日記
イアン・バンクス「EXCESSION」全文翻訳(9)ドローンのシセラ1/2の苦悩
感想:はいはい、はじまりました。今日の主役はドローンのしセルか!?
スターゲイザー(星見)氏族の宇宙船であり、ゼテティック・エレンチ(探究的離反派)第5艦隊に所属する調査船『ピース・メークス・プレンティ(平和は豊穣をもたらす)』号は、標準的なランダム探索パターンに従って、アッパー・リーフ・スワール(上葉渦状星雲)のほとんど未探索の領域を調査していた。
感想:物語はカルチャーともアフロント人とも異なる第三の勢力、ゼテティックエレンチの視点に入りましたな。一体どんな異星人なのか気になりますな。わたしのお気に入りになりますように。未探索領域ってロマンあるよな・・。
同船は、他の7隻のスターゲイザー氏族の船と共に、標準紀n4.28.725.500にハビタット(巨大居住区)「ティア」を出航していた。彼らはスワールの深淵へと種子のように散らばり、互いに別れを告げた。それが今生の別れになるかもしれないと知りながら。
感想:うう・・冒険には危険がつきもの・・。
航海が始まって1ヶ月が経過したが、船は特別なものを何も発見していなかった。ただ、チャートに載っていない星間デトリタス(塵)を数点見つけ、しかるべく記録した、それだけだった。
感想:あの黒い球体(Excession)が現れるのだろうか。
背後の時空の船団に、おそらくは偽信号と思われる共鳴の兆候があり、自航船を追尾している船がいる可能性が示唆されていたが、ゼテティックの船を他文明の船が尾行すること自体、さして珍しいことではなかった。
感想:ゼテティック号は、他文明にとって危険な存在なのだろうか?それとも、何か他に興味のそそられる何かがあるのだろうか?
エレンチは、かつてはカルチャーの正規の一員だった。
感想:ほっほう、ここまで読むあたり、カルチャーを中心にいろんな文明が集まり、離れたり、カルチャーを推したり・・と。さあ、ゼテティック号はどんな立ち位置なのだろうか?
彼らは1500年前にカルチャーから分離独立した。関係する僅かなハビタットと、多くのロック(小惑星基地)、宇宙船、ドローン、そして人間たちが、主流派のカルチャーとは僅かに異なる路線をとることを好んだのだ。
感想:なるほど。ゼテティック号は、カルチャーから分離独立したのか。カルチャーが認めていない「グレイゾーン」や、カルチャーが好きじゃない「スリーパーサービス」とはまた違った立ち位置なのか。おもしろい。
カルチャーが「大まかには現状を維持しつつ、自らが発見した発展途上の文明の少なくとも一部に変革をもたらし、同時に、銀河という壮大なる文明のゲームにおける現在のプレイヤーである『インボルブド(参与文明=高度発達社会)』の間の誠実な調停者(仲介人)として振る舞うこと」を目指しているのに対し、
感想:はあはあ。(お腹痛い)カルチャーは周囲の未熟な文明を管理するからな。それを傲慢だと嫌っているのがゼテティック号なのだろう。
エレンチは他者ではなく、自分自身を変化させることを望んだ。彼らが未発見のものを探し求めるのは、それを変えるためではなく、それによって「自らが変えられるため」であった。
感想:おおー。カメレオンちゃんですね。わたしはゼテティック号が好きになりましたな。読みにくい船の名前も好きになったので覚えましたよ。そうね、相手をコントロールするのはよくないざますね。
エレンチの理想とは、より安定した社会・・カルチャーそのものがその完璧な例だ・・の者が、同じエレンチの存在(ロック、船、ドローン、人間)に何度か連続して遭遇したとしても、二度と同じ実体に出会うことはない、というものだった。
感想:わろわろ。そんなに変わってしまうのか。まあ、いい奴だよ。しかしまぁ、なんでもかんでも相手に合わせて変えるのもいかがなものか?とも思うが、その辺はいい塩梅をとっているのかもしれない、たぶん。
彼らは再会の合間に別の文明と遭遇し、異なるテクノロジーを自身の肉体に組み込んだり、異なる情報を精神に統合したりしているため、前の面会時とは必ず変貌を遂げているのだ。
感想:必ず変貌・・。未知の文明と出会うことで、自分たちの肉体やテクノロジーをどんどん変化させて吸収されても構わない・・究極のマインドっすな!まさに、へそ曲がりな探求心です。極端でおもしろい。
それは、カルチャーの単一知性的なアプローチからはおよそ生み出されそうにない、あらゆるものに関連し得る汎用的な「真実」の探求であった。
感想:やっぱり大きな権力になってしまうとね、なかなか自由になれないよね、カルチャーも。いいんじゃないでしょうか。カルチャーを中心に多様なマインドが暮らしていれば。
それは天職であり、使命であり、大いなる召命だった。
この姿勢がもたらす結果は、想像通り多種多様だった。
エレンチの艦隊丸ごとが遠征から二度と戻らず行方不明のままになることもあれば、最終的に発見されたときには、宇宙船も乗組員も、自らの意志で他の文明に完全に包摂(吸収)されてしまっていることもあった。
感想:うん、ゼテティックエレンチ号はやっぱり極端!だけどおもしろい。
過去の最も極端な例では、いくつかの船が完全に『攻撃的自己複製群オブジェクト』に変貌した状態で発見されたこともあった。出会うすべての物質を自分自身のコピーに変換しようとする、利己的な自己増殖生命体である。
感想:笑。カルチャーよりも傲慢でたちが悪い(笑)グレイゾーンよりも最悪だ(笑)
こうした不測の事態に対処するための技術・・いつでも選択可能な、単なる徹底的な破壊という手段を超えたもの・・は存在しており、通常は該当するオブジェクトを『攻撃的』ではなく『福音的自己複製群オブジェクト』へと転向させることに成功するのだが、もし対象のオブジェクトが特に強硬な単一の意思を持っていた場合、その強欲で不作法な自己愛(エゴ)の肥やしとなるために、やはり誰かが命を落とす結果を招いた。
感想:ゼテティックエレンチの独自ミーム。
昨今では、エレンチがそのような種類のトラブルに巻き込まれることは滅多になくなったが、それでも彼らは常に変化し続けていた。
感想:イアンバンクスに登場する船やマインドたちも性格は愛おしいですなぁ。
ある意味で、エレンチとは、カルチャー以上に、容易に定義できる宇宙船や人間の集団というよりは、「ひとつの精神姿勢」だった。エレンチの一部は絶えず他者に包摂され同化されるか、あるいは単に消失していく一方で、同時に(カルチャーや他の人類・非人類社会の双方から)新たな個人や小グループが絶えず合流してくるため、いずれにせよ人員や二次的な思想の入れ替わりが激しく、現在活動中の文明の中で最も急速に進化している存在の一つとなっていた。
感想:多様な文化、価値観・・まぜまぜ。変わりゆくゼテティックエレンチ号の変遷、という題名で小説をかいてほしいくらいだ。
しかしどういうわけか、それにもかかわらず、そしておそらくそれが何よりも「姿勢」であり「ミーム(文化的遺伝子)」であったがゆえに、エレンチは親文明(カルチャー)から受け継いだと思われる、ある能力を発達させていた。すなわち、絶え間ない変化の渦中にありながらも、「大まかには同一性を保ち続ける」という能力である。
感想:親ありきの子ですな。
彼らはまた、興味深いもの、古代の遺物、未知の文明、昇華した種族の神秘的な残骸、推測すら不可能なほど古い古代知識の宝庫などを発見するコツ(才覚)も持ち合わせていた。
感想:昇華した種族の神秘的な残骸とは・・キリスト教の影響多。
あ、なるほど。ゼテティックエレンチ号を尾行すれば宝が見つかるのか。
そのすべてがエレンチ自身にとって究極的な関心の対象になるわけではなかったが、その多くは、他者の好奇心を刺激し、目的を推し進め、情報的あるいは金銭的な資金を潤すのに役立つものだった。特に、他の誰よりも先にそれらに到達できるのであればなおさらである。
そのような機会が訪れることは滅多になかったが、過去には日和見主義的な傾向を持つ特定の社会が、エレンチの船を(少なくともしばらくの間は)尾行するためにわざわざ宇宙船を1隻専従させるだけの費用や手間に見合うと考える程度には、十分に頻繁に起きていた。
感想:はははは(笑)続編小説として、ゼテティックエレンチ号を追う者たち、という小説を書いてもしいものだ。
そのため、『ピース・メークス・プレンティ』号は、自分が尾行されているかもしれないという発見に対しても、過度に警戒することはなかった。
感想:自分たち目当てではなく、お宝目当て・・ですからね。
航海から2ヶ月。依然としてエキサイティングなものは何もなかった。ただのガス雲、塵の雲、褐色矮星、そして一対の生命の存在しない星系。どれも遠方から十分にチャート化されており、いかなる知的生命の手も触れられた形跡のないものばかりだった。尾行船の気配すら消失していた。
感想:尾行船がいれば・・この先どれだけ安心したか・・
もしそれが実在していたとしても、該当する船はおそらく『ピース・メークス・プレンティ』号がこの旅で幸運を引き当てることはないと判断したのだろう。
感想:見切り。
それにもかかわらず、エレンチの船が接近する範囲内にあるものはすべてスキャンされた。パッシブ(受動)センサーが自然のスペクトルをフィルタリングして意味のある兆候を探し、ビームやパルスが真空の中や時空の船団へと放たれ、探索と詮索を続け、その一方で船は戻ってくるいかなるエコーをも取り込み、分析し、熟考し、評価していた・・。
ティアを出航してから78日後、その記録によればかつて誰もとったことのない方向から「エスペリ」と呼ばれる赤色巨星に接近していた『ピース・メークス・プレンティ』号は、その太陽から14光月(ライト・マンス)離れた位置に、ひとつの人工物を発見した。
感想:ゼテティックエレンチ号の調査船、ピースメークスプレンティが見つけた人工物とは・・あの黒い球体ではないか?ということは、今回の話は物語の最初に位置するエピソードなのだろう。カルチャー偵察船が目撃した52.5日前の戦闘の残骸・・ドローン シセラの双子が漂流する場所・・。
その人工物は、直径50キロメートルを僅かに超える程度だった。それは完全な黒体だった。周囲と同化した異常領域であり、遠距離からは、ほぼ何も存在しない星間宇宙の任意の領域と全く区別がつかなかった。
感想:やっぱりんこ。
『ピース・メークス・プレンティ』号がそれに気づいた唯一の理由は、それが遠方の銀河の一部を覆い隠した(遮蔽した)からであり、銀河の破片が自発的に消えたり点いたりするはずがないと知っていたエレンチの船は、調査のために転針したのだった。
感想:見つけなきゃよかったのに・・
その人工物は、ほぼ完全に質量が存在しないか、あるいは・・おそらくは・・何らかの投影であるかのように見えた。
物質の集積がその質量によって、まるでトランポリンの上に置かれた岩のように効果的に凹みを作るはずの「スケイン(時空の織物)」に対して、それは何の影響も与えていないようだった。その人工物/投影は、スケインの上にただ浮遊しており、それに対して一切の痕跡を残していないという印象を与えた。
感想:アインシュタインの相対性理論の通り、物質は質量を持つと時空(助イン)をトランポリンのようにへこませる。しかし、この黒い球体(Excession)は時空を全くへこませず浮いているように見えるのだ。さあ、帰ろう。
これは異常なことだった。これこそは確実に調査する価値があった。さらに興味深いことに、現実空間の織物の下層にある「下層エネルギーグリッド」にも、異常の可能性が認められた。
人工物の三次元的形状の真下の領域に、グリッドが本来持っているはずの普遍的な混沌(カオス)の性質が、断続的に失われているように見える場所があったのだ。そこには極めて微かな、微か極まる「秩序」の気配があり、まるでその人工物が、ある種の奇妙な・・実のところ、不可能な・・「影」を投げかけているかのようだった。さらに奇妙なことだった。
感想:科学ではありえない秩序はなぜだろうか、と。
『ピース・メークス・プレンティ』号は帆を巻き上げ(減速し)、人工物の前に陣取った・・それに「前」と呼べるものがあるとするならだが・・。そして、それを分析すると同時に、通信を試みた。
感想:通信とは。
何もなかった。
その黒体球は質量がなく、不可侵であるように見え、まるでスケイン(時空)そのものに生じた「水ぶくれ」であるかのようだった。船がそれに向けて送信している信号は、そこに存在する何物とも決して結合できないかのようだった。
なぜなら、信号はまるでそこに何も存在しないかのように、その水ぶくれの表面をチラチラと滑り落ち、その先の宇宙空間へと何事もなかったかのように通り過ぎていくだけだったからだ。それはまるで、トランポリンの表面に置かれているように見える石を拾い上げようとしたところ、トランポリンの表面そのものがその石を覆うように上へと膨らんでいるのを発見したかのような状態だった。
感想:ほほう。そのトランポリンの表面に何かあるのかもしれない。
船は、より直接的な方法で人工物への接触を試みることを決定した。時空の表面の下、ハイパースペース(超空間)内でオブジェクトの真下にドローン・プローブ(無人探査機)を送り込むのだ。
感想:Excessionとの接触。
これは実質的に、スケインの織物に裂け目を作る行為であり、通常、船がそこを通って移動するために超空間(HS)への道を作る際に生じさせる種類の発現だった。
感想:時空に裂けめを作る行為。その裂け目から侵入する計画。
ドローン・プローブは、いわば人工物の「内部」へと浮上することを試みる。もしそこに投影以外に何も存在しないのであれば、それが判明するだろう。もしそこに何か実体があるのであれば、おそらくは進入を阻まれるか、あるいは内部へと受け入れられるかのどちらかになるはずだった。船は自らの使節を準備した。
感想:この手さばきは、こ慣れている。こうやっていろんな文明を吸収してきたのだろうな。
状況があまりにも異例であったため、『ピース・メークス・プレンティ』号は、ハビタット「ティア」や同胞の船に現在の状況を報告するという、エレンチの先例を破る挙に出ることさえ検討した。
感想:禁じ手なのか、時空を切り裂いて内部に入るのは。万策付けたか。
最も近くにいる他のスターゲイザー氏族の船は1ヶ月の距離にいたが、もし『ピース・メークス・プレンティ』号がトラブルに陥った場合には助けになるかもしれなかった。
感想:一カ月か・・。遠いなあ。
しかし最終的に、船は伝統に固執し、沈黙を守ることを選んだ。これには一種の隠密的な実利主義があった。
感想:うーむ。カルチャーとは違うぜ!というプライドからくるものなのだろうか?
船が着手しようとしているような遭遇(コンタクト)は、エレンチの船が、疑心暗鬼に駆られた接触相手に対して「援軍を要請した」と見なされかねない行動をとることなく、完全に単独で行動していると正当に主張できてこそ、初めて成功するものだからだ。
感想:信念なのね、彼らの。
それに加えて、そこには純粋な誇りも絡んでいた。委員会の(合議制の)一部であるかのように振る舞い始めるくらいなら、エレンチの船はエレンチの船たり得ない。そんなことをするくらいなら、それこそカルチャーの船にでもなってしまった方がマシだ!
感想:ああ。他人に相談して委員会(合議制)みたいに動くくらいなら、カルチャーの船になった方がマシだ!という強烈なプライドか、やっぱり。そこからはじまる単独行動‥登山やケイビングなら死んでるやつな。
無人探査機(ドローン・プローブ)は、『ピース・メークス・プレンティ』号と緊密な連絡を保ったまま発進した。
感想:ほうほう。次に登場するドローンの名前は、プローブと言うのか( ´ ▽ ` )
プローブがその人工物の事象の地平を越えた、まさにその瞬間、それは‥ドローン「シセラ・イセレウス 1/2」がアクセスできた記録は、そこで途切れていた。明らかに、何かが起きたのだ。
感想:おお‥シセラ‥。シセラが‥シセラ‥
そいつが個人的に知る次に起きたことといえば、『ピース・メークス・プレンティ』号が攻撃に晒されているという事実だった。
感想:そうね、ハッキングされるとか?
その強襲は、ほとんど信じられないほど迅速かつ獰猛極まるものだった。ドローン・プローブはほぼ一瞬にして乗っ取られたに違いなく、船のサブシステムは数ミリ秒後に降伏し、船のマインドの整合性は‥推測するに‥ドローン・プローブが人工物の下の空間を侵犯してから1秒にも満たないうちに粉砕されてしまったのだ。
感想:人工物の境界を越えた瞬間、カルチャーの最先端AIであるはずの船のマインドや全サブシステムがわずか1秒未満でハッキングされ、乗っ取られてしまったとな‥。
それから数秒後、シセラ・イセレウス 1/2 自身も、船の窮状を外部の銀河へと伝えるための最後の絶望的な試みに巻き込まれていた。
船の乗っ取られたシステムが、必要とあればそれを破壊してでも阻止しようと躍起になる中でのことだった。
自身と双子の片割れ、そして事前にプログラムされた独立型の転送ユニットを用いた、長年合意のうえで入念に構築されていたその欺瞞戦術は、かろうじて、本当にギリギリで機能した。
感想:そうそう、脱出の際にね。相棒(2/2)の肉体と精神は敵にハッキングされ敵の手中に落ちた。生き残ったドローンは、ギリギリのところでその敵の手中に落ちた双子のコアを自らの内部(1/2)に隔離・幽閉して脱出することに成功した‥
それでも、かつて「シセラ・イセレウス 2/2」であり、現在は「シセラ・イセレウス 1/2」となったそのドローンには甚大な損傷が残り、その内部にはシセラ・イセレウス 2/2 の歪んだ残骸のようなものが居座る結果となった。
感想:これこそが、カルチャーのAIたちを恐怖させている「過剰(Excession)」な超高次元のハッキング能力なんだぜ?!
このドローンは、双子の精神が入っているコアの壁に耳を押し当てるような行為を、等価的に実行した。密閉されたコアの内部で何が起きているのかを突き止めるため、内部の活動の、意味を持たない抽象的なデータへと慎重にアクセスしたのだ。
それはまるで、隣の部屋で起きている猛烈な怒鳴り合いに耳を澄ませているかのようだった。背筋が凍るような、恐ろしい音。今にも悲鳴や、何かが破壊される音が聞こえてくるのではないかと身構えさせるような、怒号の応酬だった。
感想:ひぇえぇぇえ(´;Д;`)
元の自分(1/2)の肉体はおそらく脱出の過程で死亡しており、そいつは今、自身の肉体の代わりに双子の肉体に宿っていた。そして、侵され、寝返った双子の精神状態が、今や「2/2」とラベル貼りのされたコアの中で無力に猛り狂っていた。
感想:自らの脳内で、狂い果てた双子が呪詛の怒号を上げている(壁越しに怒鳴り合いが聞こえるような状態)という、精神的ホラーですな‥。
今なお秒速280キロメートルで星間宇宙を転がり続けているドローンは、自らの精神の内部に、裏切り者となり歪み果てた双子の複製が閉じ込められているという発想そのものに、一種の嫌悪感を抱いた。
感想:うーん、シセラ1/2よ。2/2は裏切ったんじゃない。乗っ取られたのだよ。
最初の反応は、それを消去(抹消)することだった。コアをそのまま真空へと放り出し、現在もほぼ正常な出力で機能しているように見える唯一の武器、レーザーで消滅させてしまおうかと考えた。
感想:ああん。感情的に動くでない。
あるいは、単にコアへの電力供給を遮断し、エネルギー不足によって内部にあるものを死なせてしまうこともできた。
だが、そうしてはならなかった。2つの上位マインドのコンポーネントと同様に、破壊された双子の精神状態には、あの人工物自身のマインドのタイプを解き明かす手がかりが含まれているかもしれないのだ。
感想:そうだよ、君(1/2)はいわば証拠品なんだからね(・ω・`)
それ(双子のコア)、AIコア、そして光子ニュークリアス(原子核)のすべてを、証拠として保管しなければならなかった。
感想:ほら、証拠って書いてあるじゃない。
あの人工物の有毒な感染力に対する、ある種の解毒剤を抽出するためのサンプルとして保持しておく必要があったのだ。
2つの上位マインドとコアに含まれる強欲な精神状態の中に、双子の真の人格の断片がいくらか残されている可能性さえあった。
感想:敵の手中に落ちた2/2のことも、君(1/2)からよくわかるんだからさ。
同様に、船のマインドが制御を失っただけで、その整合性までは失っていない可能性もあった。まるで、巨大な要塞の防御不能な外壁を放棄し、ほぼ難攻不落の中央天守へと退却する小さな守備隊のように‥。マインドはすべてのサブシステムから自身を切り離し、侵略者に指揮権を明け渡さざるを得なかったのかもしれないが、侵入不可能なマインド・コアの中に自身の個性を維持することには成功しているのかもしれなかった。
感想:ハァハァハァ(´Д` )シセラ2/2(1/2)の生々しい記憶が蘇る‥
それはちょうど、ドローンの精神の内部にある電子コア(そこで双子の残滓が今も煮えたぎっている)が、外部への脱出を拒んでいるのと同じように、強固な防壁となっていた。
エレンチのマインドは、過去にもこのような悲惨な状況に直面しながら生き延びてきた。確かにそのようなコアを破壊することは可能だが(ドローンのコアのように電力を遮断することはできなかった。マインド・コアは独自の内部エネルギー源を持っているからだ)、いかに残虐な侵略者であっても、内包された情報がいずれ確実に手に入るという確信があるのなら、天守閣たるコアを単に破壊してしまうよりは、包囲戦(兵糧攻め)を選ぶはずだった。
感想:やっぱり。小慣れていると思ったんだ。
常に希望はある、とドローンは自分に言い聞かせた。希望を捨ててはならない。
感想:希望を捨てないそのドローンの心‥すき!2026のドローンは絶賛戦闘用として盛り上がっていますが、そのうちシセラみたい‥いや、ゲームプレイヤーのチャムリスのように感情が芽生えるのだろうか( ´ ▽ ` )ほわあ。
保有している仕様書によれば、不運な船から自らを弾き出したディスプレース(転送機)は、シセラ・イセレウス 1/2 ほどの容積を持つ物体であれば、1光秒(約30万キロメートル)近くの射程を持っていた。それだけ離れれば、確実に探知範囲の外に出られたはずではないか?
確かに『ピース・メークス・プレンティ』号のセンサーでは、これほど遠くにあるこれほど小さな物体を捉える望みなど万に一つもなかった。ただ、あの人工物にとっても同様であることを祈るしかなかった。
エクスクルージョン(Excession / 超越存在)。
カルチャーはそうしたものをそう呼んでいた。それは一種の蔑称になっていたため、エレンチは普段それを口にすることはなく、たまに身内の間で非公式に使う程度だった。エクスクルージョン(過剰なもの)。過剰に攻撃的、過剰に強力、過剰に拡張主義的‥何であれ。
感想:なんでも平均がいい!
そうしたものは時折姿を現すか、あるいは創造される。そうした実例に遭遇するというのは、放浪の旅に出る者が冒さねばならないリスクの一つだった。
感想:そうなやなぁ。しかも、いろんな文明に感化されるカメレオンのようなゼテティックエレンチ号ならばそのリスクは尚のことであろうなぁ。
さて、自分に何が起きたのか、そしてコア2/2に何が含まれているのかが判明した今、問題は「これからどうすべきか」ということだった。
感想:はいはい、ここまでがシセラ1/2のびっくり箱の中身(記憶)でしたね。
外部に一報を伝えなければならない。それこそが、船から託された任務であり、船がこれほど猛烈な攻撃を受けた瞬間に、自らの全人生のミーム(使命)となったことだった。
感想:このミームを伝えねば!で、どうやって帰る?
しかし、どうやって? そいつの小さなワープ・ユニットは破壊され、爆速通信ユニットも同様、超空間(HS)レーザーも失われていた。超光速で機能するものは何も残されておらず、自らの身を、あるいは信号を、時空の織物(スケイン)の外に出られないあらゆる存在を捕らえる「グルー(接着剤)のようにドロドロとした遅さ」から引き剥がす術はなかった。
感想:ふーん。時空ってどろどろしているのか。なんかわからないけど、蜘蛛の巣に引っかかってしまうとあれよね、敵に居場所がばれる説あるよね。
ドローンは、自分が俊敏で優美な飛翔昆虫でありながら、よどんだ池に叩き落とされ、表面張力によってそこに囚われてしまったかのように感じていた。見知らぬ、まとわりつく異質な媒体との泥沼の、破滅の闘いの中で、あらゆる優美さは失われていた。
感想:人間に例えると、シセラ1/2はポエム癖がある。
そいつは、自己修復メカニズムが待機しているサブ・コア(爆速通信ユニット)へと再び思考を向けた。だが、それは自身の修復システムではなく、寝返った双子のシステムだった。
感想:あーあーあ、それはたぶん、使わない方がいい。
それらまでもが侵略者によって転向(汚染)されていないなどとは、到底信じられなかった。役に立たないどころか、害悪であり、誘惑だった。
感想:うんうん。でも、使うと居場所がばれるよ。まあ、このまま先のわからない宇宙遊泳は嫌だというならば、敵に手中に落ちるというのも、それまたひとつの人生・・しかし、その選択はまだ早い気が・・
なぜなら、あの狂乱の最中にそれらが乗っ取りを免れた可能性など、絶望的なほど皆無に等しかったからだ。
誘惑・・だが、駄目だ。そのリスクは冒せない。愚気の極みというものだ。
感想:そうね、まあ乗っ取られてるよね。そう、乗っ取られたのよ。
自力で独自の自己修復ユニットを作り出さねばならないだろう。不可能ではなかったが、それには永遠のような時間・・1ヶ月・・がかかるはずだった。人間にとっての1ヶ月はそれほど長くはないが、ドローンにとって・・時空の織物の上で、光速という恥ずかしいほど遅い速度で思考している状態でさえ・・それは一連の「終身刑」を言い渡されるようなものだった。
感想:え、そうなんだ。人間とドローンの時間の感じ方はどれほどに違うのか。まあそうよね、人間と比べて高知能なマインドにとっては当たり前か。余談だけど、何かに集中してあっという間に時間が過ぎる時ってあるじゃない?私は今書いているコレもそうなんだけどさ。その現象って、その人の時間の流れが遅いらしいよ。時間の感じ方ってみんな同じように感じていると立証できないじゃない。だから、その話ってあり得るよね。だとしたら、その積み重ねが若返りにも繋がるのかもしれないよね、あ、余談ごめん。
待つこと自体は、1ヶ月など大した時間ではない。ドローンは待つことが非常に得意であり、時間を心地よく過ごす、あるいは単に時間をスキップするための技術一式を保有していた。しかし、これほど途方もない時間を、ただ一つの事象に集中し、単一のタスクに従事し続けなければならないというのは、忌々しいほどに長い時間だった。
感想:そうね、いつもなら数秒でいろんなことをコンプリートするものね。
しかも、その1ヶ月が経過したとしても、それは始まりにすぎない。最低でも、膨大な微調整が必要になる。自己修復メカニズムは指示を与えられ、修正され、いじくり回される必要があった。いくつかは本来構築すべき場所を解体し、他は本来削ぎ落とすべき場所を複製してしまうに違いなかった。それは、すでに損傷している動物の肉体の中に、何百万もの潜在的ながん細胞を放り込み、その一つひとつを追跡しようとするようなものだった。
感想:こういう時に、感情って不便だね。
一歩間違えれば簡単に自滅するか、あるいは汚染された双子のコアや元の自己修復メカニズムを閉じ込めている隔壁を誤って破ってしまう可能性があった。すべてが順調に進んだとしても、プロセス全体には何年もかかる恐れがあった。絶望。
感想:はあはあ、絶望を感じているシセラ1/2も最高だぜ(; ・`д・´)
それでもそいつは初期のルーチンを始動させた・・他に何ができるというのか?・・そして考え続けた。
そいつには数百万個の反物質粒子が保管されており、マニプル・フィールド(操作術場)の能力がいくらか残されていた(指の力から腕の力ほどの強度だが、マイクロメートルのスケールで作業でき、分子結合を切り裂くことができるレベルまで縮小可能だった。プロトタイプの自己修復構造体を構築する際には、双方の能力が必要になるはずだった)。さらに、やはり反物質のチップが施された、長さ1ミリメートルのナノミサイルを240基保有しており、自らの周囲に小さなミラー・フィールド(鏡面場)を展開することがまだ可能で、レーザーも最大出力に近い状態を維持していた。プラスして、最後の手段としてのバックアップ用生化学脳だった、指指しの量ほどの「ドロドロの粥(マッシュ)」がまだ残っていた。
感想:その、どろどろ粥というのは、生物化学用脳というのは、人間の脳か・・!人間の脳をエネルギーにするのか・・!
・・それはもはや思考を支えることはできないかもしれないが、思考を「鼓舞(インスパイア)」することなら、まだ可能だった・・。まあ、あの不快なベタつく代物を活用するには、一つの方法ではあった。
感想:人間の脳はべたつく。
シセラ・イセレウス 1/2 は遮蔽された反応室の成形に着手し、自らに最大の反作用質量と最大の推進力を提供するために反物質と細胞のガンジ(凝固物)を結合させる最善の方法と、探知される可能性を最小限に抑えるためにその結果生じる排気煙(エキゾースト・プルーム)をどのように方向付けるかの双方を計算し始めた。
無駄になった脳味噌を使って星々へと加速する。それもまた、見方によっては滑稽な側面を持っている、とそいつは思った。
感想:死んだ脳を燃やして、星々へ加速するぜ!
そいつはそのルーチンも作動させ、・・長い溜息をつき、上着を脱ぎ、袖をまくり上げるのと同等の精神的動作とともに・・自己修復機構築の問題へと意識を戻した。
その瞬間、時空の織物の波(スケイン・ウェーブ)が、そいつの周囲を、そして内部を通り抜けた。時空における、鋭く、目的を持った波紋。
そいつは1ナノ秒の間、思考を停止した。
感想:おおー、しかし、波紋は相手にばれる可能性あり。
いくつかの事象が、このような波を作り出す。いくつかは自然現象だ。例えば、崩壊していく恒星のコアなど。しかし、この波は圧縮され、きつく折り畳まれていた。星がブラックホールへと収縮する際に生じるような、巨大でうねりの長いサージ(激流)ではなかった。
この波は自然のものではない。人為的に作られたものだった。それは信号(シグナル)だった。あるいは、感覚(センス)の一部。
感想:敵にばれませんように。
ドローン「シセラ・イセレウス 1/2」は、自身の肉体、それが代表する数キログラムの質量が「共鳴」しているのを、なす術もなく自覚した。時空の織物におけるその拡張していく円形の攪乱の半径に沿って、そもそもそのパルスを作り出した側のいかなる計器に対しても、送り返されてしまうエコー信号を発生させていたのだ。
そいつが感じたのは・・絶望ではなかった。吐き気だった。
感想:かわいそうに・・
そいつは待った。
反応が返ってくるまでに、長い時間はかかりまじ。繊細に、扇状に広がりながら詮索してくるメーザー(分子増幅)フィラメントの群れ、ほぼ無限の彼方で収束しているように見えるエネルギーのロッド(束)が、人工物があると推測していた場所から少し横に外れた、30万キロメートルほど離れた位置から現れた・・。
感想:なにが、現れたのだ・・
ドローンは信号から身を隠そう(遮蔽しよう)と試みたが、信号はそいつを圧倒した。メーザー信号そのものを介した攻撃によって汚染される可能性が考えられる特定のシステムをシャットダウンし始めたが、そのビームの特性はそれほど高度なものには見えなかった。すると突然、ビームが消えた。
ドローンは周囲を見回した。何も見えなかったが、自らを囲む冷たく空虚な宇宙の深淵をスキャンしている最中でさえ、時空の織物の表面そのものが、自らの周囲で再び、ごく僅かに震えるのを感じた。何かが、来ている。
遠くの振動が、ゆっくりと増大していった。
感想:深淵を覗くとき、深淵もまたドローンを覗いているのだ・・
池の表面張力に囚われたあの昆虫は、水面が震え、自らに向かって前進してくる何者か・・水面を滑るように滑空してくるか、あるいは真下から角度をつけて浮上してくるかして、無力な獲物へと接近してくる何者かを前にして、今や完全に静止してしまっているに違いないのだった。
感想:ロックオンされてしまったのかい・・?
続きは如何に!
