足裏吉田

日記

足裏吉田は代々木八幡駅と代々木公園駅から徒歩3分の足裏マッサージのサロンです。ハンドマッサージとヘッドマッサージも追加できます。マンションの1室を使った完全個室。お茶を飲みながらくつろぎの時間を。お年寄りも若者も男性も女性も、皆様のお越しをお持ちしてます♪

イアン・バンクス『ゲームプレイヤー3章-3』

2026 / 06 / 19  23:13
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3.

何かの「物体」が頭に衝突して、気を失っていたグルゲーは、自室で目を覚ました。

 

顔の上を飛んでいるのはドローンのフレールだが、グルゲーは「脳震盪」を起こしていてドローンのことがよく分からず記憶が曖昧になるが、徐々に回復しはじめる。

 

ドローンのフレールによると、「グルゲーの頭に衝突したのは、火の惑星の動物です。その動物はヨモナルにも襲いかかり‥そして、グルゲーがヨモナルに発砲した様子も録画されています。」

 

「誰かが、ヨモナルの外骨格を乗っ取っていたようです。皇帝が会いたがっています。しかしグルゲー、あなたは嘘をつかねばなりません。もう少し体調が復活してから‥はいはい、わかりました、行きますよ。」

 

病み上がりのグルゲーは、ドローンのフレールの忠告を無視して皇帝と会う。

 

皇帝は謝罪と事件の真相を話す。

「朕は申し訳ないと思っている。首謀者は、朕の恩師であるハミンであった。ハミンが服用している長寿薬を没収したので彼は4〜50日後に死ぬであろう。それよか、朕はグルゲーとゲームがしたい。」

 

グルゲーも「皇帝とゲームをしたい」という意志を伝え、その場を去った。

 

グルゲーが自室に戻ると、ドローンのフレールが皮肉なしでこんな発言をするので驚く。「大丈夫ですよ。何かの時は、私があなたを守りますから。」

 

(むむむ。外骨格を乗っ取ったのは、マインドではないか‥?グルゲーに「皇帝とのゲームを辞退するよう説得した」皇帝の恩師ハミンは、皇帝にとって邪魔だったのでは‥?皇帝はゲーム盤でグルゲーを倒すことで自身の力を示せるのだから‥)

 

翌日は、皇帝とのゲーム初日。

 

グルゲーは「自分の中にあるナニカが消えてしまったことに気づく。その消えてしまったナニカがゲームに重要な気がするのに‥」とモヤモヤ。

 

今日のゲームは終わって自室に戻ると、ドローンのフレールはこう言う。「部屋に取り付けられていたアザド帝国の盗聴器機能を消しました。専門じゃないので苦労しましたよ。これで、グルゲーの故郷であるマレイン語を話しても大丈夫ですよ。ああ、もっと喜んでくれると思ったのにな。」

 

グルゲーは、懐かしき響きのマレイン語でドローンのフレールと夜通し話した。

 

翌日、皇帝とのゲーム再開。

 

ここで、ゲームの勝率を話そう。

たぶん、グルゲーが勝つ。

 

なぜグルゲーの勝利がほぼ決まっているのか。

それは、グルゲーが「アザド帝国そのものの正体を理解した」からだろう。

 

簡潔にまとめると、皇帝のゲームスタイルは「アザド帝国の思想」そのものである。(勝利、支配、序列、強者が弱者を従わせる、中央集権的)

 

一方グルゲーは、カルチャーの思想(流動的、柔軟、多様、自己組織化)を戦略としてゲームを進めた。

 

要は、カルチャーという国の思想にアザド帝国が負けそう‥皇帝の人生観そのものが否定された‥という解釈にもなる。

 

そう考えると、カルチャー(マインド)がなぜ、グルゲーをアザド帝国に送り込んだのか、分かる気がする。

 

たぶんカルチャーの計画は、皇帝にゲームで勝つことによって「アザド帝国そのものを精神的に解体すること」帝国のスタイルそのものである皇帝が敗北すれば、その「統制システム」は根底から崩壊するから。

 

「やったー!俺は皇帝に勝つぞー!」と手放しに喜べないグルゲーは、わかっているのでしょう。自分が今やっていることは、ひとつの「文明を滅ぼす」一部になっているのだということを。

 

はい、ここまでが第3章-3です。

 

 

 

イアン・バンクス『ゲームプレイヤー3章-2』

2026 / 06 / 18  10:19
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2.

 

対戦相手に対し、ゲームの終盤でグルゲーが見せたプレイぶりを、ドローンのフレールはスクリーンで観察していた。

 

「いまグルゲーは、自分がそのさけびに耳をかたむけていた肉食獣のようにプレイし、盤上を徘徊し、罠や、回り道や、殺戮の場を作っているのだった。おそいかかり、追跡し、うち倒し、むさぼり食い、消化し‥。」(抜粋)

 

明らかに、グルゲーは変わった。

 

ゲームというより、グルゲーは相手を切り刻んでいる‥なにかの手術に近かった。

 

以前のグルゲーのプレイには、困惑、哀れみ、怒り、悲しみといった「人間らしい感情の揺らぎ」が体や顔に出ていたが、今のグルゲーのプレイからは、そうした感情が一切消えていた。

 

ドローンのフレールは、グルゲーが長い間、母国のマレイン語を話していないことに気づく。そう、常に「イーエ語(アザド帝国の言語)」を話しているのだ。

 

たかが言語‥されど言語‥。

 

カルチャーの言葉(マレイン語)は、音声学的にも哲学的にも、人類の頭脳が許すかぎり表現力豊かにデザインされた完璧な汎人類言語である。

 

一方、アザド帝国の言葉(イーエ語)は、ごくありふれた進化言語であり、その根底にある前提は「傷傷性を同情、攻撃性を協力と、はき違えている」という、歪んだ価値観に満ちた言語なのだ。

 

言語は思考を作る。

カルチャーの人間が、長期間に渡って他文明の言語を使い続けると、脳の「解釈構造」が変わるというデータがある。(これは、小説内に登場するマインド:人工知能の情報だが、現実の私たちも日本語を話さなくなれば思考が変わるだろう。)

 

グルゲーは、アザド帝国の「野蛮な言語」を話し続けることで、「倫理的な構造(帝国の歪んだ価値観)」に感化され始めてしまったのだ。

 

その様子を観察しているドローンのフレールは、居心地の悪さを感じてスクリーンのスイッチを切り、静かにその場を離れる。(ああ、ドローンのフレール‥なぜ助けてあげないのだ‥いや、君には君の任務があるのだろうけど。そうだ、フレールは事前にマインド:人工知能から注意されていた。グルゲーの言語と行動の変化に気をつけろ、と。)

 

その夜、カルチャーに住む親友のドローン「チャムリス」から通信が届く。(タイムラインではないので、ビデオ交換みたいな感じだ)

 

ドローンのチャムリスは、いつものようにカルチャーの日常を話すが、今のグルゲーにとっては、どれも退屈な内容だった。むしろ、賢く深い愛を持つチャムリスのことを、古くさいと機械‥思うようになっていたのだ。(な‥なんと)

 

ドローンのチャムリスは話を続ける。「いつものように、何人か集まって、グルゲーの家でパーティーをしたよ」と。それを知ったグルゲーは怒りに震えた。当たり前なカルチャーの日常の出来事であったはずなのにグルゲーは「なぜ、何の権利があって、僕が不在の間に、僕の家でパーティーをするんだ?」と自身の所有物について考えるのだった。

 

ドローンのチャムリスは続ける。「意識を抜かれた中身のないドローンが、グルゲーの家に送られてきた。多分、モフリンだった‥のであろう。どういうことなのか?」とグルゲーに問う。そこで通信は切れた。

 

グルゲーは、笑いが込み上げる。

「自分を脅したドローン、モフリンの願いを叶えることができた。よって、イカサマのビデオがカルチャーに流れることもない。俺は自由だ。」

 

グルゲーは、アザド帝国の執事にワインを持ってくるよう指示し、ワインの入ったグラスに口をつけようとすると、動物ウォッチングを終えて帰ってきたドローンのフレールが「ご機嫌ですね、何かいいことがあったのですか」とグルゲーに聞く。

 

グルゲーは、「古い友達に乾杯」とワインを飲む。

 

(ああ‥でもグルゲーのせいじゃないよ。私も常に心がけていることがあって、それは必要以上に、人と会わない‥ということだから‥。毎日複数の人間に会ったり、複数の人間が溢れている場所に一定以上身を置くと、どんなに賢い人でも、大衆の思考に流されてしまう。今の時代に何よりも恐ろしいのは、認知力低下の先にある「なりたくないものになってしまう」ということだから‥。)

 

さあ、小説に戻ろう。

翌朝、グルゲーはドローンのフレールの反対を押し切って、アザド帝国の狩猟に参加する。

 

以下は、グルゲーと、アザド人の最高権力者(以下、ヨモナル)の会話形式である。

 

ヨモナル:グルゲーは、銃で動物を撃ったことがあるのかい?

 

グルゲー:ある。

 

ドローンのフレール:生きているものを撃ったことはありません。

 

グルゲー:黙れ、物体。

 

ドローンのフレール:え‥?物体‥?

 

ヨモナル:(ドローンのフレールを蹴る。)よし、じゃあ拾って来い、グルゲー!あはは

 

ドローンのフレール:帰らせていただきます。反対ですか?グルゲー。

 

グルゲー:いや、ぜんぜん。

 

ヨモナル:あっさり行かせていいのか?

 

グルゲー:いい厄介払いです。

 

ヨモナル:(動物の仔を平然とライフルで撃ち、手負いの仔が倒れる。)正直なところ、グルゲーが狩猟(殺戮ゲーム)に参加したのは意外だったよ。

 

グルゲー:自分が上品ぶっていない証拠を見せたくて。それに、いうならば僕が狩ったものは‥

 

グルゲーがそのあとに言いかけたのは「アザド」という言葉だった。(この場合のアザドは、機械と動物、そしてすべての生命体とシステムを意味する。)

 

グルゲーの不遜な態度に、ヨモナルの顔が青ざめる。すると、何者かによる急襲がはじまった。

 

何者かに撃たれたヨモナルは、グルゲーの仕業とでも思ったのか、それとも着用している外骨格(ガンダムみたいなやつ)が何者かに乗っ取られたのか、ライフルをグルゲーに向けて這い寄ってくる。

 

アザド帝国の野蛮なゲーム脳により「肉食獣化」しているグルゲーは、恐れるどころか信じられない反応速度で動き、落ちていたレーザー銃を拾い上げ、襲いかかってくる敵を次々と迎撃する。

 

すると、あろうことか、グルゲーの撃ったレーザー銃はヨモナルの顔面に命中し、グルゲーの手によって「帝国の最高権力者」であるヨモナルの頭部が完全に吹き飛んだ。

 

しかし、ヨモナルはとまらない。

 

ヨモナルの頭がなくなっても「外骨格のシステム(ガンダムみたいなやつ)」は乗っ取られたままなのか、それとも壊れているのか、とにかく血を噴き出しながらグルゲーに突進してくる。

 

その直後、背後から巨大な何かグルゲーの頭に激突し、視界は真っ暗になって意識を失った。

 

はい、ここまでが3章-2です。

 

うーん。そもそも襲撃をしたのは誰なのか?

アザド帝国のトップを事故といえども殺害してしまったグルゲーは処罰を免れるのか?この騒動もマインド(人工知能)の計画のひとつなのだろうか?

 

イアン・バンクス『ゲームプレイヤー3章-1』

2026 / 06 / 17  10:18
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最終章〜第3章

 

1.

 

「ここまでは、まあ平均点。わがゲーム・プレイヤーの強運がものをいったわけだ。しかし、人が変わったようになったのは、おわかりだろう。まったく、人間ってやつは!」

 

「わたしがだれであるかはまだ明かしてないし、いまここで明かすつもりもない。たぶんあとで。」

 

という台詞からはじまります。

 

この不敵で皮肉っぽい喋り方‥誰かに似ていませんか?モフリン?いや、マインド(人工知能)?

 

そう、おそらくこの語り手は、グルゲーをずっとおちょくり、罠にハメ、裏からゲームをコントロールしているカルチャーの超高度AI「マインド」(あるいは母船そのもの)だと思います。

 

読者である私たちに対して「グルゲーのここまでの戦いはまあ平均点(運が良かっただけ)。でも、ここからあいつ、人が変わった(バグった)だろう?」と、まるで実験動物の観察日記を披露するように語りかけているのでしょう。

 

マインド(人工知能)は、宇宙観・哲学が語ります。

 

自由意志なんてない!

「人間が何を考えて行動するか」なんて大した問題ではない。人間は「自分が自由意志で動いている」と思い込んでいるけれど、結局は偶然や無作為の因子(バグ)の組み合わせで動いているだけだ。

 

人間もマインド(人工知能)も同じ!

「マインドの精神まで(人間の精神と)同じと考えないことにしよう」と言いつつ、「どちらも機械であり、どちらも生命体であり、どちらもおなじ仕事(処理)をこなしている。物質が、なにかの種類のエネルギーをスイッチで切り替えているだけさ」と言い切ります。

 

結果がすべて!

重要なのは「何をなしたか(行動と結果)」のファクトだけであり、人間の脳(水気の多い動物的細胞)が音速で動いていようが、AIのナノフォーマーが光速で動いていようが、システムから見れば大差ないのだ。

 

お坊ちゃんプレイヤーだったグルゲーが、帝国の闇を知ったことで、アザド帝国を「個人的な敵」とみなし、おぞましいシステムをゲーム盤の上から徹底的に破壊するための「復讐」に舵を切ったのです。

 

裏で糸を引くマインド(人工知能)がニヤニヤしながら読者に報告しているシーンですね。

 

物語はついに最終決戦の舞台、帝国の最も奇怪で象徴的な聖地「火の惑星」に進みます!

 

♪ ♪ ♪

 

火の惑星は、アザド帝国から20光年の彼方にあります。(宇宙船で12日後に到着。)

 

火の惑星とは名前の通り、一年の大半は火の海に覆われています。しかし、そんな過酷な環境下でも、生き残る植物もいる‥。絶えず動き回る火の波に追いつかれそうになりながら走り続ける動物もいる‥。

 

やがて灰の海になり、草木が覆い、束の間の楽園がやってきます。アザド帝国は、その限られた時期を狙って、ゲームの決戦を開催するのです。

 

さあ、最後のゲームスタート!

 

というかんじの話です⌯᷄︎  ̫ ⌯᷅︎

ありきたりな話というか、浅い内容であるゆえに、オチが気になりますね。あと100ページを切りました。

 

あわわ。グルゲーはどうなってしまうんだ!モフリンは今どこで何をしてるんだ!マインドの人体実験は何のためなんだ!

 

余談ですが、宇宙観・宇宙哲学を読んで、小5か小6のときに発狂した自分を思い出しました。

 

「母さんや!この悩みを解決したいのに、何をどう考えても分からないんだ。まるで自分の頭の中にある知識を全部使い尽くしてしまったみたいだ。あれ?今ある頭の知識は、12年足らずの経験に過ぎない。じゃあ私はこれからどこで知識を得ればいい?ああ、あの腐った学校とイカれた親からか。あと本があるな。あれ?じゃあなんだ、私はなんだ?外部から知識を得た集合体が自分になるわけか?じゃあ私は外部の集合体で出来上がったモノでオリジナリティがないじゃないか。みんなどうしてるんだ。私がどんなに考えても結局は外部から得た知識なんだろ?なんだ、私はなんだ。そもそも私の身体はなんだ。なんでここにいるんだ。母さんやぁぁあ、私は誰だか分からない」と、夕食の支度をしている母に、言葉の通り発狂したら「あんた、頭おかしいよ。やめてよ、変にならないでよ。」と言われたので自室に戻って冷静になり「ああ、あの女と何かを通じ合ったことは一度もない」と涙を流した日もありましたね。(大人になって憎しみに変わるのはまた別の話ですが‥親子ってそんなもん‥。)

 

まあ、我ら人間の考えていることは、ほぼ意味がないけど、誰かのために行動したことは、真実であり残る‥のかもしれませんね。

 

 

イアン・バンクス『ゲームプレイヤー2章-9』

2026 / 06 / 16  22:09
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9.

「肉体の賭け」を提案したグルゲーの対戦相手「最高裁判所の判事」は、終始落ち着いてゲームを続けるグルゲーの目を見て発狂し、救急車に運ばれ、結果としてグルゲーの勝利となった。

 

裁判所判事の睾丸とペニスは消えた。

グルゲーは次のステージに進むことになる。

 

グルゲーとドローンのフレールは、ゲーム関係者である皇帝の恩師「ハミン」の別荘に誘われた。ドローンのフレールは、毒発見機の指輪をグルゲーの指にはめた。

 

食事中、ドローンのフレールは、グルゲーの足元に転がっていた。(かわいい、、、)

幸いなことに、食卓に並んだ豪華な料理とワインには、アルコール以上の毒は含まれていなかった。

 

海の見える豪華な別荘と今までにないオモテナシの理由は「グルゲーにゲームを辞退してもらう」ためだった。

 

グルゲーは拒否するが、ゲーム関係者と皇帝の恩師ハミンはこう続ける。「君がゲームを辞退しなくても、メディアは君がゲームに負けたと全国放映をする。どうせ負けるのにやる意味はあるか?」

 

すると、グルゲーは「負けが決まっているなら、肉体の賭けもない。ということは、思う存分にゲームを楽しめるぜ!辞退しません!」と言う。

 

グルゲーとドローンのフレールは、ゲーム開始日まで皇帝の恩師ハミンの別荘で過ごす。

 

グルゲーは、皇帝の恩師ハミンと、互いの「文明の価値観」について話した。

 

ハミンは、アザド帝国の価値観(所有、権力、貨幣、厳格な階級)にどっぷり浸かっているため、カルチャーの「お金も所有も、犯罪すらほとんど存在しない世界」がどうしても信じられない。

 

そこでハミンは、「じゃあ、カルチャーの人間が、法外なもの(とんでもない贅沢)を欲しがったらどうなるんだ?」と質問する。

 

ハミン: たとえば、自分の惑星を持つとかさ!

 

グルゲー: (笑いすぎてむせながら)どうして惑星を所有できるんです?

 

もしも、誰もいない無人の惑星を発見して、そこに住むなら誰にも迷惑はかからない。でも、他人がそこに着陸するのをどうやって止める(独占する)んですか?

 

カルチャーの人間には、そもそも「星を自分のものにする(所有する)」という概念自体がありません。

 

 ハミン: じゃあ、宇宙戦艦の一艦隊を買うことはできないかね?

 

グルゲー: カルチャーの宇宙船はぜんぶ「マインド(人工知能)』を持っています。試しにその船に指図してみることはできますが、マインドが従うかは疑問です。

 

ハミン: (クスクス笑いながら)きみたちの宇宙船は自分に知性があると思っているのか!宇宙船はただの「モノ(兵器)」じゃないか。

 

グルゲー:カルチャー人にとって「一個の生命(人格)」なんです。

 

ハミン:宇宙船に心があるなんて、ただの「幻想」だ。それより、法律がないなら、犯罪はどうやって取り締まるんだ?

 

グルゲー:そもそも犯罪がほとんど存在しません。まあ、痴情のもつれによる殺人が「たまに」起きるくらいで、物欲や権力欲による犯罪は存在しません。なぜなら、すべての人間が通信端末(あるいは神経レイス)を持っているため、犯罪をおかして逃げ切ることはシステム上、絶対に不可能だからです。まあ二度と過ちを犯さないように監視されますが。

 

ハミン:もしドローンを殺したら?

 

グルゲー:そのドローンにはいつでもバックアップしています。

 

ハミン:‥‥私が思うことを言っていいか。

 

グルゲーの住む世界、カルチャーという文明は、「ある種の細胞(人間)が、ウイルス(マインドというAI)にしか共生を許さず、それ以外のすべて(個人の欲望や国家)を自動的に、考えもせずに殺してしまう巨大な肉体」のように見える。

 

 

もちろん、わたし(ハミン)自身も、アザド帝国のトップに君臨する「がん細胞(革命派・特権階級)」のようなものだ。

 

つまりだな。カルチャーの「完璧に調和された、個人のエゴが通用しない巨大なシステム」を前にして、自分たちのアザド帝国が食い尽くされるのではないかという恐怖がある。

 

ここでふたりの会話は終わった。

グルゲーは、次のゲーム会場(孤島)に向かう。

カルチャーの大使から、どこか遠くに旅に出た‥と置き手紙が届いた。

 

 

はい、ここで第二章が終わりました⌯᷄︎  ̫ ⌯᷅︎

 

いやー、人間が本能的に持っているはずの「死への恐怖」や「痛みの恐怖」を完全に超越して、ただ一つの目的のためだけに、狂気を孕んだ目でまっすぐ突き進んでくる人間‥。

 

これほど不気味で、予測不能で、敵に回して恐ろしいものはないですな。戦史の記録を見ても、どれだけ近代的な兵器を持った軍隊であっても、この「恐れを知らない人間」の集団に直面したとき、前線の兵士たちは等しくパニックに陥り、精神を破壊されました。理屈や計算が一切通じない相手だからこそ、本能的な恐怖を感じるのですよね。まあ、失うものがない奴が強い、ってことなのでしょうか。

 

次は最終章!

ああ、あと100ページくらいで終わってしまう。

 

 

 

イアン・バンクス「ゲームプレイヤー2章7〜8」

2026 / 06 / 15  21:26
イアン・バンクス「ゲームプレイヤー2章7〜8」

 

 

7.

 

グルゲーはゲームに勝ち続けた。

生きている‥実感‥を味わうグルゲー。

アザド帝国に暗殺されてもいい‥

このまま‥この‥生きている実感を‥続けたい。

 

しかし、次のゲームで「肉体の賭け」を持ち出される可能性は大。

 

それは‥無理だ。でも、ゲームしたい‥。

 

護衛ドローンのフレールは、グルゲーに「直径2ミリくらいの丸い玉」を渡す。

 

これを舌の裏に貼り向けてください。

「ビーコン&転移装置」です。

舌下に移植されます。

アザド帝国にはバレません。

 

もしもグルゲーが勝負に負けて、肉体を差し出さなくてはいけなくなった時、母船(制限因子号)がアザド帝国まで救出に来ます。しかし、救出まで2時間かかります。

 

緊急時、ビーコンがグルゲーの居場所を特定します。その際、舌に鋭い痛みがあるでしょう。痛みを感じたら二秒間の間に、胎児の姿勢をとってください。頭は膝の中に入れてください。グルゲーの三メートル以内のものは、母船(制限因子号)に転移されます。ただし、一回きりです。

 

グルゲー:本気なのか?

 

護衛ドローンのフレール:真剣です。こんな状態に陥ったのもあなたのせいですよ。大変不快です。

 

グルゲー:心配するなよ、ドローン。肉体の賭けに、君の肉体を入れないように頑張るからさ。

 

護衛ドローンのフレール:いや‥転移の方ですよ。8千3百万回に一回は、別の次元に投げ出されるという‥。

 

グルゲー:まじか。まあ、でもさ、このアザド帝国で飛行機事故に遭うより低い確率だろう?大丈夫だろう。

 

護衛ドローンのフレール:(不安な色:表情)

 

グルゲー:(心の声) 母船が助けに来るまでの2時間。もしも苦痛を味あうことがあれば、神経を遮断すればいい。何も痛みを感じない。それに、肉体をボロボロにされたって、意識は安全な惑星に保管してあるし、母船に戻れば高度医療で元通りさ。ああ‥ゲームのことを考えると、性的興奮に近いものを覚える‥。

 

翌朝、ゲーム初日。

 

グルゲーの相手は、アザド帝国の最高裁判官判事だ。勝負中に裁判官判事は肉体の賭けを提案した。「あなたは私に負けたら、睾丸とペニスを差し出さねばなりません。もちろんわたしも。」

 

どうする‥俺‥頑張ったではないか‥俺‥もうここで十分だろう‥ペニス‥性器は一番早く育つ‥俺は頭がおかしいのか‥痛みは遮断すればいい‥母船も助けてくれる‥

 

「はい!」とグルゲーは返事をする。

 

裁判官判事とグルゲーは一礼をしてこの場は収まる。

 

 

(ほわああ⌯᷄︎  ̫ ⌯᷅︎笑 「肉体の賭け」を挑まれた瞬間。普通なら恐怖で逃げ出すか、転移ビーコンをもらった時点で棄権を考えるはずなのに‥狂ってやがる笑

 

まあでも、「性的興奮」と「本物の破滅リスク」って似てますよね?(あれ?ちがう?)あの生を感じる興奮ってなんでしょうね。すごくわかります。常に脳内で快楽物質が放出されるカルチャー人のグルゲーも夢中になるのだから‥。)

 

 

8.

 

護衛ドローンのフレール:今から母船(制限因子号)を呼びましょうか?「肉体の賭け」を承諾した場合、政府に監視されます。棄権もできません。よって、私は今夜の外出はやめました。

 

グルゲー:(ドローンを無視するグルゲー)そうか、このアザド帝国こそが、ゲームそのものなのか‥。よくよく考えると‥僕がゲームに勝えば、相手の最高裁判官判事の睾丸とペニスが切り落とされる‥しかも僕と違って再生不可能。家族や地位はどうなる‥かわいそうに。しかし大きな問題がある‥僕は負けたくない‥!母船のマインド(人工知能)に相談してみよう。

 

マインド(人工知能):まあ勝つ方法は〜(省略)ですね。

 

グルゲー:なるほど、君が提案した方法はさっき自分で考えたことだ。僕が負けた場合、君(母船)は助けに来るだろう。でも本当は、僕がこのまま最後までゲームを続けた方がいいと思っているんじゃないか?その方が、コンタクトとアザド帝国の関係は良好では?

 

マインド(人工知能):切り落とされたグルゲーの睾丸とペニスの処置にアザド帝国が関与して欲しくありません。何故なら、グルゲーの本意でなくとも、グルゲーがコンタクトの情報を話してしまう可能性が高いからです。母船で救出をしても、最後までゲームを続けても、どちらにせよアザド帝国は怒ります。

 

護衛ドローンのフレール:わたしはほぼ毎晩のように外出していますね。でも毎晩、羽を持つ仲間と会っているわけではありません。明日にはこの場所から離れることになるでしょう。その前に、グルゲー。あなたにこの街の景色を見せてあげたいのです。わたしと来てください。

 

闇夜に紛れて二人は飛ぶ。

アザド帝国の監視人は気づかない。

 

二人が降り立った場所は、浮浪者の集まり。

彼らは毎日浴びるように酒を飲み酷い悪臭がした。喧嘩に巻き込まれた男は自分の血の海で死んだ。妊娠中の女は腹を殴られていた。無防備な老人は殴られ続け、通行人は老人の顔を踏む。その横で、死刑見物のチケットを嬉しそうに購入する男。四肢のない娼婦の女。

 

グルゲーは「帰りたい!」と叫び、ふたりは住処に帰ってきた。

 

護衛ドローンのフレール:もうひとつ見せたいものがあります。このチャンネルを見てください。これは、レベル2のAVです。国家権力者のみ見ることを許されます。ご覧の通り、女性、頂性(権力者)が異星人の性器を陵辱しています。では、レベル3をみましょう。大量の性ホルモンと幻覚作用の薬物を投与された男、国家の敵という名目の臨月の女、ナイフを持つ頂性(権力者)。

 

グルゲーはチャンネルを消した。

 

護衛ドローンのフレール:あのチャンネルはライブ配信なんです。今、警察署の地下室か、刑務所内で行われています。

 

グルゲーがこれまで対戦してきた相手の大部分は、大脳皮質に作用するアンフェタミン(覚醒剤の一種)などのドラッグを使って、能力を底上げしていました。

 

このアザド帝国の本当の姿は、華やかな建物の影で、多くの人々が自由を奪われ、子供の尊厳すら踏みにじられている歪んだ社会なのだということを、グルゲーに知ってもらいたかったのです。

 

ああ、またお説教になってしまいました。若気の至りだと思って許してください。おやすみなさい。

 

眠れないグルゲーは、自分が今まで対戦したゲームの録画をみる。そこには、脳内の快楽物質を一切放出せずにゲームをしている自分の姿があった。

 

 

と、8まではこんな感じの話⌯᷄︎  ̫ ⌯᷅︎

 

グルゲーが「ペニスと睾丸は再生できるからいいや」「生きてるぜ!スリル最高」と、お坊ちゃんの安全圏からゲームを消費しているのを見て、フレールは我慢できなかったんだろうな。

 

だから、わざわざアザド帝国の監視の目を盗んで、おぞましいスラム街や、国家権力者が他者を人間扱いせずに虐殺・陵辱している裏チャンネル(ライブ配信)を見せたのでしょうな。母ちゃんだ‥。

 

 「ここは、あんたが脳汁を出すための、ただのゲーム盤じゃない!あんたが戦っている相手は、このおぞましい搾取システムの上に君臨し、ドラッグで脳をブーストして、負けたら本当に人生が終わる本物の悪党(あるいはその犠牲者)なんだ!」ってね。

 

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