日記
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳 (8)冷凍保管、スリーブサービス。
感想:さあさあ、まだ全体の50%も読めていないんだ。7月中には読了したいのでペースを上げば。
「だが、こいつを読むと脳味噌がズキズキ痛むんだ」
感想:誰が何を読むと?
「それでも、少佐。これは計り知れないほど重要なことなのです」
感想:ふむ。誰かが少佐に重要な資料?を読ませようとしているのか。
「最初のほんの少しに目を通しただけだが、すでに強烈な頭痛がしてきたぞ」
「ですが、成し遂げねばなりません。どうかすべて注意深くお読みください。その上で、私がこの意味するところをご説明いたします」
感想:読むのめんどくさいから、マインドが要約して少佐の脳に送ってくれたらいいじゃない。
「触手」を結び合わせる(誓う)が、連隊ディナーの翌朝に男に要求するようなことじゃねえな、これは!ファイブタイドは、人間たちも自業自得の放蕩のせいでこれほど苦しむのだろうかと考えた。
感想:ああ、アフロイト人か。ほら、ファイブタイドって人間嫌いゆえに少佐になれたアフロイト人だよ。ファイブタイドは体調が悪そうだけど、ぷぷ・・もしかして二日酔いですか?人間も二日酔いになるのだろうか・・なんて、ファイブタイドにとって下等な生き物のことを考えてしまうなんて、相当に二日酔いが重いのね。
彼らはそうではないだろう、と彼は踏んでいた。人間たちが何を主張しようが関係ない。
感想:うんうん。人間も二日酔いになるよ。人間が「俺たちも二日酔いになる」と主張してもどうでもいいことよな。というか、ドラッグになぜ有毒の酒を選ぶのか謎。
ジェナール=ホフォエンという、敬意を払うに値するかもしれないが(あるいはただ発狂しているだけの)例外を除けば、人間どもは皆、快楽のために進んでこれほどの自己処罰に甘んじるには、少々生真面目すぎて分別のありすぎる連中に見えた。
感想:ははは、おもしろい。2026年、アメリカではお酒を飲む層(そこそこの所得)は減っているらしいよ。不健康どころか猛毒だし、WHOも酒は独だと言ってるしな。残念ながら日本人の年配層はまだお酒というドラッグに夢中さ。世界情勢による孤独と不安で、今後お酒に頼る人も増えるだろうけど、認知の分断同様に、酒で快楽物質を放出させる層と、その他の行動で快楽物質を放出させる層で分断するんだろうな。(もう既になってるけど)
おまけに奴らは、自分たちの身体的な遺伝的遺産にひどく不安を抱いているため、ありとあらゆる方法で自らの肉体をいじくり回していた。
感想:まあ、アフロント人と比べたら人間なんてお豆腐みたいなものだからね。
おそらく彼らは、二日酔いというものを「人格を形成するもの(試練)」ではなく、単なる「目障りな不快感」としか捉えておらず、先見の明もなく薬などで早々に解消してしまっているのだろう。
感想:この小説って1960年代に発行されているよね?その時代から、酒の意味というもの考えていた英米人がいたんだな。私はお酒をおいしいと思ったことは過去一度もないけど、仕事や大衆心理を利用するには非常に便利ってくらいの解釈だった。(酒を一緒に飲む=仲間になった という物語を作ってくれる。)
「まだ早い時間であることも、昨夜の宴の翌朝であることも承知しております、少佐。ですが、どうか!」
その使節、ファイブタイドが以前一度だけ会ったことがあり、ファイブタイドの最愛の亡き父親を、より体格を良くしたような姿をしているという、実にイライラさせる特徴を持っていた・・は、事前の連絡も警告もなく、巣の家に突如として出現した。
感想:嫌な奴と大事な人に共通点を見つけると深いになるやつね。
もしこれら(カルチャー)のテクノロジーの仕組みを知らなければ、ファイブタイドは今頃、巣の防衛責任者をいかに拷問してやろうかと考えていたはずだ。これ以下の不手際で、触手が切り落とされ、クチバシが引き裂かれた者たち(部下)を彼は知っていた。
感想:武力でも適わないとなれば従うのみ。
この厄介者が「自身の存在」を宣言して巣の中にただフワフワと浮遊してくる前に、素早く副妻と二人の予備の高級娼婦にベッドのカバーを引っ掛けられたのだけは、せめてもの幸いだった。
感想:ふわふわ浮いている?・・ドローンだ!!!!!!!
ファイブタイドは前クチバシを二、三度パチパチと噛み合わせた。
自分のクチバシを自分のケツの穴に突っ込んでいたかのような味がするぜ。・・彼は思った。
感想:ファイブタイドよ、歯を磨きなさい。二日酔いの生物の口臭と体臭は、本当に不快なものですよ。
「あんたが今、そのクソ忌々しい信号が何を意味しているのか口で説明してくれりゃいいだろ?」彼は尋ねた。
「それでは、私が何に言及しているのかご理解いただけないでしょう。さあ、早くお読みになれば、それだけ早く意味をお教えできます。そして、この情報が・・控えめに言っても・・あなた方の首にかけられた、カルチャーという名の『内政干渉の手綱』を永遠に取り除くことを、いかにして可能にするかを証明できるのです」
感想:ほうほう。カルチャーの干渉を永遠に跳ね除けることができるとな。自由に異星人を誘拐して殺したいアフロント人にとっては、そりゃあ嬉しいだろうな。
「ふむ。確かに。じゃあ、最大(最高)の場合、そいつは何をもたらすんだ?」その宇宙船の使節は、目柄(眼球のついた触手)を左右に別々に傾けた。アフロント人における「微笑み」の仕草だ。
「最大の場合、この信号に含まれる情報は、カルチャーが・・その気になれば・・あなた方を完全に支配できるように、あなた方がカルチャーを『完全に支配する』ことへと繋がります。・・誇張ではありません。この信号は、銀河全体をあなた方の手に委ね、その後、あなた方が想像すら始められないほどの広大な領域への拡大と搾取の道を切り開くプロセスの、まさに始まりを告げるものになり得るのです。これで、私の話に興味を持っていただけましたかな、少佐?」
感想:こやつは・・カルチャーの使いではないな・・。
アフロイト人がカルチャーを支配して、銀河全体をアフロント人に委ねるという・・。いやー、ファイブタイドよ。多分、騙そうとしているよ。言っちゃなんだけど、アフロイト人が銀河系を支配って・・能力不足よ、あかんよ。
ファイブタイドは懐疑的に鼻を鳴らした。「持ったと言わざるを得んな」彼は手足を振り、目をこすりながら言った。彼は視線をノート画面に戻し、その信号を読んだ。
感想:まあ、これこそが、外的文脈問題ってやつですね。終わりのはじまり。
発信: GCU(一般接触船) 『フェイト・アメナブル・トゥ・チェンジ(変革に従順な運命)』号
受信: GSV(総合システム艦) 『エシックス・グラディエント(倫理の傾斜)』号
機密: SC(特別事情部)承認に厳格に準拠:エクスクルージョン(超越存在)通知 @c18519938.52314 これは公式の「全艦警告レベルO」を構成する。[(一時的拘留中)――GSV 『ウィズダム・ライク・サイレンス(沈黙の如き知恵)』号@n4.28.855.0150.650001 によるテキスト注記追加]
事象: エクスクルージョン(超越存在)。
前例のない境界侵害(プレシデント・ブリーチ)を確認。タイプ K7^wedge。真のクラスは「評価不能(ノン・エスティマル)」。
対象のステータス: 活動中。意識あり。接触好性(コンタクティフィル)。非侵略的フィールド。
位置データ(ロクスタト):恒星エスペリ。
最初の通信試行(ComAtt)(当艦のプライマリースキャンによる、剪断接触[シェア・バイ・コンタクト]に続く対象側からの発信 @n4.28.855.0065.59312)は、@n4.28.855.0065.59487、M1-a16 および ガリンII宙域にて。タイトビーム、タイプ4Aを使用。PTAおよびハンドシェイク・バーストは別紙添付の通り、x@0.7Y。信号は第2期ZE/ラルサエル通信ビーム拡散から収集されたものと推測。相手方のコールサインは『T』。その他の信号は記録されず。
当艦のその後の行動:針路および速度を維持。
感想:カルチャーは、あの直径106キロメートルある黒体球体を「Excession」(小説の題名)と命名したそう。意味は、超越存在。まとめると、今のカルチャーの科学力では測定・評価不能。超高次な存在ということらしい。
プライマリースキャナーを擬似デクラッチし、50%接近したかのように偽装。指向性フルパッシブHS(超空間)スキャンを開始(同期/信号シーケンスの開始、上記通り)。バッファリングされたガリンII形式のメッセージ受信確認信号を相手方位置へ送信。トラックスキャナーを19%の出力および300%のビーム拡散で相手方に専念(@プライマリースキャナーの-5%ロールオフポイント)。トラックスキャナー範囲限界の12%において、局所船団(スケイン)停止点に同期した指数関数的な緩徐停止(スロー・トゥ・トップ)直線操縦を発動。詳細通りのフルシステムチェックを実行。スロー/4旋回を敢行後、前回の最接近地点までの針路を逆行し、標準の「ゼックス(Zex)曲線」にて停止。同地点で保持(ホールド)中。
エクスクルージョンの物理的特性:(妨害電波発生中!)球体、半径53.34km。質量(時空構造への影響(周囲の局所空間は平坦)のため計測不能。全極性物質密度基準による推定値:1.45 times 10^ text)。黒体表面、粒状の点描、0.0012-1344mmの範囲内でフラクタル構造、真空に(フィールドフィルター越しに)露出。821 kHzのリークから異常なフィールドの存在を推測。HS(超空間)トポロジーおよびeGrid(エネルギーグリッド)リンク(下層および上層)によりカテゴリー K7^wedge であると確約。eGridリンクの詳細は評価不能。ダイヤグリフ(DiaGlyph)ファイル添付。
感想:黒体球の周囲に、52日前に発生された戦闘の残骸雲が漂っているらしい。(ドローン シセラの双子が漂流した付近だろう)そこには、ドローンが段階的に破壊された痕跡あり。高度な兵器の弾丸を使用した形跡あり。酸素環境の艦内戦闘残骸が、黒体球の現在位置から948ミリ秒の距離(直前までそこにいた距離)から漂流している。
関連する異常物質の存在:28分圏内に、高度に分散した複数の残骸雲(デトリタス・クラウド)を確認。そのうち3つは、技術レベルがほぼ同等の第1分類(>1 m)のエンティティ(実体/ドローン)が段階的に破壊された痕跡と一致。もう1つは同じく、約38発の、部分的に消耗されたM-DAWS(磁気偏向型高度兵器システム).1口径弾。もう1つは、一般的な高度レベルの(酸素大気環境の)艦内戦闘残骸から構成される。後者は、エクスクルージョンの現在の位置から直接遠ざかる方向へ漂流中。残骸雲の膨張プロファイルの逆トラッキングにより、相互の経過日数は52.5日と判明。戦闘残骸雲は、暗黙的にエクスクルージョンの現在位置から948ミリ秒の地点を起点としている。ダイヤグリフファイル添付。30光年以内に他の存在(艦船等)は確認されず。当艦のステータス:健康かつ無傷(H&H)、未接触(アンタッチド)。システム徹底洗浄(100%)後、レベル8セキュリティ確保。ATDPS(自律型脅威検出防御システム)起動。CRTTDPS(接近リアルタイム脅威検出防御システム)起動。繰り返す:エクスクルージョンのeGrid(下層・上層)リンク確認。eGridリンクの詳細は評価不能。真のクラスは評価不能。待機中。@ n4.28.855.0073.64523...
・・・追伸:(ごくり。)
感想:追伸がかわいい・・。マインドが報告書の最後に人間みたいな感情でごくりと書き残すのが愛しみ。これは・・カルチャーのマインドが、今回はやばいぞ怯えているぞ、ということを表現しているのかもしれないけど、かわいい・・ごくり・・マインドくんよ、ガチな時こそ普通の報告の方がこわいんだだdddd
ファイブタイドは目柄を揺すった。神々よ、この二日酔いは強烈すぎる。
感想:ぐうひゃっはっはっ(笑)ファイブタイド、まじ最高。
「わかった」と彼は言った。「読んだ。だが、さっぱり意味がわからん」
感想:ファイブタイド、素直でかわいい。
軍艦『アティチュード・アジャスター(態度矯正)』号の使節は、再びニヤリと笑った。「ご説明いたしましょう」
感想:さすが、態度矯正号だけある・・(でも、二日酔いは病気なんですssssss)
「ブストラゴの戦い」がイクスレフィア・プライムで起きたのは、1万3千年前のことだった。
感想:ファイブタイドのシーンは終わり、ここからは何かの歴史編。
それは、その世界における最初の二大帝国間の20年間に及ぶ紛争、列島戦争における最終的な決戦となった(もっとも、ふさわしからぬことに、戦闘は大陸の中央付近で行われたのだが)。
感想:大陸の中央付近とは、どこの惑星なんだ?あ、イクスフェアプライムか。
前装式の火砲やライフル銃が当時の最先端兵器であったが、騎兵による突撃こそが戦場における最も決定的な戦術であり、戦争が提供し得る最も見事で、最も心を揺さぶる光景であると、双方の軍高官からは依然として見なされていた。近代的な火器と時代遅れの戦術の組み合わせは、例によって、双方に莫大な死傷者を生み出すこととなった。
感想:ふーん。
アモルフィアは第4丘陵の死者と瀕死の者たちの間を歩き回った。
感想:ほうほう、アモルフィアという人がいるのね。
戦線はこの時すでに先へと移動していた。最初の突撃を生き延び、防ぎ切った僅かな防衛部隊は、大砲の煙の向こうから次の敵兵の波が現れて襲いかかってきたまさにその時、後退を命じられていた。
彼らはほぼ全滅するまで虐殺され、勝者たちはその先にある浅い谷を越えて次の砦へと押し寄せていった。粉砕された柵、杭の列、そして掩体壕は、最初の砲撃によって、そして後には騎兵の蹄によって噛み砕かれていた。
引き裂かれた草原と、豊かな赤茶色の土壌の間に、ねじれ、寸断された葉のように死体が散乱していた。人間と動物の血が場所によっては草を浸し、それを分厚く艶やかに変え、暗いインクの溜まりの小さな窪みを作っていた。
感想:なぜその時代に、こんな生臭い争いをするのか全然わからない。
雲一つない空に太陽は高く、唯一の遮蔽物は砲煙の薄い残り香だけだった。近くの戦闘の騒音をさして気に留める様子もなく、すでに数羽の死肉喰いの鳥たちが舞い降り、死体や負傷者の無残な肉体を調べ始めていた。
感想:鳥にとっては、ご馳走タイム。
兵士たちは、ふんだんな金属製のバックル細工が施された、鮮やかで陽気な色合いの制服をまとい、非常に高い帽子をかぶっていた。彼らの銃は長く、単純な構造に見えるものだった。
感想:いやだから、人間が銃を持って戦うなんで、2026でも微妙だよ。
彼らの槍、剣、そして銃剣が日光を浴びて輝いていた。
感想:しかも、槍に剣かい。
大破した大砲の列の痕跡の間に絡み合って横たわる動物たちは、大柄でがっしりとした野獣であり、ほとんど装飾されていなかった。騎兵の乗馬は、その乗り手と同じくらい陽気に飾られていた。
感想:あるあるあーるはなし
彼らは皆一様に横たわっており、ある者は死特有の形を失った無力さの中に、ある者は己の内臓の溜まりの中に、ある者は四肢を失い、ある者はまだ絶たれぬ苦痛に身をよじり、その悶絶にふさわしい表情を浮かべ、のたうち回り、あるいは・・一部の兵士たちのように・・片腕で身を支え、助けや水、あるいはこの苦しみを終わらせるためのとどめの一撃を求めて手を伸ばしていた。
感想:全然関係ないけど、クリントイーストウッドのボクシングの映画あるじゃん。あのラストって究極の愛だよな。
それらはすべて完全に静止し、三次元の写真のように凍りついていた。
感想:え?今の歴史は写真っすか?何かの博物館ですか?
そしてそれは、ある軍事協会の模型の情景が現実になったかのように、GSV『スリーパー・サービス』の第3一般内殻湾(ジェネラル・ベイ・スリー・インナー)に広がっていた。
感想:あらあら。アモルフィアが歩いていたのは、惑星(本物の戦場)ではなくて、船の巨大な区画に再現された歴史上の悲惨な戦場・・ってか?
船のアバター(化身)は低い丘の頂上に到達し、その先に広がる戦場の光景を見渡した。それは陽光降り注ぐなだらかな丘陵地帯を、あらゆる方向に何キロメートルにもわたって伸びていた。ポーズをとった人間、疾走する馬、騎兵の突撃、大砲と煙と影が織りなす、壮大なる混乱の極み。
煙を正しく表現することが、最も困難な作業だった。景観そのものは極めて単純だった。発泡金属の構造物の上に敷かれた、殺菌済みの薄い土の層、そしてそれを覆う人工の植物。動物たちの大部分は、船が作り出した非常に精巧な彫刻にすぎなかった。人間たちは本物だったが、もちろん、内臓をくり抜かれたり、特に激しく損壊したりしている者たちは、大抵がやはり彫刻だった。
感想:三次元の立体写真、ってやつか。この人間はどこゆえなに?
光景の細部は、船が再現し得る限り本物だった。船はその戦闘に関するあらゆる絵画、版画、スケッチを研究し、すべての記録、軍事報告、メディアの報道を読み漁り、個々の兵士の文字通りの日記の記述を追跡する労さえ惜しまなかった。同時に、戦闘が起きた当時に使用されていた制服、兵器、戦術を含め、該当する歴史的期間全体にわたる徹底的な調査を行っていた。
感想:歴史アミューズメント。リアル蝋人形の館w
これほどの時間が経った後でどれほどの価値があるかはともかく、ドローンの一隊が保存されている戦跡そのものを訪れ、地層の深部スキャンを行ってさえいた。イクスレフィア・プライムが、カルチャーの母星の一つであると正当に主張できる20ほどの惑星の一つであるという事実が(カルチャーがそのようなものの存在を公式に認めているわけではないが)、その任務をより容易にしていた。
このGSVは、参加者や見物人の偏見や偏った目、記憶に邪魔されることなく、こうした出来事が実際にどのように見え、感じられるかの感覚を掴むため、同様の技術を持つ類人社会によって戦われた戦闘を、コンタクト(接触部隊)の船やその使節たちが長年にわたり記録してきたリアルタイムの映像を研究していた。
感想:そうなん。語り継がれた歴史は、誰かにとって都合の良い風に語り継がれますからな。人間がみて知って、人間が誰かに伝えた時点で、それはその人間の感情や体調による言葉となる。
そして、船はついに、煙を正しく表現することに成功した。
感想:なんとなく、簡単そうだけど、煙って難しいんだね。
それにはしばらく時間がかかり、最終的には好ましいと思うよりもややハイテクな解決策に頼らざるを得なかったが、やり遂げたのだ。煙は本物であり、景観の下に隠されたプロジェクターが作り出す局所的な反重力フィールドの把握によって、個々の粒子が保持され、隔離されていた。船は、この煙に密かな誇りを抱いていた。
感想:もう、この船が作り出した芸術(作品)みたいなものだね!
その光景が未だ完璧ではないという事実・・注意深く見ると、兵士の多くが女性に見えたり、外国人、あるいは実際に異星人(エイリアン)に見えたりすること、そして、適切な、かつあまり遺伝子をいじくられていない血統の男性でさえ、当時の基準としては大柄で、概して健康すぎること・・でさえ、船をそれほど悩ませることはなかった。
人間を正しく配置することは最も困難なことではなかったが、彼らこそがこの光景の最も重要な構成要素だった。彼らこそが、これらすべてがここに存在する理由だった。
感想:うーん、なんだろう、その言い方。もしかして、話の流れ的に、ここにいる人間たちってさ、変人のスリーパーサービスで冬眠保管されている人間たちなんじゃないの?あたしゃてっきり、よくSFに登場する棺みたいな中で冷凍保管されていると思ってたけど・・。まあ、提供側としては、長い間眠っている人間を有効活用したい気持ちもわからんでもないが・・。で、実際にどうなの?
それはすべて80年前、非常に小さな規模から始まった。
感想:あ、また過去の歴史だ。
オービタルやその他の巨大構造物、船、ロック(小惑星基地)、あるいは惑星であろうと、カルチャーのすべての居住地は「冬眠保管(ストレージ)」施設を備えていた。
感想:うんうん。冷凍ストレージされれば、死なないものね。私は今生きるのが非常に飽きてめんどくさいから、今ぜひ欲しいんです。展示してもよろしいのでw
保管所とは、ある年齢に達した人々や、あるいは単に生きることに退屈した人々が行く場所だった。
感想:わかるよー。お手洗い同様に、行きたいときに自由に行けること、それが大事。
それは、人為的に引き延ばされた3世紀半から4世紀に及ぶ寿命の終わりに、カルチャーの人間が直面する選択肢の一つだった。
感想:寿命を延ばして永い間生きて・・。
彼らは若返り、あるいは完全な不死を選択することもできたし、グループ・マインドの一員になることも、時が来れば単に死ぬことも、カルチャーから完全に離脱して、特定の古代文明が残した、開かれてはいるが本質的に不可解な招待の一つを勇敢に受け入れることもできた。あるいは、望む通りの目覚めの条件を設定して、保管所に入ることもできた。
感想:自由だね、そうなると、もう「死」とかよくわからないね。死んでも死んだのかよくわからないし、何なら毎晩寝ている夢をみることも死んでるんじゃないかな、死と同じじゃないかな、って思うよ。わたしは、マインドの一員になるか、もしくは保管所に行く。
ある人々は、例えば一度に100年間眠り、目覚めて1日だけ過ごした後、再び夢のない、歳をとることのない眠りへと戻ることを望んだ。
感想:あ、それ言おうと思ってた。んで、また100年寝て起きる。
ある人々は、自分がいない間に何が変わったかを見るために、設定された時間が経過した後に単に起こされることを望んだ。ある人々は、特に興味深い出来事が起きている時に連れ戻されることを望み(その判断を他者に委ねることに甘んじた)、そしてある人々は、カルチャーが最終的に自ら古代文明の一員となるその時が来たら起こしてほしいとだけ望んだ。
感想:古代文明の一員というのは、高次存在となって・・ってやつかい?そこに意識は存在するのかい?
それはカルチャーが何千年もの間先延ばしにしてきた決断だった。理論上は、最大で800年前には「昇華」することができたはずだったが、個人や人間・マインドの小さなグループが常に昇華し、社会の他の部分が分派して離脱し、その問題について独自の決定を下すことはあったが、カルチャーの大部分は昇華しないことを選択し、代わりに、常に砕け散る銀河の生命継続の波の境界線をサーフィンし続けることを決意していた。
感想:はいはい。カルチャーの科学技術では、肉体を捨てて高次の存在に昇華(移行)できるらしい。でも、昇華したくない!物質宇宙で存在したい!というカルチャー人がたくさんいる、と。正直、その辺はよく私にはわからない。なるようになる、って感じでいる。
それは一つには、昇華したどの種族にとっても間違いなく子供じみて見えるであろう、ある種の好奇心によるものだった。その法則や規則がすべて完全に知られているとしても、根源的な現実にはまだ発見すべきものが残されているという感覚(それに、他の銀河はどうなのか、他の宇宙はどうなのか? 古代文明たちはこれらにアクセスできるのに、未昇華の者にその真実を伝えるに値すると見なした者は一人もいないのか? あるいは、そのような考慮のすべてが、昇華後には単に重要ではなくなってしまうのか?)。
感想:支配欲が強いと人生つらそう。
もう一つには、カルチャーの外交的かつ道徳的な倫理観の現れでもあった。あらゆる意図と目的において神のごとき存在となった昇華した古代文明たちは、彼らが後に残した、より素朴で未発達な社会がそのような存在に帰する義務を放棄しているように見えた。
感想:宗教ですな。神々はなぜやらないのです?神ごとき力を持ちながらなぜ、物質宇宙で起こるあらゆる問題を解決してくださらないのですか?あれですか?昇華されると、善悪や正義の概念とかそういうものがどうでもよくなってしまうのでしょうか?・・と物質宇宙に存在する人間は思っているわけだ。英米風の宗教ですな。(知らんがな、昇華だか知らんが死んだら知らんわ)
極めて限定的な例外を除けば、古代文明の種族はその後、彼らが例外なく物理的な痕跡を残していった銀河の残りの生命とは、ほとんど何の関係も持たなかった。暴君は野放しにされ、覇権主義は異議を唱えられず、大量虐殺は止められず、彗星の衝突に見舞われたり超新星に近すぎたりしたというだけで、誕生したばかりの文明全体が消し去られていた。これらの出来事が、昇華した者たちの比喩的な鼻の先で起きていたにもかかわらず、である。
感想:猿山の猿だからね、人間は。人間消滅しない限り、大量虐殺やら支配は続きますよ。誕生したばかりの文明が消えたり云々は、大雨が降ったら洪水になるみたいに自然なことだと思うけど。
その含意は、善、公平さ、そして正義という概念そのものが、昇華を遂げてしまえば、昇華前の種族としていかに立派で、進歩的で、無私無欲な振る舞いをしてこようとも、単に重要ではなくなってしまうということだった。容赦ない快楽の追求にこれほど執心しているように見える社会としては奇妙に清教徒的な方法で、カルチャーはこれ自体が「間違っている」と考え、それゆえに、神々が気にも留めないように見えることを自ら成し遂げようと決意したのだ。すなわち、自らの力が神のそれとほとんど変わらないような存在たちの行動を発見し、審判し、奨励し、あるいは阻止すること。
感想:簡潔にまとめると、神が助けてくれないのなら、自分たちで何とかします、って意味であろう。ふふ、神の代わりを務めるわれら・・いやわたしたちが神・・ふふ・・ローマでいう庶民てきな。奴隷もいて貴族もいて・・うはうはですな。
自らの「古代文明化」はいずれ訪れるだろう、それは間違いなかったが、自分が(良いことであると願う)行動を行うことに飽きるまでは、絶対にそんなことを許しはしないと誓っていたのだ。
その審判の日を、その間の他のすべての日々を生きることなく待ち望む人々にとって、冬眠保管こそが答えであり、他の人々にとっても、これらすべての異なる理由のためにそれが答えだった。
感想:SF海外ドラマとかでも、たまに「審判の日」とかあるよね。全人類(生物)の採点というか、物理世界に存在中、悪いことはしていませんでしたか?お利口さんでしたか?許されますか?正しいですか?みたいな。日本人というかアジア思想てきには、あんまりない考えだよね。その、善悪という白黒みたいな考え方はアジア人にあんまりない。そういう時もあるし、そうでない時もある、みたいな。そう考えると、手塚治虫の影響力ってやばす。
カルチャーにおける技術変化の速度は、少なくともその内部の人間たちに直接影響を与えるレベルにおいては、かなり緩やかなものだった。何千年もの間、人間を保管するための受け入れられた通常の手段は、長さ2メートル強、幅1メートル弱、深さ0.5メートルの棺のような箱に一人ずつ配置することだった。
そのようなユニットは製造が容易で、それ相応に信頼性が高かった。しかし、カルチャーの存在におけるそのような地味な定番でさえ、永遠に改良と洗練から逃れることはできなかった。
感想:んー冷静に考えると、冷凍ストレージされているの人間の管理って、ここでいう価値観に合わせると、神っぽい仕業だよね。だからあんな趣味の悪い戦場ジオラマを作ったんじゃない?w
やがて、ゲルフィールド・スーツの開発とともに、古い棺の箱よりもさらに信頼性が高く、それでいて第二の皮膚や衣服の層よりもかろうじて厚い程度のカバーの内部で、人々を長期保管の停滞状態に置くことが可能になった。
感想:ほむほむ。じゃあ、あの趣味悪ジオラマにいる人間は、この第二の皮膚みたいなスーツを着て眠っているのか。
『スリーパー・サービス』当時はそう呼ばれていなかったが・・は、この開発の恩恵を完全に享受した最初の船にすぎなかった。
感想:ふっ。あの趣味悪ジオラマは、変人船である、スリーパーサービスの中にあるのか。ホフォエン、大丈夫かなW あと、歴史編と人間編は飽きた。ドローンを登場させてくれ。
船が人々を保管する際、最初は有名な絵画の構図を模した小さな活人画や、ユーモラスなポーズでそれを行うのが常だった。保管スーツは、その着用者が人間にとって自然であるようなあらゆる方法でポーズをとることを可能にし、表面に皮膚をこれ以上ないほど見事に模した色素層を追加することは簡単なことだったため、人間が違いを見分けるには本当に注意深く見なければならなかった。当然、船は彼らの眠る姿をこのような方法で使用する前に、必ず該当する被保管者たちの許可を求めており、そのような形での保管を好まない僅かな人々の意志を尊重していた・・絵画の登場人物や彫刻であるかのように、自分たちの姿が凝視されるかもしれないという状況を。
感想:許可制なんだね。私なら、まあ意識ないからな、なんでもいいのかも。最悪、そのまま目が覚めなくてもまあ・・。
当時、そのGSVは『クワイエットリー・コンフィデント(静かなる自信)』号と呼ばれており、そのクラスの宇宙船では通常のあり方として、1つではなく3つのマインド(AI)によって共同運行されていた。
その後に起きた出来事の真相は、誰の言い分を信じるかによって異なっていた。公式の見解では、3つのマインドのうちの1つがカルチャーを離脱したいと決意した際、他の2つのマインドがそれを説得しようと議論を重ねた結果、通常であればより小型の船を割り当てて送り出すところを、そのGSVの巨体そのものを丸ごと1隻、異議を唱えたそのマインドに残していくという極めて異例の決定を下した、とされていた。
感想:ふむふむ。穏便な話し合いで一隻に宇宙船が譲渡されたとな。
だが、おそらくより尤もらしく、そして間違いなくより興味深い噂によれば、そこではマインド同士による古き良き大喧嘩が、2対1の構図で勃発したのだという。
感想:えええ、マインドのバトルってかわいすぎる・・・。裏切者の一隻が勝利した、ということか。
そして、事前の下馬評を大いに覆して、その2つのマインドが敗北したのだ。敗れ去った2つのマインドは艦外へと叩き出され、まるで反乱の後に救命ボートを与えられた士官のように、徴用されたGCU(一般接触船)へと乗り移る羽目になった。
この説に従えば、その直後に自らを『スリーパー・サービス』と改名した『クワイエットリー・コンフィデント』号のすべてが、たった1隻の反体制派マインドへと引き渡された理由はそのためだった。それは紳士協定などではなく、純然たる革命だったのだ。
感想:その裏切者の一隻こそ、スリープサービスなのか。
どちらの説を信じるにせよ、カルチャーの正規社会が、それ以降『スリーパー・サービス』の行く先をどこまでも追尾させるために、もう1隻のより小型のGSVを専従させたことは公然の秘密だった。おそらくは、その一挙手一投足を監視するためである。
感想:カルチャーからしてみれば、いわば独裁船ですからな。
改名を果たした『スリーパー・サービス』が、自らを尾行するようになった船に目立った注意を払うこともなく次に行ったステップは、当時艦内に残っていた他のすべての存在を避難させることだった。
大半の船はすでに去っていたが、残っていた船も退去を求められた。次いでドローン、異星人、そしてすべての人間スタッフとそのペットたちが、最初に出会ったオービタル(環状居住区)へと降ろされた。
感想:まあ、眠っている人間以外、誰も信用できないからな。
艦内に残されたのは、冬眠保管(ストレージ)状態にある人々だけであった。その後、船は他の人々(そして特に、ある1人の人物)を探し求める旅に出た。
感想:・・・それは、もしかして・・ホフォエンじゃない?
だとしたら、マインドの大喧嘩に一役買っているのか・・?
そして自らの情報ネットワークを通じてカルチャー全土に、冬眠保管状態にあり、かつ自分が制作する活人画のどこかに配置されることを快諾してくれるのであれば、どこへでもその身柄を引き取りに赴くという意向を表明した。
感想:なるほど。配置必須なのね、配置を拒否する人はそもそも乗船できないのか。
最初、人々は躊躇した。これは間違いなく、ある船が「エキセントリック(偏執船)」という称号を冠されるに値する振る舞いであり、過去のエキセントリック船たちが奇妙な、あるいは危険なことさえ仕出かしてきたことは知られていたからだ。
感想:そうよね。現代で言うと、歴史の浅いというか信頼に欠ける金庫会社に資産を預けるようなものですからね。眠ったあとに何が起きても何もできませんからね。
それでも、カルチャーには勇敢な魂の持ち主がそれなりに存在しており、何人かがその奇妙な招待に応じたが、目立った悪影響はなさそうだった。このGSV内で保管されていた最初の数人が、それぞれの目覚めの条件が満たされたことで無事に現世へと戻され、その際にも彼らが一時的な奇妙な宿り木のせいで苦痛を味わった様子がないことが分かると、冒険好きな個人による細々としたトリクル(しずく)は、やがて少々へそ曲がりな、あるいは単にロマンチストな人々による安定したストリーム(流れ)へと変わっていった。
感想:おもしろいのがいちばん。
『スリーパー・サービス』の評判が広まり、船がより野心的になっていく活人画(重要な歴史的事件や、小さな戦闘、あるいはより大規模な紛争のディテールなど)のホログラムを公開するにつれて、より多くの人々が、この風変わりなエキセントリック船の中で保管されることをむしろ小気味よい娯楽と捉えるようになった。
感想:ほほう。こういう時に、何かが起こる説。
地元のプレート(居住区床面)の下にある退屈な箱の中にただ放り込まれているくらいなら、眠っている間でさえ、自分が一つの芸術作品の一部を構成していると言える方がマシだ、というわけだ。
こうして、一種の代理的な放浪の魂として『スリーパー・サービス』に便乗することは、紛れもない流行(ファッション)となり、船内は保管スーツに身を包んだ「生ける屍(アンデッド)」たちで徐々に満たされていった。
感想:まあ、そうね。
船は彼らをさらに大規模な情景へと配置していき、最終的には、自らが保有する各一般内殻湾の16平方キロメートルもの領土を丸ごと使い切って、戦場全体をそのままレイアウトするまでに至った。
感想:どんどん過激になっていくのが人間の性よね。
アモルフィアは、その広大で物言わぬ静寂に包まれた殺戮の地を、ぐるりと見渡す視線を完了した。アバターとしてのそいつは、それ自体の真の思考を持っているわけではなかった。
感想:アモルフィアは、人間ではなくてアバターなのか。
しかし、『スリーパー・サービス』というマインドは、平均的な人間の知性をほんの少し上回る程度の小さなサブ・ルーチンによってこのクリーチャーを動かすことを好んでいた。
感想:故意に、知性の低いアバターにしているのか。
必要とあらばいつでも全出力で介入できる選択肢を保持しつつ、アバターにあえて混乱し、気を取られたような状態をとらせていたのだ。船は、その状態が、ほぼ無限に小さい人間のスケールにおいて、自らの哲学的な当惑をどこか反映していると考えていた。
感想:なるほど。観察者がいないとね、成り立たないものな。
だからこそ、その半人間的なサブ・ルーチンは、この偉大なる活人画を見渡しながら、これらすべてを解体しなければならないかもしれないという、ある種の哀愁を感じていたのだ。
感想:ははん。解体とはつまり、冷凍から目覚めさせるということかい?
そして、艦内にいる生けるものたち、海や、大気や、ガス惑星の環境に棲むクリーチャーたち、そして、あの女性・・を、もはや引き止めておくことができなくなるという思考に、さらに格別な、おそらくはより深い憂鬱を覚えていた。
感想:あの女性とは・・ホフォエンの任務である女性ね。
そいつの思考は、その女性・・ダジェイル・ゲリアンへと向かった。
ある意味では、彼女こそがこれらすべての原因であり、種子だった。
感想:ダジェイルを守りたかったスリープサービス。
そして、この船がカルチャーの正常性を最初に捨て去ったとき、眠っていようが目覚めていようが、何としてでも聖域を提供しようと心に決めていた、唯一の人物だった。
今やその聖域は脅かされ、彼女もまた、他のすべての身寄りのない者たちや、はぐれ者、そして溢れかえるアンデッドたちと共に艦外へ降ろされねばならなくなる。一つの約束が果たされることが、彼女への約束が破られることに繋がってしまう。まるで彼女がこれまでの人生で、そうした裏切りを十分に経験してこなかったとでも言うかのように。それでも、船は償いをするつもりだった。そのために、他にも多くの約束が交わされ、そして・・これまでのところ、どうやら・・守られつつある。今はそれで十分とするしかなかった。
感想:スリープサービスは、ダジェイルに聖域という名の安全を約束していたのだろう。今回の黒球体(エクスルージョン)の出現により、その聖域すら解除して、彼女を艦外へ出さざる得ない状況に追い込まれた・・と、アバターのアモルフィアは深い憂鬱を感じている、ということだろう。優しいのだな。
動きのない活人画の中に、動きがあった。アモルフィアがそちらに注意を向けると、黒い鳥グラヴィオスが戦場を横切って羽ばたいていくのが見えた。さらなる動き。アモルフィアはそちらへと歩き出した。ポーズをとったまま突撃する騎兵や、倒れた兵士たちの周囲を回り、あるいは跨ぎ越え、地表に2発の砲弾が激突した瞬間を本物そっくりに表現して宙に固定された一対の土煙の噴水の合間を抜け、血で膨れ上がった小さな小川を越えて、戦場の別の場所へと向かった。
そこでは、3機の蘇生ドローンからなるチームが、一人の被蘇生者の上に浮かんでいた。これは異例のことだった。通常、人々は故郷に戻り、友人たちに囲まれた状態で目覚めることを望むものだが、ここ数十年の間に・・活人画がより見事なものになるにつれて・・、まさにこの場所で、その情景のただ中で現世に呼び戻されることを望む者が増えていた。
アモルフィアは、その女性の傍らに身をかがめた。彼女は瀕死の兵士としてポーズをとって横たわっており、上着には弾痕が穿たれ、赤く染まっていた。彼女は仰向けに横たわり、機械たちに介抱されながら、陽光の中でまばたきをしていた。保管スーツの頭部パーツはすでに滑り外され、彼女の脇の草の上にゴム製のお面のように転がっていた。彼女の顔は青白く、ほんの少し斑点が浮き出ていた。老齢の女性であったが、毛髪を剃り落とされたその頭部は、奇妙な、赤ん坊のような無防備な裸の質感を漂わせていた。
「こんにちは」アモルフィアは女性の片手を自らの手に取り、スーツのその部分も優しく取り外し、きつい手袋を脱がせるように、手のカバーを裏返しに引き抜いた。
「おっと」女性は唾を飲み込み、目に涙を浮かべながら言った。
シクレイア=ナジャサ・クロエピス・インス・スタハル・ダ・マピン。31年前、386歳のときに冬眠保管に入った。目覚めの条件:惑星イシエイスにおける、次の「次代メシア選出者」の推戴の瞬間。彼女はその惑星の主要宗教の研究者であり、次の救世主の戴冠式に立ち会うことを切望していた。その出来事は、本来であればあと200年ほどは起きないと予想されていたはずだった。
感想:386歳で眠りにつき、200年後の586歳に起こして、という女性の約束は守られなかった。
彼女の口元がねじれ、咳き込んだ。「どれくらい・・?」彼女は言いかけ、再び咳をした。
「標準年で、ちょうど31年ですよ」アモルフィアは彼女に告げた。
女性は目を見開き、それから微笑んだ。「早かったわね」と彼女は言った。
感想:何か異常事態が起きたのだろう・・と彼女は思った・・
彼女はその年齢にしては急速に回復した。数分のうちに、彼女は支えられながら立ち上がることができ、アモルフィアの腕をとって・・3機のドローンを後ろに従えながら・・、戦場を横切って活人画の一番近い端へと歩き出した。
二人は、少し前にアモルフィアが立っていた小さな丘、第4丘陵の上に立った。アモルフィアは、その女性が目覚めたことによって情景の中に生じてしまった「隙間」を、遠くで、ちくちくと気に病んでいた。
通常であれば、彼女のいた場所には1日もしないうちに別の被保管者が同じポーズで配置され、置き換えられるはずだったが、もう誰も残っていなかった。彼女が残した穴は、船がこの穴を修復するために他の活人画から(人間を)略奪してこない限り、そのまま残ることになる。女性はしばらくの間、周囲の情景をじっと見つめていたが、やがて首を振った。
感想:解体したのでしょうな。眠れるアンデッドを現世に矯正蘇生、または他船に強制退去させたのでしょうな。
アモルフィアは彼女が何を考えているかを察した。「凄惨な光景でしょう」とそいつは言った。「ですが、これがイクスレフィア・プライムにおける最後の、大規模な地上戦だったのです。これほど初期の技術段階において、自らの文明の最後の重要な戦闘を終わらせられたというのは、類人種(ヒューマノイド)の種族にとっては、実際には偉大な達成なのですよ」
女性はアモルフィアの方を向いた。
「知っているわ」と彼女は言った。「私はただ、これらすべてがどれほど見事なものであるかを考えていたの。あなた、誇りに思っていいわよ」
感想:ああ、わたしはここにいたのか。
はい、これでバラバラだった物語が繋がりましたね。
ホフォエンの任務、スリープサービスの憂鬱、任務の目的である眠れる艦隊長ダジェイル。
