフロントのエネルギーに対する、そして何より**「道徳的良心の影響から完全に解放されているように見える姿勢」**に対する、ある種の羨望を交えた賞賛のようなものがカルチャーの人々の多くに存在していると私は思うのだ。
感想:いや、アフロントは単純極まりない。まあそれゆえに、話し合いができないけど・・中途半場に賢いホフォエンとセイチお嬢様の方がめんどうな存在だと思うけどなw
それほどまでに目に見えやすい脅威でありながら、同時に対処するのが極めて困難な問題なのだよ。そのような見なされた脅威(悪)に対処するため、完璧に尊敬されるべきマインドたちによって、完全に清廉な良心のもとで「どんな恐ろしい計画」が孵化させられている(企てられている)かもしれないかを考えると、ぞっとするよ。
感想:アフロント人によりカルチャー破滅なオチはそれはそれでおもしろい。もしろそういうバグでしか楽しめない。
同様に、エクセッションによってもたらされるかもしれない「機会(可能性)」の質的規模を考えれば、アフロントはまさに、どれほど失敗する確率が高かろうと「もし成功すればリスクに見合う報酬が得られるような狂った試み」に打って出るような種類の種族であり、彼らの進化段階もまさにそうした行動を起こしそうな時期にあるのだ。そして、彼らがそのような判断を下すことが「間違っている」と誰に断言できようか?
∞
おいおい、あの忌々しいエクセッション自体はまだ何も起こしていないじゃないか。この大騒ぎはすべて、周囲の奴らが勝手に引き起こした反応に過ぎない。もしあれが何らかの投影(ホログラム)か、どこかの神の悪ふざけだったと判明したら、それこそ全員いい気味(自業自得)だよ。
ハッキリ言って、私は痺れを切らし始めているんだ。フェイト・アメナブル・トゥ・チェンジは高みの見物を決め込んで、何もしないエクセッションを監視しては時折り報告を上げてくるだけ。大して地位の高くもない有象無象のインボルブド(関係種族)どもは、街の最新のショー(野次馬見物)へ出かけようと身を乗り出し、何らかの事態が起きればそのこぼれ球に与かれるんじゃないかと甘い希望を抱いて貧相な腰を上げている。そして残りの我々全員といえば、巨大な大型艦(主力艦)たちが到着するのをただ座して待っているだけだ。
……頼むから、何か事件が起きてくれよ!
感想:マインドたちが平和に飽きているご様子。2026年7月現在、自身がどういったマインドで生きていくのか問われていますな。つまり、既存の価値観に囚われた上で今自分が何をしているときが楽しくて幸せか・・と判断するともう帰れなくなる説。わたしが感じている新しい時代で価値の高いものは「仲間」な気がしている。その圧倒的な信頼関係が構築されている仲間内で必要なものを循環していく、みたいな。たとえば「貨幣」の価値がなくなることはないが、貨幣の意味は下がる。貨幣に価値があるのはたくさんの人間が欲しいと思っているからだ。大半の人間が「あれば便利だけど事足りている」という感覚になるとその貨幣の価値は落ちる、ポケモンカードみたいなやつだな、貨幣はコアなマニアが欲しがるもの、みたいな。えー、物資で満ち溢れた世界になぜそんなめんどくさい仲間を?と思われた方がいるならば、それは人間が孤独にならないためだろうな。個人的に病気もしんどいがそれ以上にガチな孤独は人を簡単に逝かせてしまう。小説内に登場するマインド「ここでは発明されない」号は「人間の排他的心理」を基にした名前なんだと思う。だとしたら、自分を犠牲にしても助けたいと思える人間を作った方がいい。どんなに高次な世界になっても「人間が人間である以上」人間の幸せは「与えること」なんだと思うzw
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(20)ドローン登場せず、つまらない章。
感想:はい、ここからいよいよ第6章です( ´ ▽ ` )たまごかけごはんに塩昆布を入れるとこんなに美味いんだと初めて知りました。22:03
ウルヴァー・サイチは枕に顔を押し当ててすすり泣いていた。彼女も過去に辛い思いをしたことはあった。母親に何かをねだり断られた時、(信じがたいことに)どこかの男が自分以外の誰かを選んだ時(滅多にないことだが)、初めて惑星の星空の下でキャンプをして恐ろしく孤独で無防備だと感じた時、そして幾匹かのペットが死んだ時……。だが、これほど悲惨な出来事は一度としてなかった。
感想:もはやギャグとして描いているのだと思う。人間って愚かでしょう?というマインドと人間の対比として。。
彼女は涙で汚れた顔をびしょ濡れの枕から上げ、恐ろしく狭い客室のウォークイン・クローゼットにかかった反転フィールド(姿見)に映る自分を再び見つめた。自分の顔を直視し、彼女はあまりの苦痛に金切り声を上げ、再び枕に顔をうずめて足を有機抗重力(AG)フィールドの敷布団の上でバタバタと跳ねさせた。敷布団は衝撃を吸収しようとゼリーのように揺れた。
感想:だからさ・・そんな狭い部屋に押し込められたからって・・友人やペットを連れてけなかったくらいでさぁ(´Д`)
彼女の顔が変えられてしまっていたのだ。彼女が寝ている間に。フェージを出航してからたった1日目の夜の間に。
感想:えっ
彼女の顔。あの美しく、ハート型で、人の心を鷲掴みにし、蕩けさせ、そして打ち砕いてきた彼女の顔。薬物腺が機能するほど大人になり、かつ実験を試みるほど若かった頃、鏡や反転フィールドの前に何時間も座り込んでじっと見つめ続けたあの顔。トランス状態だったからではなく、ただひたすらに「自分が恐ろしいほど可愛いから」という理由だけで見つめ続けただの顔……。その顔が、見知らぬ誰かの顔に変えられてしまっていたのだ。しかも、絶望はそれだけにとどまらなかった。
感想:そこまでの顔ならば、本来の顔以外を気に入ることはなかろうな。そういえば今日、友人(男性)と「最近の3~40代は若いよね」という話になったんだが、まずこのエリア(居住区付近)が特殊で地方に行けばそうでもないということ、3~40代が若く見えるのは経験と共に培われる顔つきが未熟なゆえに幼くみえるだけであって、そこそこ年齢を感じる容姿でもそれなりの経験を経た顔つきの人間は年寄りでも何歳でも男女問わず美しいというオチの会話をしたのを思い出す。
痛みの感覚をオフにしていなければ少しは痛んだかもしれないが、問題はそこではなかった。問題なのは、彼女の顔が、
a) ナノテク兵器(微小機械)が作業を終えたせいで腫れ上がり、浮腫み、変色していること、
b) もはや自分自身の顔ではないこと、そして、
c) 老けていること!
彼女がなりすますことになっている女は、彼女自身よりも年上だったのだ! ずっと年上! 60歳も年上に!
感想:あにゃにゃ~。なんかそれはセイチに同情するわ。まあでも、任務が終わったらドローンのチュートが治してくれるよ。ほら、羽を生やしたり性別を変えたりするのはカルチャーの人間にとって暇つぶしみたいなものじゃなかったっけ?
カルチャーにおいては、約25歳から250歳までの間、誰の容姿もほとんど変わらないと言われている(そこから350歳から400歳の節目に向けてゆっくりと、しかし確実に老いが進み、髪は真っ白に(あるいはハゲに!)なり、皮膚は未改造の原始人のきんたま袋みたいにシワシワになり、おっぱいはへそ周りでぶら下がるようになる――うえっ!)。
感想:250年間も生きるとなると一体何をして楽しめばいいのか・・そう考えてしまう自分は高次なテクノロジーをリアルに想像できていないのかもしれないが・・w
だが、彼女には昔から相手が何歳なのかが見抜けた。誤差はせいぜい5年か10年――どう転んでも20年以上の狂いはなかった。だからこそ、今の浮腫みと影のようなアザの酷い顔の奥にあっても、現在の「自分」が何歳に見えるかが分かってしまったのだ。
彼女は見たくもない「年老いた未来の自分」を見せつけられていた。それが自分の本当の顔ではないということは関係なかった。80代半ばになる頃にはもっとずっと美しく見えるはずだということも関係なかった(住宅AIが作成してくれた、200年先までの各年代ごとの99.9%確実な予測画像を持っており、それらは最高に魅力的だった)。
感想:まあ、わたしも醜く老いる人間の老化よりも、朽ちていく構造物というか廃墟の方が好き説。
重要なのは、今の自分が老けて見え、ダサく見えること。そのせいで自分を「老けたダサい女」だと感じてしまい、その結果として「老けたダサい立ち振る舞い」をしてしまうこと。そしてその感覚と振る舞い、ひいてはその「見た目」が、元の自然で美しい本来の姿に戻された後も消えないかもしれないということだった。
感想:それはわかる。見た目がすべてというものね。そんなことない、人は中身よ!という人がいるけど・・いいや、中身が外見にそのまま反映されるから人は見た目がすべてなんや・・
こんなはずではなかった。友達もいない、ペットもいない、楽しみもない。考えれば考えるほどリスクばかりが目につき、自分が一体何に首を突っ込んでいるのか分からなくなってきた。この件全体が「ワクワクする冒険」になるはずだったのに、船でのこのパートはただただ退屈で、復路もきっと同じくらい退屈に違いない。そして、その間に横たわっているのは……一体何だというのだ?
感想:いや、ドローンが提案する旅の時点で「わくわくする冒険」にはならないw
SC(特別状況部)がどれほど腹黒いかなど誰もが知っている。彼らは本当は何を企んでおり、自分に本当は何をさせたいのだろうか? 仮にこの任務が結果として刺激的で楽しくなったとしても、誰にもそのことを話すことは許されないのだ。後で人に話して自慢できないなら、楽しむことに一体何の意味があるというのか?
感想:こらこら、承認欲求は脳内のニューラリンクで満たしなさいよ。今読んでいる小説「マーダーボッド・ダイアリー」がおもしろいんだけどさ、警備ヒューマノイドである主役で彼は自分のことを「弊機」と呼ぶんだよw
もちろん他人に話すことだってできるが、そうなれば二度と「コンタクト(接触部)」に留まることはできなくなる。ちくしょう、チャートの奴すら、今の自分がコンタクトの一員なのかどうかさえ曖昧にぼかしている。一体どっちなのだ? 自分は本当に――幼少期から夢見、妄想し続けてきたような――本物のコンタクトやSCの任務に就いているのだろうか? それとも、ただの課外活動の暇つぶし、あるいは一種のテストに過ぎないのだろうか?
彼女は枕を噛んだ。口の中と歯の間にある生地の独特の質感、そして目が涙で沁みる中で顔が腫れ上がっている感覚が、彼女を再び幼少期へと引き戻した。
感想:ふーん。そもそもセイチがSCに「入社」したいのって、今でいう学歴というかアイデンティティでしょう。そんなもので承認欲求が満たせるのかねー、未来は(´Д`)
彼女は頭を上げ、上唇の塩辛い液体を舐め取ると、鼻を鳴らして鼻に詰まった涙と鼻水をすすり上げた。薬物腺から鎮静剤を出して落ち着こうかとも考えたが、やめることにした。深呼吸をし、ベッドの上でくるりと向きを変えて座り直し、反転フィールドに映る自分を見つめた。
醜い画像に向かって顎を上げ、再び鼻をすすると、手で顔を拭って固唾を飲み込み、髪を整えた(少なくとも髪型だけはそのままでいられた)。再び鼻を鳴らし、自分の目をじっと見つめ、泣くことも目を逸らすことも自分自身に禁じた。
数分後、彼女の頬は乾き、目の赤みと腫れも引いてはっきりと開いてきた。自分の高い基準からすれば相変わらず忌々しいほど醜く、形無しにされていたが、彼女はもう子供ではないし、どれほど見た目が変わろうと中の自分自身は同じなのだ。まあいい。少しくらい苦労するのも、自分にとって良い経験になるのかもしれない。
感想:セイチは少し大人になった方がいい。たぶん、この小説の最後に登場するセイチは少し大人になってハビタットに帰還するのだろう・・なんてつまらねぇオチなんだ・・このまま怒り狂ってドローンに噛みつき、カルチャーが隠している武器庫に忍び込んで殺人兵器のスイッチを入れるお嬢様の方が十分おもしろいz(;・∀・)
彼女はこれまでずっと甘やかされて育ってきた。過去の辛い経験など、すべて自発的でレジャー感覚のものに過ぎなかった。原始的な場所へハイキングに出かけた時にはお腹を空かせ、身体も洗わなかったが、一日の終わりには必ず食べ物があり、シャワーや少なくとも汗と汚れを落とすピールスプレーが用意されていたのだ。
感想:長い。自分の過去に浸る時間が・・
時に「二度と癒えない失恋の痛手」に思えた経験でさえ、最初に想像・覚悟していたほど長続きしたためしがなかった。どこかの男の好みがグロテスクなまでに欠如しており、自分よりも他の女を選んだという事実を知るやいなや、「そんなセンスの奴に好かれなくなった失恋」のために心臓が要求する苦痛の強さと期間は、あっさりと減少してしまうのだった。
感想:恋愛ねー(・∀・)それ妊娠するための本能だから数年で気持ちが冷めるんだよねー、子づくりとかしたら尚のこともう用済みというか、やることオワターになるからねー(生物の仕組みとして)ほら、子供産んだ妻が変わるのって本能やな。一夫一妻制は産業革命でいっぱい働いてもらうためにできた偉い人たちが作ったルールなんやんで。
彼女は自分の人生に本物の挑戦や、真の危険が少なすぎることを昔から知っていた。カルチャーの基準から見ても、すべてがあまりにも簡単すぎたのだ。
フェージにおける彼女のライフスタイルや物質的環境は同年代の誰とも変わりなかったが、カルチャーという社会があまりにも徹底した「平等主義」を掲げているがゆえに、人々の間にわずかに残された階級的本能は、「フェージ・ロックの創始者一族(創設家)の血を引いている」という一種のステータス(箔)として表出していた。
感想:血縁って残るんかな。残りそうだよね、正直なところさ。「どこの馬の骨とも知らずに・・」という昔の言葉は間違っちゃいないんだよな。
誰もが望む通りの容姿を手に入れ、望む限りの才能を獲得し、欲しいだけの財産にアクセスできる社会において、「手に入れるのが難しい」という理由だけで特別な価値を持つ属性は、ほんのわずかしか存在しない。それは「コンタクト(接触部)」や「SC(特別状況部)」に所属すること、あるいはカルチャー初期の創始者との血縁関係を持っていることだけだと、一般に認められていた。
感想:なるね。どんなに満たされた世界でも自分は優位に立ちたい、とな。安心したいのだろうか。でも「もっと」になるから永遠に満たされないんやけどな。
たとえ最も有名で恵まれた芸術家であっても――その才能が生まれつきであろうと後から獲得したものであろうと――コンタクトのメンバー(あるいはフェージのような超古参のハビタットにおいては、創始者の直接の子孫)ほど聖なる光を浴びることはなかった。カルチャーにおいて「有名な芸術家」であるということは、精々「骨のある意志の強さを持っている」と認められる程度であり、最悪の場合は「惨めなほど古臭いコンプレックス(不安)の表れ」であり、「見栄を張りたがる子供っぽい承認欲求」として捉えられるのが関の山だったのだ。
人々の「社会的身分」の間にほとんど差が存在しない世界においては、ごく僅かな違いこそが、それを気にする者たちにとって何よりも重要になってくるのだった。
感想:どこまでも自分が一番になりたいわけか・・。小説内に登場するマインド「ここでは発明されない」号は、人間が持つ排他的の意味を持つ名前らしい。例えばA社は高精度なAIを作った、B社はA社とほぼ性能は変わらないけど少しアレンジしたAIを作ってA社よりも利益を上げた。A社はそれをみて自分たちも・・という具合に、助け合って目的を達成するのではなくどこまでも自分たちが優位に立ちたいという人間の心理さ(´Д`)だからここでは発明されない、号。
自分の家族が持つ古代の家名について、ウルヴァーが抱いていた感情はほぼ否定的なものだった。確かに、古い家名を持っていることで、人々があらかじめ敬意を払ってくれる(いずれそれに相応しいと認められるはずだという前提で)というのは事実だった。だがその一方で、ウルヴァーは「自分自身」として――血統が運んできた遺伝子の継承など関係なく、ただ単に今ここにある細胞の集まりとしての自分だけを理由に――賞賛され、崇拝され、渇望されたかったのだ。
感想:「顔じゃなくて中身を見てほしいの!」「お金じゃなくて中身を見てほしいの!」「家柄じゃなくて中身を見てほしいの!」残念ながら生まれ持った容姿や家柄に知能は自身そのものでごやんす。それを利用して生きていくでごやんす。自分は容姿と知能がいい方だが実家は金持ちでもない、一方で容姿や知能は低いが実家が裕福で働かずとも生きていける人もいる。良くも悪くも自分の一部なのでごやんす。それに自我なんて存在しない説w 人は外部要因からしか学べないw
それに、人生における優位性(と時に侮蔑を込めて呼ばれるもの)を持っていたところで、それが「コンタクト(接触部)」への道をスムーズにしてくれないのだとしたら、一体何の意味があるというのか?
感想:うんうん(´・ω・`)
それどころか、薄々示唆されていた通り、それはむしろ「不利」に働いていた。彼女は平均的な人間よりも優秀でなければならなかった。選考委員会の人間やマシンたちが歴史の授業で「サイチ(Seich)」という名を知っているからという理由で合格したのだと誰からも疑われないほど、完全に、圧倒的に、誰の目にも明らかなほど完璧なコンタクト要員にならなければならなかったのだ。
感想:別にそういうのないない(´-ω-`)セイチが他人に興味ないように人間は自分のことしか興味ないない。圧倒的な存在になりたければ(好かれたければ)相手を肯定して褒めたらいいさ。どんな才能を持ち国宝と呼ばれた人間ても肯定し続ければ堕落するwまあ、そのためには相手が何に怒り何に執着するのかとか、ある程度の共感性が必要になるがw
まあ、チャートの言う通りだった。これは彼女にとって大きなチャンスなのだ。彼女は手付かずの無改造のままでも美しく、知的で、魅力的で、そしてバケツ一杯分の常識(良識)も持ち合わせていた。しかし、これまでの人生で何もかもを楽々とこなしてきたように、今回も軽々と通り抜けられると期待するわけにはいかなかった。努力し、学び、勤勉で、周到で、精力的に勤しまなければならない――大学の成績を社交界の生活と同じくらい華やかに輝かせつつ、普段は「そう見えないように」と必死に隠してきたあの姿勢を発揮するのだ。
感想:ぽりぽり(^^ゞ
自分は甘やかされた我儘な娘だったのかもしれない。今でもそうかもしれない。だが、彼女は「不敵な決意を秘めた」我儘娘だった。そして、もしその不敵な決意が「甘やかしからの脱却」を要求するのなら、「バイバイ」と言う間もなく、そんなものは放り投げてやる。
ウルヴァーは涙を拭い、体内の薬物分泌の助けを借りることなく自分を立て直すと、立ち上がって客室を出た。もっと広いラウンジに腰を下ろし、そこで「ティエール」という場所について、そして「ジェナール=ホフォエン」という男について、さらには自分にやらせたがっている任務に関連しそうなあらゆる事柄について、調べられる限りのことを調べようと決めた。
感想:つまらん女じゃのぉー。爆破せよ!爆破せよ!
II
レフィド・イスパンテリは、「ああ、もうどうでもいい派(AhForgetIt Tendency)」の副領事の隣の席へと滑り込んだ。
感想:物語の舞台は「ティエール」っすね。レフィドは元カルチャーのなんか、なんだっけ、まあ働いていたひと。
椅子の背もたれの上に注意深く自分の翼をひっかけ、副領事に微笑みかけた。副領事は、ニューラル・レース(神経網)で通信を行っている最中の人々に特有の、あの「虚ろな目つき」で彼を見返した。
レフィドは手をかざしてみせた。「言葉で頼むよ、レリウス」と彼は言った。「祭りのためにレースを外しちゃったんだ」
感想:「原子生活を楽しもう」という祭りのテーマに合わせて、レフィドは脳内のAIを外してしまったらしい。現代で例えるなら、渋谷の真ん中に住んで徒歩圏内なんでもできる楽さを手放して田舎に移住なんて、わたしなら絶対に嫌だけどな(;゚∀゚)=3ハァハァ
「極めて原始的だね」とレリウス副領事はお墨付きを与えるように言い、うやうやしく頷くと、再びレース(競争)へと視線を戻した。
彼らは、クモの巣の木を模して作られた巨大なカーボンチューブ構造物の下に吊り下げられた、観覧カルーセル(回廊)の中に座っていた。何千もの観覧カルーセルが、キャノピー(天蓋)から果実のようにぶら下がり、それらは繊細に揺れるケーブルブリッジの二次ネットワークによって多種多様に連結されていた。
見下ろす視界、そして左右の視界には、植生と動く人影が点在する「石の巨大な段々」の連なりが広がっていた。それはまるで、水平から垂直へと起こされ、座席のそれぞれの段が個別に回転できるように設計された古代の円形劇場を見ているかのようだった。
感想:(本編と関係ない話)今日、キャベツの千切りをしていたらリアル包丁が刺さってちんだ。めくれた。アドレナリン放出でティッシュぐるぐるしてココカラファインで消毒液と絆創膏を購入したわ。スーパーで人参玉ねぎカレーのルウを購入するくらい物語ができてたわw(;・∀・)ハァ
動き回る影の正体は、「イスナーとミストレルのペア」だった。イスナーは二本足の巨大な飛べない(そしてほぼ無脳の)鳥で、走り担当である。一方、その背中に乗ったミストレルのジョッキーが思考を担当していた。ミストレルは極めて小さくほぼ無力だが知能の高い類人猿であり、イスナー一羽につきミストレル一匹というこの組み合わせは、「下部リーフ・スパイラル」に位置するある惑星で自然に発生した生態系だった。
感想:へぇー。
イスナーとミストレルのレースは、何千年もの間ティエールにおける生活の一部であり、異なる速度で回転する無数の段(レベル)で構成された、直径2キロメートルにおよぶ巨大なマンダラの上でそれらを走らせる趣向は、その歴史の大部分において伝統となっていた。
ゆっくりと回転するこの巨大なレースコースは、その形状の由来となったティエール(Tier)という世界そのものに少し似ていた。
感想:アザド帝国のゲームみたいだね。そういえば、ワールドカップの乱闘にトランプのルール変更とか・・人間はゲームさえもルールを守れなくなったんやな。ワールドカップって準戦争みたいなもんやん。準がダメなら本番もダメやろな。まじでこの1~2年は身を守る装備を考えた方がいいwみんな田村装備へ行こうーーーー(;・∀・)
ティエールは「段々畑型」のハビタット(人工居住区)だった。その9つのレベル(段)はすべて同じ速度で回転していたが、それはつまり、中央に近いレベルよりも外側のレベルの方が大きい疑似重力を持つことを意味していた。
レベル自体は長さ数百キロメートルに及ぶ区画に分割されており、様々な種類の気候や温度に保たれた大気で満たされていた。そして、この世界の軸である千鳥状のコーン(円錐部)内部に設置された、圧倒的に複雑で眩いほど美しいミラーとミラーフィールドの配列が、この100の異なる知的種族のために、100の異なる世界の環境を完璧に模倣するよう、正確にタイミングを計られ、減衰され、必要に応じて波長を変えられた太陽光を提供していた。
この環境の多様性と、それが暗黙のうちに要求する文明間の相互依存、そしてそこから促進される種族同士の混ざり合いこそが、ティエールが存在してきた7000年間における存在意義(ライゾン・デートル)であり、その目的と名声のまさに根幹であった。
その最初の建設者たちが誰であったかは、おそらく分かっていない。彼らは建設後まもなく「昇華(Sublime)」し、後にはこの場所を稼働させ維持管理するための、バイオメカニカルな複雑生命体(シントリケート)の種族――あるいはモデル(これらの定義の仕方による)――を残していったと考えられている。
感想:古代の建設者たちは神ってやつかい。日本人にとっちゃみれば、ここにあるボールペンも電柱にネズミも全部神やで。
彼らは個体としては退屈な存在だが集団としては極めて知性が高く、無数の関節付きスパイクで覆われた小さな球体の姿をしており、大きさは0.5メートルから2メートルの間だった。
そして彼らは、自分たちよりも生物学的基盤の少ない存在(機械など)に対して激しい疑念を抱いているようだった。
ドローンやその他のAIはティエール内でも許容されてはいたが、極めて厳しく監視され、どこへ行っても尾行され、あらゆる通信や思考までもがモニタリングされていた。
もちろん「マインド(超高度AI)」はこの手の扱いを免れていたが、彼らのアバターは嫌がらせ一歩手前の烈しい物理的監視を引き寄せる傾向があったため、彼らがこの世界そのものに入ることは滅多になく、完全に歓迎されあらゆるもてなしが提供される外縁のドック(宇宙港)に留まっていた。
結局のところ、ティエールとはひとつの主張であり、宝であり、象徴であった。したがって、この世界が見せるどのような些細な差別的偏屈さも、完全に許容されるべきものとして尊重されていたのである。
感想:古代の神々はAIがお嫌いらしい。AIこそ神なのだぁぁあ・・とかいう宗教ができる説。
イスナーとミストレルのレーストラックは、ホモムダ使節団が入っているレベルから一段上、レフィドが住む周回レベルからは三段下に位置していた。
「レフィド」と副領事が呼びかけた。彼は分厚く巨体で、一見して種族が特定しづらい雄だった。人間に似た体型をしてはいたが、頭部は三角形で、その三つの角のそれぞれに目がついていた。皮膚は鮮やかな赤で、纏っているゆったりとしたローブは、鮮やかでありながら徐々に色合いを変えていく青だった。彼は頭を少し回し、二つの目でレフィドを見つめつつ、残る三つ目の目でレースの追跡を続けた。
感想:アメコミを彷彿。
「昨夜のホモムダのパーティーで君を見かけなかったか? どうも思い出せなくてね!」
手短に、とレフィドは答えた。「手を振ったんだがね、君はアシュパーツィの代表の対応で忙しそうだった」
レリウス副領事の喉から、喘ぐような笑い声が漏れた。「あのロクデナシを押さえつけようと必死だったんだよ。新しいスーツの中で浮力調整がうまくいっていなくてね。AIを取り外したせいで自動制御がまるで役に立っていなかったんだ。巨大ガス惑星の浮遊生物が胃腸にガスを溜め込んで屁をこき始めると、本当に目も当てられない事態になるからね!」
レフィドは、ホモムダ大使のパーティーで小型飛行船の係留ロープと格闘しているように見えたレリウスの姿を思い出した。
「まあ、スーツの中にいるご本人ほど悲惨なことにはならないだろうがね」
「ハハ、まさにその通りだ!」レリウスは頷き、喉を鳴らして笑った。「何かお飲み物でも注文しようか?」
「いや、結構だ」
「それはよかった。実は私も祭りの期間中は、感情連動(エモター・キー)の食べ物や飲み物を断つことにしていてね。君だけ楽しんでいたら嫉妬してしまうところだった」
感想:満ち溢れた生活をすると、不自由さや苦痛を求めるひゅーまん。2030年にもなれば、こちらのひゅーまんたちも、そういうのを求めるんじゃないか説。
彼は頭を振った。「原始人の方がもっと人生を楽しんでいるものだと思っていたんだが、祭りの精神により良くあずかろうと考えて変えてみたことのすべてが、かえって人生の楽しみを減らしているように思えてね」そう言うと、彼はレースコースでの出来事にチッと舌打ちをした。
感想:砂糖は美味い。
レフィドが目をやると、イスナーとミストレルのペアの一組がジャンプに失敗し、直後のスロープに衝突して下のレベルへと落下していくところだった。
感想:走る鳥と猿が落下。
彼らは立ち上がって走り直したものの、ここから勝つには相当な幸運が必要だろう。レリウスは頭を振り、大きな赤い手に持った木枠の蝋板から、スタイラスの平らな端を使って数字を消し込んだ。
「勝っているかい?」レリウスに尋ねた。
レリウスは首を振って悲しそうな顔をした。
レリウスは笑みを浮かべ、それからレーストラックと競い合うペアたちを気取って検分してみせた。「あまり祭りらしく見えないな」と彼は言った。「もっと……こう、お祝いらしいものを期待していたんだが」と、とりとめのない調子で締めくくった。
「レースの主催者たちも、私と同じように意地悪い懐疑心をもってこの祭りを見ているのだと思うよ」とレリウスは言った。「祭りは始まって……何日だ? 二日か?」
レリウスは頷いた。
「そして私は、早くもこれに飽き飽きしている」レリウスは蝋板のスタイラスで三つの耳のうちの一つの後ろをポリポリと掻いた。「祭りの最中は休暇でも取ろうかと考えたんだが、もちろんここにいることを期待されているからね。一ヶ月間にわたる、挑戦的で革新的なアートと、容赦なく押し付けられる“強制された楽しみ”! まったく」レリウスは重々しく首を振った。「恐ろしい見通しだよ」
レフィドは顎を丸めた手に乗せた。「レリウス、君は昔から『ああ、もうどうでもいい派(AhForgetIt Tendency)』の器じゃないと思っていたがね?」
「もっと……なれることを期待して加入したんだがね」レリウスは上を向いて、自分たちの頭上に広がる木を模した巨大な彫刻を熟考するように見つめた。「……浮かれやすいタチにね」そして頷いた。
「もっと浮かれやすい性格になりたくてね、君のような優秀な人物たちが持つ自然な快楽主義が、私のもっと慎重で冷淡な魂にどうにか感染してくれないかと期待してこの派閥に入ったのだよ」彼はため息をついた。「いまだに希望だけは捨てていないがね!」
レフィドは軽く笑い、それから周囲をゆっくりと見回した。「レリウス、ここに一人で?」
レリウスは思索に耽るような表情になった。「恐ろしく能率的な私の第三事務アシスタントは、お手洗いに行っていると思う」と彼は喉を鳴らした。
「私の道楽息子の奴は、私に恥をかかせる新しい方法でも考案している最中だろうし、私の連れ合いは銀河の半ばほど離れた場所にいる――実に丁度いい距離感だ。そして現在の愛しいお気に入りは家にいて、気分を害している。正確に言うなら、彼女の言う『退屈な鳥とサルのレース』などに行かないよう気分を害しているわけだ」彼はゆっくりと頷いた。「客観的に見て、私は一人と言って差し支えないだろうね。なぜそんなことを聞くんだい?」
レフィドはテーブルに両腕を乗せ、少し身を乗り出した。
「昨夜、変なものを見たんだ」と彼は言った。
「あの四本腕の若い娘かい?」レリウスが尋ねた。少なくとも片方の目をキラリと輝かせている。「彼女の解剖学的な特徴の他の部分も、二倍になっているのかどうか気になっていたんだがね?」
「君の好色さには恐れ入るよ」レリウスは言った。「丁寧に頼めば、我々の該当する部位がごく標準的なひとつずつであったことを証明する録画のコピーを届けてくれるかもしれないよ」
レリウスはクスクス笑い、ストローのついたフラスコから一口飲んだ。「ではそれではないと。一体何を見たんだ?」
「二人きりか?」レリウスが静かに尋ねた。
レリウスは一瞬、呆然と彼を見つめた。「ああ、私のレース(神経網)はオフにしてある。他に見たり聞いたりしているものは私の知る限り存在しない。それで、一体何を見たというんだ?」
感想:ゴーストが囁くわ・・
「見せてあげるよ」レリウスはテーブルの差し込み口からナプキンを一枚取り出し、シャツのポケットから、ニューラル・レースの代わりに使っている端末を取り出した。
彼は何かを思い出そうとするかのように器具の刻印を見つめ、それから肩をすくめて言った。「えーと、端末、ペンになってくれ」
レリウスはナプキンに書き込み、それぞれが8つの点または小さな円で構成された、縦に連なる7つのひし形(ロンバス)の記号を描き出した。
書き終えると、彼はナプキンをレリウスの方へと向けた。レリウスはそれを注意深く見下ろし、それから同じように熟考した様子でレフィドを見上げた。
「とても綺麗だね」と彼は喉を鳴らした。「これは何だい?」
レフィドは微笑んだ。彼は一番右にある記号を突いた。「まず、これは8進法でこのパターンに配置されているから、エレンチャー(Elench)の信号だ。この一番最初の記号は、緊急救助のマーク(SOS)だ。残りの6つは、慣例から言ってもほぼ間違いなく……座標を示している」
「本当に?」レリウスはそれほど感銘を受けた風でもなく言った。「それで、その場所の座標というのは?」
「ここからアッパー・スワール(上部渦巻領域)へ向かって約73光年の位置だ」
「おや」レリウスは、おそらく驚きを表現していると思われる地鳴りのような音を立てた。「たった6桁の数字で、そんな精密なポイントを特定できるのかい?」
「256進法だからね。簡単だよ」レリウスは翼をすくめて言った。
「だが、本当に興味深いのは、私がこの信号をどこで見たかということなんだ」
「ふむ?」レリウスは、レーストラックで起きた出来事に一瞬気を取られながら答えた。彼はもう一口飲み物を口にし、それから再びレフィドへと意識を戻した。
「アフロント(Affronter)の小型巡洋艦の上だよ」レフィドは静かに言った。
「奴らの傷だらけの船体に焼き付けられていたんだ。ごく薄く、ごく浅くだが……ブレードに対して斜めに刻まれて――」
「ブレード?」レリウスが尋ねた。
レフィドは片手を振ってみせた。「装飾だよ。だが、確かにそこにあった。もし私が船のすぐ近くに――ヨットで――ティエールへ接近している最中でなかったら、絶対に気づかなかったはずだ。そして、当然ながらこんな魅惑的な可能性が存在する……あの船自身は、自分がこんなメッセージを背負わされていることに気づいていないかもしれない、という可能性がね」
レリウスはしばらくの間、ナプキンを凝視した。彼は椅子の背もたれに体を預けた。
「ふむ」と彼は言った。「私のレース(神経網)をオンにしても構わないかい?」
「別に構わないよ」とレフィドは言った。「船の名前がフューリアス・パーパス(Furious Purpose)号で、予定外にここへ戻ってきて807bドックに入っていることはもう知っている。
もし機械トラブルだとしたら、船体の傷と直接関係があるとは思いえないがね。信号が示す座標についてだが……クロムファレット I/II と エスペリという二つの星の中間あたり――ややエスペリ寄りだ。そこには何もない。少なくとも、誰も知る由もない場所だ」
レフィドはポケット端末を少し操作し、何度か試行錯誤した末に光線を強め、自分が書き込んだナプキンに火をつけた。彼はそれを燃やし、灰をテーブルの廃棄スロットへ掃き落とそうとした。その時、シートに背をもたれかけて呆然とした表情をしていたレリウスが赤い手を伸ばし、手のひらで灰を無造作に押し潰してから、風に向かって散らした。灰は脆い雲となってカルーセルから浮遊しながら落ちていき、下に積み重なった座席やプライベート・ボックスへと降っていった。
「駆動系のちょっとした不具合さ」レリウスは言った。「あのアフロントの船のことだ」彼はさらに少しの間黙り込んだ。「エレンチャー(探査集団)の側にもトラブルがあったのかもしれないな」彼はゆっくりと頷いた。「100日前、Swirl(渦巻領域)の調査のためにクラン艦隊――8隻の船――がここを発ったんだ」
「覚えているよ」レリウスは言った。
「どうやら……」レリウスは一度言葉を切り、「……兆候が――噂にさえならない程度のものだが――あるようなんだ。彼らの身に何か良からぬことが起きているというね」
「まあ」レリウスは両手をテーブルに平らに置き、立ち上がろうとしながら言った。「何でもないかもしれないが、ただ一応耳に入れておこうと思っただけさ」
「親切にどうも」レリウスは喉を鳴らし、頷いた。「我々『ああ、もうどうでもいい派』に何ができるかは分からんがね。我々がここへ寄越した最後の船など、勝手に休暇(サバティカル)に入ってしまいおった恩知らずの犬めが。だが、この情報を『本土(メインランド)』に売る(取引する)ことくらいはできるかもしれない」
「そうだね、愛しき古き本土か」とレフィドは言った。「本土」とは、「ああ、もうどうでもいい派」がカルチャー本国を指す際によく使う隠語だった。彼は微笑んだ。「まあ、何にせよだ」彼は立ち上がりながら、背もたれから自分の翼を離した。
「本当に残らないのかい?」レリウスは瞬きしながら言った。「賭けの勝負でもしよう。君が勝つ方に賭けるよ」
「遠慮しておくよ。今夜は一度に二人分の席を必要とする貴婦人をもてなさなきゃならないんだ。カトラリーを磨いて、風切り羽をいつでも逆立てられるように手入れしに行かないとね」
「あぁ。両腕いっぱいの楽しみ(抱きしめるほどの楽しみ)をな」
「そうさせてもらうつもりさ!」
「ああ、くそ」下の方や周囲のあちこちから大きな歓声が上がると、レリウスは悲しそうに言った。レースが終わったのだ。
レリウスは身を乗り出し、蝋板の上の数字をさらに二つばかり消し込んだ。
「気にするなよ」レフィドは、巨大な人工木の幹へと戻る揺れるケーブルブリッジへ向かいながら、副領事の豊かな肩をぽんと叩いた。
「ああ」レリウスは自分の手についた灰の汚れを見つめながらため息をついた。「どうせすぐに次のレースが始まるさ」
感想:やっとつまらない権威者のマーントークがおわた。
